2025.5.30 Histochemistry and Cell Biology誌に発表した論文が4月のハイライト論文(April In focus in HCB)に選ばれました!
2025.2.17~ News & Events etc 継続的に更新中!
2025.2.9 いろいろ更新しました(特にWith students)
2019.10.8 減数分裂の仕組みの解説を追加しました
2019.5.27 個人HP公開しました
哺乳類の減数分裂について、研究しています。当時機能未知分子であった、HORMAD1とHORMAD2の遺伝子ノックアウトマウスを作製し解析した結果から、これらの分子が、減数分裂の過程が正常に進行することを保証するメカニズム(減数分裂チェックポイント)に必須の分子であることが明らかになりました。減数分裂チェックポイントの分子機構を理解することは、不妊症や不育症の原因を明らかにするために役立つと考えています。
生殖に関連する細胞・分子の機能に興味がわいたら、一度ラボをのぞきに来てみませんか?
HORMAD1欠損マウスは、減数分裂の際に、相同染色体同士の対合がうまくいかなくなることが原因で、雌雄ともに不妊となります。雄では、対合不全を生じた精母細胞がアポトーシスを起こすため、精子が作られないのですが、雌では、対合不全を生じている(右上)にもかかわらず細胞死を起こさず、染色体数の異常な卵子が作られるという興味深い結果が得られました。これはHORMAD1が、相同染色体同士が対合するためのメカニズムだけでなく、対合が正常に行われることをチェックするメカニズム(対合チェックポイント)にも必要であることを示すと考えられます。この雌マウスを正常雄と交配すると、妊娠はするものの胎仔が正常に発育しない、という、ヒトの不育症のような表現型を示します(右下)。これらの結果を元に、HORMAD1の分子機構の解析を端緒として、対合チェックポイントの全容の理解を目指しています。
より詳しい内容は、これまでの研究で。
HORMAD2は、HORMAD1を介して非対合部分の減数分裂染色体に結合する分子で、HORMAD1欠損マウスでは、HORMAD1、HORMAD2両方の機能を欠失していると考えられました。そこで、HORMAD2欠損マウスを作製して表現型を解析したところ、HORMAD2は減数分裂の過程自体には必須ではなく、雄では、性染色体が形成するXY bodyと呼ばれる構造が異常になるために精母細胞がアポトーシスを起こして不妊になり、雌では、対合不全を起こした卵母細胞の細胞死に必要であることが明らかになりました。このことから、HORMAD1による減数分裂チェックポイントの機能は、実際にはHORMAD2が中心的な役割を果たしていることが明らかになりました。
より詳しい内容は、これまでの研究で。
SPO11欠損による卵母細胞数の減少と、HORMAD2の同時欠損による回復
マウスHORMAD1とHORMAD2には、多くのリン酸化部位が存在します。これらのリン酸化の機能的意義を明らかにするため、各リン酸化に特異的な抗体を作製して、蛍光免疫染色によりリン酸化のタイミングや分布を明らかにすると共に、ゲノム編集によりリン酸化部位のアミノ酸(セリン)を非リン酸化型のアラニンや、リン酸化模倣型であるアスパラギン酸に置換した変異体マウスを作製して、その表現型の解析を行っています。現在、HORMAD2のリン酸化による対合チェックポイント活性の制御を中心に解析を進めています。
HORMAD1のリン酸化部位特異的抗体
HORMAD2のリン酸化部位特異的抗体
1970年 千葉県生まれ
1989年 市立銚子高等学校卒
1993年 東京大学理学部生物学科(動物学教室)卒
1995年 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻修士課程 修了
1996年 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程 中退
1996年 - 1999年 群馬大学医学部 助手(解剖学第一講座)
1999年 - 2003年 名古屋大学医学部/大学院医学系研究科 助手(解剖学第一講座/分子細胞学分野)
2000年 理学博士 (東京大学)
2004年 - 2012年 藤田保健衛生大学 総合医科学研究所 助手/助教(分子遺伝学研究部門)
2012年 - 現在 群馬大学大学院医学系研究科 講師(生体構造学分野)
組織学、細胞遺伝学、減数分裂
日本解剖学会、日本分子生物学会