大気海洋研究所
大気と海洋コース
2021年3月2日(火)~3月5日(金)
1.日本周辺海山ハンティング(文科可)
沖野 郷子 教授 【http://ofgs.aori.u-tokyo.ac.jp/~okino/ 】
課題内容
地球上の火山の8割は深海底にあります。陸上の火山は、少なくともその形態や活動状況を肉眼で見ることができますが、海底火山は深くて暗い海の底にあり、容易に近づくことはできません。これらの海底火山の情報は、人工衛星(世界中をカバーできるけれど分解能が低い)、船(分解能はあがるけれど、荒れた海や危険な火山に近づけない)、ロボット(データは最高だけれど今のところ狭い範囲しか動けない)、有人潜水船(興奮するけどコストかかりすぎ)といった手段で集めていますが、まだまだ未知の海域がたくさんあります。
サイエンスキャンプでは、まず世界の海底を眺めて色々な火山があることを堪能しましょう。そのあと、できるだけタイプの違いそうな火山をいくつかハントして、地形・地磁気異常・重力異常の特徴を詳しく見ていきます。自分がハントした火山で過去にどんな調査が行われているかの検索もできるといいですね。
キーワード
海底探査 火山 地形 重力 地磁気
参考図書
中西正男・沖野郷子「海洋底地球科学」 東大出版会
瀧澤美奈子 「日本の深海」 講談社ブルーバックス
2.観測データから海の流れを探る(文科可)
岡 英太郎 准教授 【https://ocg.aori.u-tokyo.ac.jp/member/eoka/index-jp.html】
課題内容
海洋は、大気の約千倍の熱容量を持ち、地球の穏やかな気候を作り出すとともに、気候の長期変動や長期変化をコントロールしています。さらに海洋は近年、温暖化しており、地球表層に蓄えられる熱の90%以上は海洋が吸収しています(この熱を代わりに大気が吸収していたら、地球は既にサウナのような状態になっていたことでしょう)。そのため、海洋の変動・変化を理解し、予測することが重要です。本実習では、観測データの解析により、海洋の長期変動・長期変化を探ります。
キーワード
海洋物理学、データ解析、長期変動、温暖化
3.遺伝子組み換え技術で魚の繁殖メカニズムを理解する
神田 真司 准教授 【http://physiol.aori.u-tokyo.ac.jp/kanda/ ・ http://physiol.aori.u-tokyo.ac.jp/seiri/】
課題内容
脊椎動物は、視床下部でさまざまな情報を統合し、脳下垂体からの生殖をはじめとするさまざまなホルモンの放出を調節しています。本実習では、遺伝子組み換えメダカを用いて、脳下垂体からのホルモン放出動態をCa2+イメージングで観察する実験を行います。また、エコーでサメの卵巣を観察する個体レベルの新しい手法なども実践し、様々な種で細胞レベルから個体レベルまで解析する手法を体験します。
キーワード
メダカ サメ 遺伝子組み換え 顕微鏡 GFP GCaMP エコー
参考図書
「遺伝子から解き明かす魚の不思議な世界」神田真司編 ISBN 4909383077
4.変わりゆく海洋環境―化学の視点から(文科可)
白井 厚太朗 准教授 【http://co.aori.u-tokyo.ac.jp/macg/japanese/home.html 】
課題内容
人間活動起源の二酸化炭素の排出によって、全球的な温暖化や海洋酸性化が進行し、地球環境が急速に変化しつつあります。人間活動は二酸化炭素以外にも様々な物質を排出し、それらの環境中での分布を変化させています。このような環境擾乱の影響を理解するためには、地球環境を支配する要因を基礎知識として学ぶ必要があります。本課題では、海洋の化学的環境を理解するための基礎知識を得るとともに、自らの手で実験し、その結果を自ら解釈することを講義目的とします。
キーワード
海洋環境,化学,海洋汚染
参考図書
「海洋地球化学」講談社(2014年7月発行、ISBN 978-4-06-155237-1)]
5.数値シミュレーションで台風を再現して調べよう
宮川 知己 准教授 【https://ccsr.aori.u-tokyo.ac.jp/~miyakawa/】
課題内容
現代の気象予報や研究において数値シミュレーションは欠かせない道具です。
大気の流れ、温度、水蒸気、雲の性質など多くの要素についての物理法則を適切に計算に取り入れていくことで、数値シミュレーションは現実の大気をより正確に再現・予測できるようになっていきます。このコースでは、各自で台風を再現してもらい、山を削る、海に蓋をするといった現実世界では不可能な実験をして現象の性質を調べる体験をしてもらいます。
キーワード
台風, シミュレーション