ここでは本テーマに関するこれまでの研究の流れや直接参考になる資料などを共有しています。
とても脆い鉄板であればハンマーで叩くだけでガラスが壊れるように破壊します。これを脆性破壊と言います。一瞬で破壊しているので判りにくいですが、材料の中の一か所から脆性き裂が発生し伝播して破断するものです。き裂が伝播する速度は500m/sという超高速です。
アレスト性とは?
アレスト設計1
アレスト設計2
LNGタンクにおけるアレスト試験
溶接協会のWE-COMマガジンというWEBマガジンに寄稿したものです。この手の解説は沢山あります。
2015Fy-2018Fyの3年間、鉄鋼協会内に産発プロジェクトという研究体を立ち上げ研究を行っていました。これまで立ち入っていなかったミクロ組織の詳細な成り立ちとアレスト特性との関連をマルチスケール的に解明する試みです。
その中で散逸エネルギーを故意に増加させてアレスト特性を向上させるアイデアを考えました。これまでも様々なアイデアがありましたが、特効薬になるような技術は出てきていません。
ディンプル加工はこのプロジェクトの中で提案されたものです。
このコンセプトを実際に実験した結果を以下に示します。
<今後の展開についての方針>
ディンプル付き混成ESSO試験では残念ながらき裂が停止するには至りませんでしたが、き裂伝播速度は確かに低下させることができました。これはディンプル加工の効果の予想通りの効果が発揮された可能性があります。しかしながら、それを検証する必要があります。ディンプル加工をすることでエネルギー散逸を大きくすることが狙いでしたので、エネルギー散逸の量、つまり、破面の粗さを測定することでその評価に替える必要があります。ただ、単なる粗さの比較ではなく、き裂伝播速度に対する粗さの関係を下敷きにし、その関係がどのように変わるかということを明らかにする必要があります。また、同じ試験片内でも破面粗さは分布していると考えられます。それらを定量化したいところです。