いずれか1冊を読み、感想文を書きなさい。(1000字程度)
平安時代の文学・文化・歴史への理解を深めるための入学準備課題へのいざない
平安時代の中頃になると、清少納言の『枕草子』、紫式部の『源氏物語』などというように、中流階級の女性貴族によってさまざまな文学作品が描き出されていきます。五・七・五・七・七の三十一文字の和歌という表現世界から、形式と字数の制約から解き放たれた散文による新たな表現世界へと女性が進出し始めたことにより、宮廷世界から多くの物語文学や日記文学といわれる作品が次々と生み出されていったのです。
課題図書にあげた2冊は、10世紀末から11世紀初頭に成立した作品やそれらを生み出した時代背景に関する概説書です。
『ビギナーズ・クラシックス 源氏物語』は、その名の通り初心者向けの『源氏物語』の入門書で、各巻についてのあらすじの他に、代表的場面を解説とともに味わえる内容となっています。主人公の光源氏の誕生前から死後に及ぶ、三世代にわたる超大作であり、光源氏の前半生を描く33巻までの第一部、後半生を描く41巻までの第二部、死後を描く54巻までの第三部というように、現在では全篇を三部構成に分けて理解するのが一般的です。課題の対象範囲になっているのは第一部に当たる282ページまでですが、意欲のある人はぜひ最後まで読み通してみてください。
『源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり』は、『枕草子』や『源氏物語』などを生み出した、華やかできらびやかに見える宮廷社会をめぐって、その当時の一条天皇と藤原氏の后たちを取り巻く貴族政権の内情を、〈歴史〉・〈政治〉という側面から解説したものです。清少納言や紫式部を取り囲む世情についての理解をじっくりと深めていただければさいわいです。
これらの読書を通して、少しでも平安時代や平安文学に興味を持っていただければなによりです。高等学校までは古典と言えば、現代語訳に文法というのが学習の中心となっていたかもしれませんが、大学ではそれにとどまらず、作品の内容やそれを表出した時代背景にも目を配り、作品を通して多くの事柄を学び、探究し、満喫していただきたいと願っています。さあ、これらの課題への取り組みを通して、古典文学研究への第一歩を踏み出してみませんか!
さらに聞いてみたいことがあればメールで受け付けます。kkoyama@fujijoshi.ac.jp