今年の医学研究実習は、黒澤さん。ひとりでの実習でしたが、実験を楽しんでもらえたようでよかったです。実習内容は、いつものような免疫染色ではなくHORMAD1 mRNAのスプライシング多型の発現比をRT-PCRで解析していただきました。私自身ちょー久しぶりのRT-PCRで、RNA抽出の方法も色々手探り状態でしたが、実際にはほぼ滞りなく、やりたいことはスムーズにやっていただけたと思います!黒澤さんの実験手技もとても安定していて、信頼できる結果が得られたと思います。当初の目的のsplice variantの発現比の定量だけでなく、heteroduplexの解消法という新たな話に着手できたのは素晴らしかった!それにしてもバンドの定量は手技的に楽しいみたいだねー、まぁその気持はわかるけど。
今年の医学研究実習は、澤田さんと藤原さん。いろいろ器用で、解析のアイデアも出してくれたりと研究を楽しんでもらえたようでよかったです。実験内容は、"出生直後"のマウス卵巣の"squash標本"を作製して、DNA損傷のマーカーとしてDMC1、対合不全のマーカーとして"HORMAD1"を染める、というものでしたが、その結果、もうちょっと前の時期(胎児期)に別の標本作製法(染色体標本)で、対合不全のマーカーもHORMAD2にして解析をするべき、という非常に重要な知見が得られました・・・。んー、やってみないとわからないからこれは仕方ないんだけど、思い通りにいかないのは世の常と言いますか・・・ 。でも、難しいかと思っていた卵巣のサンプリングも自分たちでできたし、免疫染色と写真撮影は完璧だったし、統計解析についても考えることができて、さらに今後の実験の方針が確定して、私としては非常によい実習だったと思います!
* 分子生物学会(2024.11.27 博多)、解剖学会(2025.3.19 幕張)で発表しました。
今年の医学研究実習は、川島さんと白石さん。2人ともいろいろなことに積極的でとてもいい感じでした。自分ではマウスのケージ替えは雑用的なものだと思ってて、実習に来る学生さんにやらせてなかったのですが、やりたそう?だったので初めて一緒にやって頂きました!思っていたより楽しんでもらえるみたいだったので、希望があれば来年からもやることにしようかなー。研究内容は、最近お気に入り?のsquash法で作製した標本を使ってHORMAD1βの蛍光免疫染色をする、という実習でしたが、固定液のバッファー、ブロッキングや抗原賦活化の条件等、免疫染色の基本的な操作についての条件検討をいろいろ行うことができて、今後に役立つ情報がかなり得られたと思っています。写真撮影の技術も、ピントがよく合っていて素晴らしかった!
私の愛する千葉のスーパーヒーロー Pマン、ぴーにゃっつの絵も描いてくれてありがとう〜
* 分子生物学会(2023.12.6 神戸)で発表しました。
このSquash標本の多重染色、きれいでしたね。HORMAD1βもきれいに染めたいんだけどなぁ・・・
今年から時期がちょっと変わり医学研究実習に名前も変わって、来てくれたのは、阿部さん。ひとりでは寂しかった?かもしれませんが、熱心に実習して頂きました。抗体のアフィニティ精製から特異性を確認するドットブロット、染色体標本の蛍光免疫染色まで、色々あって時間が限られる中でもフルコースをこなすことができて、素晴らしい。精母細胞の染色体標本ではどこも染まらなくて残念?だったかもしれませんが、それこそが新しい知見だと思うので、ちゃんと結果を出せたと思います!この結果は、解剖学会や分子生物学会で発表する予定です。
* 解剖学会(2023.3.20 仙台)と分子生物学会(2023.12.6 神戸)で発表しました。
今年の選択基礎医学実習は、酒井さんと櫻井さん。例年通りに免疫染色、ではなく、ウエスタンブロットをメインの実験にしてみました。マウス精巣のタンパク質を、細胞質/核可溶性/不溶性の画分に分けて、各画分での野生型とC末端を欠損したHORMAD2の存在比に違いがあるかどうかを検討したかったのですが、肝心のHORMAD2の抗体がいまいちで、あまり綺麗にバンドを出すことができず・・・(ごめんね・・・別の抗体でやり直したいなー)。でもImageJを使ったバンドの定量はちょっと楽しそうでしたね!
* 解剖学会(2022.3.28 Web)と分子生物学会(2022.12.2 幕張)で発表しました。
今年の選択基礎医学実習は、コロナの影響で変則的な日程ながら、石川さん、河尻さん、中村さんの3人が来てくれました。ゲノム編集の副産物だけど表現型解析を行っているC末端欠損型のHORMAD2に特異的な抗体、というのを精製してもらいました。かなり短い日程でしたが、その抗体を使った精母細胞染色体標本の蛍光免疫染色も行うことができました。結果的には、C末端欠損型に結合しやすい抗体がとれたけど、特異的といえるためには野生型の配列での吸収がさらに必要、という感じでした。自然には存在しない配列に対する抗体なので使い道は限られますが、野生型とC末端欠損でHORMAD2の挙動がどのように変化するのかを観察する為には必ず役に立つと思うので、この抗体が活躍するように研究をどんどん進めなきゃ!
今年の選択基礎医学実習は、菅原さんと新井さん。非リン酸化型のHORMAD1に特異的な抗体の精製と、それを使って精母細胞減数分裂染色体標本の蛍光免疫染色を行いました。標本の脱リン酸化処理と組み合わせることで、精製した抗体が非リン酸化型特異的であることと、ディプロテン期の染色体軸に局在するHORMAD1が非リン酸化型であることを明瞭に示すことができました。ディプロテン期におけるHORMAD1の機能はまだ未解明なので、この発見が機能解明のきっかけになることを期待しています!この結果を、12月の分子生物学会や3月の解剖学会で発表してきま〜す。
* 分子生物学会(2019.12.5 博多)と解剖学会(2020.3誌上開催)で発表しました。
* Exp. Cell Res. (2024)の謝辞にお二人の名前を入れさせて頂きました。
今年の選択基礎医学実習は、岩崎さんと佐復さん。ゲノム編集マウスを材料として、主に蛍光免疫染色を行いました。各変異体が精母細胞で正常なHORMAD2と同様に分布していることが確かめられました。このデータは、変異体の減数分裂細胞で何か野性型と違うことが起こった時に、導入した変異によって分子の分布がおかしくなったせいではなく、HORMAD2分子の機能が変化したから、というために必要、という感じです。
それに加えて2人がラボにのこしてくれたのは、我々スタッフの似顔絵!?顔、でかいんですけど・・・
* 分子生物学会(2018.11.29 横浜)と解剖学会(2019.3.28 新潟)で発表しました。
緑:SYCP3、赤:HORMAD2 、青:γH2AX