研究内容・成果
ここでは、これまでに発表した「子どもと絵本・本に関する研究」プロジェクトの成果をご紹介します。
過去に開催したイベントでも研究成果の一部を発表しています。
イベント等での発表資料は「資料一覧」のページでご覧いただけます。
研究内容・成果一覧
目次をクリックすると、それぞれの研究内容・成果のセクションにジャンプします。
〇紙の絵本・本とデジタル絵本の比較
「子どもにとってデジタルよりも紙の絵本の方が好ましい」と考える人は多いのではないでしょうか?
これまでの研究では,子どもにとって紙の絵本の方が良いという知見もあれば,デジタルの方が良いという知見もあり,優劣というよりも紙とデジタルそれぞれの特性を理解することが重要とされています。
私達の実験では,紙の絵本とデジタル絵本それぞれの特性をより詳細に検討することを目的として,絵本の内容の理解だけでなく,読み聞かせ時の子と保護者それぞれの視線行動や会話の内容にも注目してデータを収集・分析していきます。
【イベント等での発表】
研究報告「デジタルメディア時代における 子どもと絵本・本との関わりについて」佐藤 賢輔(発達保育実践政策学センター特任助教)
2022年7月26日 文部科学省令和4年度子供の読書活動の推進に関する有識者会議(第2回)議事録/配布資料「絵本およびデジタル絵本共同視聴時における保護者と子どもの相互作用:オンライン実験による検討」 佐藤 賢輔(発達保育実践政策学センター特任助教)
2020年12月4日共催シンポジウム「デジタル時代における絵本・本の価値を探る ~子どもたちの豊かな読書環境の実現を目指して~」発表資料
【学会発表】
佐藤賢輔・浜名真以・廣戸健悟(2021). 幼児と保護者による絵本およびデジタル絵本の共同読み場面の比較:オンライン実験による検討. 日本心理学会第85回大会
浜名真以・佐藤賢輔・廣戸健悟・二村郁美 (2021). 絵本およびデジタル絵本を読む際の母子相互作用の分析. 日本発達心理学会第32回大会
〇メディアの種類が子どもの想像力に及ぼす影響
「絵本や本は子どもの想像力を刺激する」とよく言われます。この根拠としてよく挙げられるのが,メディアとしての絵本・本には,音声や動きが伴わないため,アニメーションなどと比べ,想像で補わなければいけない情報がたくさんあるという点です。
しかし意外にもこの言説を支持するような研究例やデータは知られていません。私達は,アニメーションと静止画など子どもに呈示するメディアの違いによって,想像力の発揮のされ方が異なるかどうかを直接検証するための実験を実施していきます。
【学会発表】
佐藤賢輔(2022). 絵本・本・デジタルメディアと子どもの心理学. 第108回全国図書館大会群馬大会(ウェブサイト)
佐藤賢輔・浜名真以 (2021). Zoomを用いた対話型のオンライン実験:絵本の読み聞かせをテーマとして. 日本発達心理学会第32回大会
佐藤賢輔・廣戸健悟・浜名真以(2023). 子どもの創造的思考はメディアの種類に影響を受けるか?―Zoomを用いたオンライン実験による検討―. 第19回日本子ども学会学術集会
〇幼児・児童の読書とデジタルメディア利用についての保護者調査
幼児・児童の主に家庭における読書とデジタルメディア利用の実態について把握するため,子どもの保護者を対象としたアンケート調査を実施します。また,子どもの言語や社会情動的スキルの発達についても同時に調査することで,読書,デジタルメディア利用と発達との関連についても調べます。
本調査については,同じ対象者を繰り返し調査する縦断研究を予定しており,読書やデジタルメディア利用が発達に及ぼす影響について詳細に検討するとともに,幼児期から児童期にかけての読書,デジタルメディア利用の変化などについても合わせて検討します。
【イベント等での発表】
研究報告「デジタルメディア時代における 子どもと絵本・本との関わりについて」佐藤 賢輔(発達保育実践政策学センター特任助教)
2022年7月26日 文部科学省令和4年度子供の読書活動の推進に関する有識者会議(第2回)議事録/配布資料研究報告「家庭での幼児のデジタルメディア利用および読書に関する調査」佐藤 賢輔(発達保育実践政策学センター特任助教)
2022年1月18日 オンラインセミナー「これからを生きる子どもとデジタルメディア」(「デジタル時代の子どもと絵本·本」シリーズ 第4回)発表資料
【学会発表】
佐藤賢輔(2022). 絵本・本・デジタルメディアと子どもの心理学. 第108回全国図書館大会群馬大会(ウェブサイト)
佐藤賢輔(2022). 幼児における家庭での読書およびスクリーン視聴の実態とリテラシーおよび社会情動的スキルとの関連. 日本心理学会第86回大会
佐藤賢輔(2023). 紙とデジタル・イラストとアニメ:幼児の思考と行動のメディア間比較. 日本発達心理学会第34回大会(発表予定)
〇新型コロナウイルス感染症流行下における子どものマルチメディア環境調査
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流向下における子どものマルチメディア環境の変化について調査を行っています。
【学術論文】
Sachiko Nozawa and Midori Takahashi in press How parents and children spent time during pandemic?: Exploratory study of home activity patterns and parental mental health COVID-19 Japan. In Schutter,S., Harring, D., & Bass L.E. (Eds.) Children, Youth and Time Sociological Studies of Children and Youth Vol.30 pp. 49-68. Emerald Publishing. (査読あり)
【学会発表】
高橋翠.(学会発表)「乳幼児のマルチメディア環境の実態と課題(大会プログラム委員会主催シンポジウム:デジタル機器使用が子どもの発達に及ぼす影響).」,『日本発達心理学会第32回大会』, 2021.
