新領域 生命科学研究系

生命コース

2021年2月10日(火)~2月13日(土)

1.遺伝子の発現をコントロールするスイッチをつくろう

伊藤 耕一 教授 ・ 遠藤 慧 助教 https://sites.google.com/edu.k.u-tokyo.ac.jp/molgenet/home

課題内容

生命の基本単位である細胞は細胞内外の環境状態を検知して、その変化に対応するためにゲノム上のさまざまな遺伝子産物の発現を適切に制御している。遺伝子の発現スイッチの働きを意図的にコントロールする技術は、基礎研究の現場においても、生命機能を役立てる応用研究においても、有用なアプローチの一つと言える。本プログラムでは、遺伝子の発現を実験者が外部からコントロールするためのスイッチの作成とそのスイッチの動作確認を目的として、細菌、真菌といった単細胞の生物を利用した基本的な実験を実施する。

キーワード

遺伝子、転写制御、翻訳制御、遺伝子工学、微生物

参考図書

Ptashne, M., 2004, “A Genetic Switch, 3rd ed., Phage Lambda Revisited” Cold Spring Harbor Laboratory Press

※日本語翻訳版もあります。

2.植物ウイルスの増える過程を調べる

鈴木匡 准教授 【https://sites.google.com/a/edu.k.u-tokyo.ac.jp/ib_birt/】

課題内容

植物もウイルスに感染すると病気になります。植物細胞は動物細胞と異なり、細胞壁をもっているため、感染過程が大きく異なっています。感染から病気の発症までは5日以上かかりますが、ウイルスが侵入した細胞では1日で爆発的に増殖します。そして、隣接細胞へ移行し、師部から他の葉組織へ広がります。本プログラムでは、感染方法、1日後、2日後のウイルスの増殖を、PCR等の機器を使用して検出します。

キーワード

植物ウイルス、感染、PCR

研究室URL/https://sites.google.com/a/edu.k.u-tokyo.ac.jp/ib_birt/

3.スパコンで生命データを解析しよう( 文科可)

木立 尚孝 准教授 【http://www.cb.k.u-tokyo.ac.jp/kiryulab/】

課題内容

自然科学の多くの分野で、蓄積するビッグデータをどのように有効活用するか、が問題になっている。従来の理論科学研究は、既知の原理・仮説に基づき系を記述するモデルを立て、解がデータと整合的であることを示す、といった「仮説駆動型研究」のスタイルをとっていた。これに対し、情報爆発の現代においては、大量のデータを入力とし、データの背後に潜む原理や性質を推定する「データ駆動型研究」が特に重要となっている。本課題では、植物を記述する数理的モデルを用いてデータ駆動型研究を体験し、これからの理論科学研究のあり方を考えてもらうことを目的とする。

キーワード

ビッグデータ、仮説駆動型研究、データ駆動型研究、数理生物学

参考図書

「植物の形には意味がある」園池公毅 ベレ出版

「生命の数理」巌佐庸 共立出版

4.超音波で野菜がおいしくなるのはなぜ?(文科可)

尾田 正二 准教授 http://proposal.ducr.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/ccr_usr/detail.cgi?num=7221

課題内容

人間の味覚・臭覚は高感度の化学センサーです。超音波でいろいろ洗って食べてみます。超音波で洗った塩サバの凍結切片を作って脂質を染色して顕微鏡で観察します。


食材用の超音波洗浄機をつくったら、超音波洗浄した野菜はシャキシャキしてみずみずしさが戻っておいしくなるのを発見しました。今年、お陰様でその理由がわかりました。超音波洗浄したお肉や魚は臭みがなくなっておいしくなることを発見しました。表層の酸化した脂質が超音波の脱脂作用で除去されるからです。どのくらい除去されるのか調べるのに協力してくれるヒトを待っています。

キーワード

超音波、野菜、お肉