UEC LAPの授業での利用事例をいくつか紹介します。この他にも多岐にわたるシーンで活用して頂けます。
他にも授業での利用事例がある方は、ぜひ目安箱からお知らせください。
情報理工学域1 年生の必修科目「基礎プログラミング及び演習」(履修者数75 名)を対象に、第6回講義時にGoogleフォームで作成した振り返りシートを利用した振り返り、第15回講義時に生成AIとの対話による振り返りを実践しました。振り返りの際には学生にLA システムにアクセスしてもらい、第6回講義時は第1回から第5回、第15回講義時は第1回から第14回までの学習記録データを閲覧して、この科目でこれまで取り組んできた学習を振り返ってもらい、今後の学習行動の改善を支援しました。
各学習者の学習記録データに基づいて個々に寄り添った振り返りの支援を目的として実施しました。
静的な振り返り手法として振り返りシート、動的な振り返り手法として生成AIを活用したチャットベースの振り返りを実施しました。
通常の授業(75分)
振り返り手順の説明(3~4分)
LAシステムへのアクセス(1~2分)
振り返り(8分)
アンケート(2分)
(1)自己評価と客観データによる評価(客観評価)とのギャップを考察、(2)他者と自身のデータとの比較、により学習行動改善のための振り返りを促すため、各データについて以下の流れに沿って構成されています。
<振り返りのフロー>
自分の学習記録データを確認せずに各データについて自覚している値を記入する.
LA システムで自分の学習記録データを確認し,気づいたことを記入する.
LA システムで他者のデータ(クラスの箱ひげ図や各回のクラス平均の折れ線グラフ等)と自分のデータを比較して気づいたことを記入する.
今後の目標や改善点を記入する.
2023年11月6日の第6回講義にGoogleフォームで作成した振り返りシートを活用して振り返りを実施してもらいました。
振り返りシートを利用した振り返り時に参照した学習記録データは以下の通りです。()内がLAPで参照する項目です。
学習時間(資料閲覧回数・利用時間)
課題の提出回数(レポート)
小テストの得点(小テスト)
目標について
学習時間について
課題の提出回数について
小テストの得点について
質問に回答することによって振り返りのフローに従って振り返りが実施できます。LAPを参照して回答する個所では画像の様に、参照箇所を画像付きで指示しています。
2023年11月6日の第6回講義では、43名が振り返りシートを利用して振り返りを実施しました。各学生が記述した振り返りの内容を分析し、記述内容を分類した結果は以下の通りです。
学習時間の改善点に関する記述内容を分析した結果、95.3%の学生が学習時間に関して何かしらの改善点を記述していました。
2024年1月29日の第15回講義では、生成AIを活用して対話をしながら振り返りをしてもらいました。
・利用した生成AI
生成AIにはBetter ChatGPT (OpenAI のChatGPT API を利用できるオープンソースのWeb アプリ)を採用しました。
Better ChatGPTはこちら
3.振り返りの流れに示した振り返りのフローの順番で生成AIとの対話が進むように、プロンプトを設定しました。また、学習者が生成AIとの対話を通して具体的な回答を引き出せるようにプロンプトを設計しました。具体的には、(1)具体的な原因の深堀、(2)目標や改善点の追求、(3)学習記録データに応じて個々に寄り添った振り返りができるように、プロンプトに役割、命令、制約条件、対話フローの詳細説明等を明記しました。
本実践で利用したプロンプトはこちら
今回の実践で振り返りの対象とした学習記録データは以下の通りです。()内がLAPで参照する項目です。
小テストの得点(小テスト)
Better ChatGPTにアクセスします。
gpt-4のAPIキーを入力します。
デフォルトチャット設定でgpt-4を指定し、最大トークン数を8192(最大)に設定します。
「新しいチャット」を開始し、用意したプロンプトを入力して「生成」を選択します。(以下のデモ動画参照)
より詳細な振り返り手順は授業時に使用したGoogleサイトを参照してください。
プロンプトを入力すると最初の質問が投げかけられます。
質問に回答していくと振り返りのフローに従って振り返りが実施できます。
曖昧な回答をした場合、詳細を追求する質問が追加で行われる場合があります。(動画内50秒付近~)
対話を最後まで進めると、それまでの回答のまとめと終了が宣言されます。
2024年1月29日の第15回講義では、30名の学生が生成AIとの対話による振り返りを実施しました。生成AIとの対話では、曖昧な回答に対する追求が行われ、振り返りシートを利用した第6回講義時の振り返りに比べ、事前に意図していた振り返りのフローに沿った振り返りが行われていました。また、学生からの回答に対して、その原因や改善点を追及する質問が生成AIから提示され、振り返りシートよりも具体的な振り返りを促せていたことが確認されました。
その他の対話履歴の例
分類Aの対話例
分類Dの対話例
第6回と第15回の講義時に実施した振り返り後に、LAシステムで扱うデータに関するアンケートを実施しました。
【質問5-3】LAシステムでどんなデータを確認できるようになると、今後の学習時の参考になるかについて回答してください。
【結果】8 割程度の学生が「特になし」及び「十分」と回答しましたが、その他の回答として以下の意見があしました。
前年比
成績/試験の点数
成績の差のライン
データの相関
予想の成績
次の学習姿勢について
【質問5-4】その他、LAシステムの改善点などがあれば自由に記述してください。
【結果】9件のみ回答があり、回答内容は「特になし」や感想のみでした。
【質問1】LAシステムでどんなデータを確認できるようになると、今後の学習時の参考になりますか?参考になるデータを自由に記述してください。
【結果】未実装のデータに関する提案が半数程度あり、まとめると以下のような回答がありました。
評定(5件)
学習時間(4件)
前年比
成績の予想
過去の状況
平均点との差
学習の評価項目。小テストの問題のポイント
【質問2】その他、LAシステムの改善点などがあれば自由に記述してください。
回答があったのは12件で、そのうち8 件が「特になし」や感想でした。その他の4件は以下の通りです。
サイトを開くのが楽になるといい
毎週通知してほしい
アクセスしやすくする
LA システムを授業開始時に周知させること。