Midori Takahashi, Sachiko Nozawa, Yoko Sugai, Kiyomi Akita.「The accessibilities and limitations of library services for young children and parents during the COVID-19 pandemic in Japan.」, The 42nd Annual Conference of the International Association of Early Childhood Education,2021,E-13.
〇保育・幼児教育施設における絵本環境実態調査
保育・幼児教育施設に通う子どもたちの絵本・本環境の実態と課題を明らかにするために、全国の施設を対象とした調査を行いました。
【イベント等での発表】
「子どもの絵本・本環境に関する調査結果報告:① 子どもの絵本・本環境の実態:家庭·園·地域の図書館調査の知見から ② コロナ禍における子どもの絵本・本環境の実態を探る」 高橋 翠(発達保育実践政策学センター特任助教)
2020年12月4日共催シンポジウム「デジタル時代における絵本・本の価値を探る ~子どもたちの豊かな読書環境の実現を目指して~」発表資料
【学術論文】
高橋 翠, 野澤 祥子, 菅井 洋子, 佐久間 路子, 仲本 美央, 唐 音啓, 秋田 喜代美(共著),「保育・幼児教育施設における絵本・本の蔵書数と年間予算:施設間の相違と地域環境との関わりに着目して」,『国際幼児教育学研究』第28巻,2021,pp. 119-136.(査読あり)
秋田喜代美.(2022). 子どもの読書環境の変化と読書環境のデザイン原理. 図書館雑誌, vol.116, No.4, p187-189.(寄稿)
【書籍・刊行物】
高橋 翠,「全国の保育・幼児教育施設への蔵書状況などの調査から見えたこと」,『子どもと読書』,親子読書地域文庫全国連絡会(編集)親子読書地域文庫全国連絡会, 2021, pp. 2-6.
【その他発表】
高橋翠.「幼保調査・公立図書館調査結果のご紹介」,第23回図書館総合展 ONLINE plus, 2021.
高橋翠.「乳幼児のマルチメディア環境の実態と課題(大会プログラム委員会主催シンポジウム:デジタル機器使用が子どもの発達に及ぼす影響).」,『日本発達心理学会第32回大会』, 2021.
〇子どもの読書環境と公立図書館の役割に関する調査
公共図書館・図書室は地域の子どもたちの絵本・本環境にとって非常に重要な役割を果たしていると考えられます。
全国の公立図書館・図書室を対象として、新型コロナウイルス感染症流行下における取り組みや、子どもの読書環境の保障と向上に向けた取り組みについて把握することを目的として本調査を実施しました。
【イベント等での発表】
高橋翠.(学会発表)「全国保育・幼児教育施設の絵本・本環境実態調査と新型コロナ保護者調査の結果紹介(ポプラ社×東京大学Cedep「子どもと絵本・本に関する研究」~全国初の幼保調査より~).」,『第22回図書館総合展_ONLINE』, 2020.
【学術論文】
菅井洋子. (2022). すべての子どもたちのための読書環境の工夫ー「写真でみる公立図書館・図書室の乳幼児・保護者のためのスペース事例集」から-. 図書館雑誌, vol.116, No.4, p190-191.(寄稿)
【学会発表】
野澤祥子・高橋翠・菅井洋子・秋田喜代美 2021 公立図書館における乳幼児と保護者向けのサービスおよび設備・環境の実態に関する検討:全国公立図書館調査の結果から 第65回日本読書学会
菅井洋子・秋田喜代美・野澤祥子・高橋翠 2021 公立図書館・図書室における乳幼児と保護者のための読書環境構成―子どものための区画・閲覧スペースの写真分析から 第65回日本読書学会大会
〇子どもの読む権利に関する研究
子どもが自分自身で子ども向けの絵本や本を選んだり読んだりすること、マルチメディアにアクセスすることは権利として捉えられるようになってきました。その歴史的な動向について研究しています。
【イベント等での発表】
「保育における子どもの読む権利(Children's Rights to Read)の展望」 若林 陽子(東京大学大学院教育学研究科博士課程/日本学術振興会)
2020年12月4日共催シンポジウム「デジタル時代における絵本・本の価値を探る ~子どもたちの豊かな読書環境の実現を目指して~」発表資料
【学会発表】
若林陽子. (2021, October). 子どもの読むことをめぐる権利の諸相に関する文献検討. In 全国大学国語教育学会国語科教育研究: 大会研究発表要旨集 141 (pp. 323-326). 全国大学国語教育学会.