2019.10.4放送
以上のことから、「チコちゃんに叱られる!」内の応答は、複数のずれが生じていることが分かります。
テレビ番組にも様々な面があります。娯楽番組としてはそれでも良いかもしれませんが、老若男女の幅広い層が観るNHKの教養番組としては疑問を感じてしまいます。ましてや国語教育における言語運用の観点からはこの応答は良いとは言えません。
例えば明確な答えがない場合は、「チコちゃんに叱られる!」はクイズ番組のような構成をしているため、答えが一つに決められない問いを投げかけることは、解答者や視聴者に対して不誠実であると言えます。そのような問いで答えを求める場合は、解答者が求められている答えを認識できるように、質問者による誘導が必要です。
質問と解答のずれは、質問や解答の仕方が良くないために正確な内容が伝わっていないことが考えられます。漠然としているが故に誤解が生じてしまい、論点が分からなくなってしまいます。つまり、解答者に配慮しながら、具体的かつ明確な質問を考える必要があります。例えば、質問と解答のずれ①の「パンダ」のように、ポイントがずれた解答を正解としてしまっている応答もあります。この応答の仕方がテレビで放送され、容認されるのが問題となります。
国語教育に関わる場面を含む公の場では、質問する側も解答者に配慮し明確に質問をし、また解答する側も適切な解答をするのが理想です。だから、チコちゃんの番組の応答は国語教育における言語運用の観点からは適切とは言えません。