大気海洋研究所
大気と海洋コース
2022年2月22日(火)～2月25日(金)
１．柏で大航海：世界の海底地形を眺める（文科可）
沖野 郷子 教授 【http://ofgs.aori.u-tokyo.ac.jp/~okino/ 】
課題内容
地球に海があることは，惑星地球と生命の歴史に大きな影響を与えてきました．それでは，その広い海の下には何が？実は，深海底こそが，地球の変動が最も大規模に起こっている場所であり，また同時に過去の地球の歴史を記録している場所でもあります．深海底には，陸上では見られないような長大な山脈や深い谷，巨大な台地が広がっていますが，実際に調査をすることは容易ではありません．
サイエンスキャンプでは，まずGoogle Earthを使って世界の海底を眺めて，ダイナミックな風景が広がっていることを堪能しましょう．そのあと，世界のプレート境界地形を比較するため，どのような特徴量を計測したらよいかを考え，実際に比較をしていきます．
キーワード
海底地形 プレートテクトニクス 海底探査 海嶺 海山 海溝
参考図書
中西正男・沖野郷子「海洋底地球科学」 東大出版会
平朝彦・海洋研究開発機構 「地球科学入門」 講談社
２．数値天気予報：台風シミュレーションの実践
佐藤 正樹 教授 【https://cesd.aori.u-tokyo.ac.jp/satoh/index-j.html】
課題内容
現代の天気予報・気象予測は数値モデルによるシミュレーションに基づいています。
気象を予測する数値モデルは、大気や水の運動・状態変化の物理法則を基に数値的に計算します。
本コースでは、最先端の数値気象モデルを用いて、実際に発生した台風等の気象事例をシミュレートし、数値モデルのしくみ、台風のメカニズムについて学習します。
初期値のわずかな差異や擾乱によって台風の強度や経路がどのように影響するか、シミュレーションを通じて体験することができます。
キーワード
数値天気予報、数値シミュレーション、気象モデル、台風
参考図書
Satoh (2013): Atmospheric Circulation Dynamics and General Circulation Models, 2nd edition
３．DNAから探るサンゴ礁生態系の謎（文科可）
新里 宙也 准教授
課題内容
サンゴ礁は、地球上で最も生物多様性が豊かな環境の一つとして知られています。その礎となっているのが刺胞動物の仲間、造礁サンゴです。造礁サンゴの生態は、未だ多くの謎に包まれています。今回の実習では、サンゴの生態の謎の一つ、初夏に見られる一斉産卵を取り扱います。サンゴの養殖場での一斉産卵、どの種のサンゴが実際に産卵していたのか、DNA情報を用いて調べてみたいと思います。
４．変わりゆく海洋環境―化学の視点から（文科可）
白井 厚太朗 准教授 【http://co.aori.u-tokyo.ac.jp/macg/japanese/home.html 】
課題内容
地球温暖化の原因となる二酸化炭素を含め、人間活動は様々な物質を排出し、それらの環境中での分布を変化させています。このような環境擾乱の影響を理解するためには、地球環境を支配する要因を基礎知識として学ぶ必要があります。本課題では、海洋の化学的環境を理解するための基礎知識を得るとともに、自らの手で実験し、その結果を自ら解釈することを講義目的とします。今年度は、みなさんが興味を持った海産物の炭素と窒素の同位体比を分析し、結果をもとにそれらの由来について考察する予定です。
キーワード
海洋環境，化学，海洋汚染
参考図書
「海洋地球化学」講談社（2014年7月発行、ISBN 978-4-06-155237-1）
５．気候シミュレーションの世界を覗いてみよう
吉森 正和 准教授 【https://ccsr.aori.u-tokyo.ac.jp/~masakazu/ 】
課題内容
気候の将来予測は，数値気候モデルと呼ばれる，コンピュータの中に作られた仮想の地球を用いて行われます．地球全体をカバーする気候モデルは，大気，海洋，海氷，陸面などの複雑な物理過程とその相互作用を数理的に表現した巨大なコンピュータプログラムです．この巨大なプログラムはビッグデータを吐き出します．本課題では，気候モデルの構造や構成要素の基礎を学び，実際にその計算結果を図示したりすることで，自分なりのイメージを掴んでもらいます．
キーワード
気候変動，シミュレーション，地球温暖化，古気候
参考図書
・日本気象学会地球環境問題委員会編 (2014): 地球温暖化 - そのメカニズムと不確実性 -.
朝倉書店, 162pp.
・江守 正多 (2008): 地球温暖化の予測は「正しい」か？ 化学同人，240pp.
