2025.11.11News
新井 裕 著 『十九世紀ウィーン民衆劇の世界 ヨーハン・ネストロイ研究』を刊行
新井 裕 著 『十九世紀ウィーン民衆劇の世界 ヨーハン・ネストロイ研究』を刊行
ウィーンにおける民衆生活は、音楽、歌、踊り、芝居といった多様な表現形態によって彩られてきた。これらの営為は、単なる娯楽の域を超え、劇場文化の基層に深く根差すものである。
本書は、こうした民衆文化を、「国民劇場」という公共的空間=コモンズの創設と関連づけながら考察する試みである。
19世紀前半に創設された「楽友協会」の影響を受けつつ登場した劇作家ネストロイは、制度批判と社会分析とを、ユーモアという柔らかい表現形式に包摂した。その批評性は、上層階級が享受したオペラを諧謔的に転倒させ、教養主義的演劇の権威性を軽やかに解体する。
■主要目次
第一章 コモンズとしての劇場
第二章 音楽の力
第三章 歌う劇場
第四章 言葉の力
第五章 介入する言葉
第六章 踊る力
第七章 旅する力
第八章 笑いの力
第九章 ウィーン民衆劇の世界
■執筆者紹介
<執筆者>
新井 裕(あらい ゆたか)
1954年 群馬県生まれ
1998年 中央大学文学研究科ドイツ文学専攻学術博士(文学)
2025年 中央大学名誉教授
<主な著書>(共著)
『ドイツの笑い・日本の笑い』 松本工房,2003年
『芸術のイノヴェーション』 中央大学出版部,2004年
<主な訳書>(共訳)
『ライムント喜劇全集(下)』 中央大学出版部,2000年
『オペラ・パロディの世界』 立教大学出版会,2007年
『ウィーンとウィーン人』 中央大学出版部,2012年