物性研究所

物性コース

2022年2月15日(火)~2月18日(金)

1.スピントロニクスデバイスをつくろう (文科可)

三輪 真嗣 准教授 ・坂本祥哉 助教 https://miwa.issp.u-tokyo.ac.jp/

課題内容

電子には電荷とスピン(磁石としての性質)の2自由度があります。スピンの性質がナノの世界で顕著に現れることに着目し、高度なレベルでエレクトロニクスを実現する研究分野をスピントロニクスと呼びます。本研究では複雑な合金(例:Mn1.4Pt0.9Pd0.1Sn)ではなく、単体(例:Pt)を積層することにより疑似的な新物質を創成する点が特徴です。本サイエンスキャンプでは材料の組み合わせを学生さんに選んでもらい、実際にスピントロニクスデバイスを作製して評価します。

キーワード

スピントロニクス、磁性


2.シミュレーションによって未来の物質をデザインする (文科可※要相談)

尾崎 泰助 教授 https://t-ozaki.issp.u-tokyo.ac.jp/index_jp.html

課題内容:

私たちの身の回りにある物質はミクロに見れば原子核と電子で構成されており、物質の硬さ、電気伝導性、色などの性質は物質の構造と電子状態で決まっています。物質の電子状態を決めている物理法則は量子力学です。したがって、量子力学における基本方程式を精密に解くことで物質の性質を予測することが可能となります。本コースでは量子力学の第一原理から出発し、コンピューター上で未来の物質のデザインにチャレンジします。物質構造の成り立ちと電子状態の基礎を学ぶ手掛かりが得られることでしょう。

キーワード

シミュレーション、第一原理電子状態計算、物質デザイン

参考図書

ケイサン ブッシツ カガク Kindle版

計算物質科学イニシアティブ(CMSI) (著)

3.核磁気共鳴実験で探る物質の磁性 (文科可)

山下穣 准教授・武田晃 助教【https://yamashita.issp.u-tokyo.ac.jp】

課題内容

私たちの身の回りで活躍する磁石。この便利な性質は物質中の電子のスピンが同じ方向に揃うことによって発現しています。物質によって、スピンが同じ向きに揃う強磁性や、反対向きに並ぶ反強磁性などの様々な磁気状態が現れる事が知られていて、その解明が物質科学の大きな研究テーマとなっています。この課題では、核磁気共鳴(NMR)測定と呼ばれる手法を利用して、そのような電子スピンの配列状況を観測します。本課題を通して、参加者は物質の磁性と分子構造解析や医療にも応用される核磁気共鳴現象の基本原理を学びます。

キーワード

電子スピン, 磁性体, NMR

参考図書

安岡弘志著 岩波講座 物理の世界 核磁気共鳴技術

4.光ではたらくタンパク質を調べよう (文科可)

井上 圭一 准教授 https://inoue.issp.u-tokyo.ac.jp/

課題内容

動物の視覚や植物の光合成など、地球上の生き物は多様な形で光を利用して生きています。その時に、光の情報やエネルギーを生体反応に変換する役割を果たすのが、細胞の中に存在し、光を捉える機能を持った特殊なタンパク質群です。本課題ではタンパク質がどの様にして光を捉え、それを生体反応に変えるのか、その仕組みや、どの様な実験でそれが明らかにできるのかを学びます。

キーワード

光受容タンパク質、生体分子分光学、光生物学、光遺伝学

参考図書

「光と生命の事典」(朝倉書店)

「生体分子分光学入門」(共立出版)

未開の電磁波「テラヘルツ波」で物を観察してみよう (文科可)

松永隆祐 准教授 ・神田夏輝 助教 https://matsunaga.issp.u-tokyo.ac.jp/

課題内容

光と電波の中間に位置する特殊な電磁波「テラヘルツ波」を使うと、従来の光や電磁波では見えない物や現象を調べることができます。テラヘルツ波の発生と検出、テラヘルツ波によるイメージングを実践しながら、電磁波が物質にどう作用するのかを学びます。

キーワード

レーザー、テラヘルツ、イメージング