システム創成学科3年生向けの材料力学講義です。材料力学1,2を受講している方を前提とし、やや高度な材料力学分野も含んでいます。破壊力学についても第八回~第九回で少し触れています。
第一回講義では材料力学の定義としてマクロな連続体として扱うシンプルにモデル化された実用学問体系であることを説明し、応力のテンソルとしての定義を復習します。
1.序
2.応力の定義
3.応力の変換
4.主応力
第二回ではモールの応力円を利用した主応力の求め方に加え、実材料評価としての応力ひずみ曲線・信頼性工学など実用分野を紹介します。
5.モールの応力円
6.ねじりの応力状態
7.応力とひずみの関係
8.材料の強さと強度設計
8-1 信頼性工学
8-2 引張試験
第三回では力のつり合いのみで反力が求まるリンク部材や梁部材の問題の解法を学習します。また断面二次モーメントを使って弾性変形量を求める方法を習得します。
9.軸力を受ける棒
9-1 棒の力の釣り合い
9-2 静定と不静定
10.静定梁のたわみの計算
ベルヌーイの仮想仕事の原理、マクスウェルの相反定理を基礎としたカスチリアーノの定理を学習します。これらはエネルギー原理と呼ばれるもので、本講座の中心的な部分です。
11.エネルギー原理
11-1 マックスウェル・ベッティの相反定理
11-2 カスチリアーノの定理
11-3 仮想仕事の原理
引き続きエネルギー原理について例題演習を行っていきます。
11.エネルギー原理
例題演習
エネルギー原理を用いることで不静定問題が効率的に解けることを理解し習得します。せん断エネルギーの定義について学習します。
12.不静定梁のたわみ量
(1)静定梁のたわみ計算演習問題1
(2)不静定梁のたわみ計算演習問題2
(3)不静定梁のたわみ計算演習問題3
(4)不静定梁のたわみ計算演習問題4
13.せん断力によるひずみエネルギー
二次元弾性論です。担当教員の専門分野である破壊力学につながる材料力学の中でも芸術的な分野です。応力関数の由来や功績について知識を習得します。
14.二次元弾性論、応力関数
14-1 応力の釣り合い方程式
14-2 ひずみの適合条件
14-3 平面ひずみ、平面応力
14-4 Airyの応力関数
14-5 Airyの応力関数の極座標表示
14-6 円孔を持つ無限板の引張
14-7 複素関数の利用
14-8 Westergaardの応力関数(破壊力学序章)
14-9 亀裂先端近接位置における近似解
二次元弾性論から求める厳密解を用いて天才的な近似を行ったIrwinの業績である線形破壊力学を学びます。
15.破壊力学
15-1 亀裂先端近接位置における近似解
15-2 応力拡大係数
15-3 熱力学第二法則による破壊の記述
15-4 Griffith理論と応力拡大係数の等価性
15-5 応力拡大係数の重ね合わせ
15-6 き裂先端の塑性域と小規模降伏条件
15-7 まとめ
金属材料で見られる塑性変形を連続体力学として記述する方法を学習します。また、このモデルを破壊力学に応用した弾塑性破壊力学についてその理論と工学的功績について知ります。
16.塑性変形
16-1 金属における塑性変形の正体
16-2 連続体モデル・弾塑性問題
16-3 降伏曲面
17. 弾塑性破壊力学