2023年2月28日(火)~3月3日(金)
岩崎 渉 教授
課題内容
「生物情報科学」とは、生命システムを生命科学と情報科学の両面から解き明かすことを目的とした、バイオインフォマティクス、システム生物学、ゲノム生物学、オーミクスなどとも呼ばれる最先端の学問分野です。岩崎研究室では、約40億年にわたって進化してきた多様な生命の進化や多様性を生物情報科学によってひもとく研究を行っています。生物情報科学に興味を持つ教養学部1・2年生を対象に、生物学実験やコンピュータを用いた研究の最先端に触れてもらうとともに、研究者や大学院生と話すことで視野を大きく広げてもらいます。
キーワード
生命システム進化学、ゲノム進化学、エコシステム戦略学、機能未知遺伝子学、遺伝子誕生学
研究室URL:http://iwasakilab.k.u-tokyo.ac.jp/
参考文献(インターネット上でフリーで閲覧できるもの5編):
岩崎渉「機能未知遺伝子の機能を推測するバイオインフォマティクス:AlphaFoldから遺伝子誕生学へ」日本微生物生態学会誌37巻1号(2022)
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsmeja/37/1/_contents/-char/ja
岩崎渉「太古、生命が見た光を現代に再現―ロマンある生命の起源にせまる―」キヤノン財団 助成先だより(2021)
https://jp.foundation.canon/ga/aid_destination/ad_news_2021_wataru-iwasaki_phd.html
岩崎渉「日本ゲノム微生物学会研究奨励賞受賞にあたって」日本ゲノム微生物学会ニュースレター23号(2021)
https://www.sgmj.org/pdf/newsletter/sgmj_no23.pdf
岩崎渉「Oxford Journals-JSBi Prize受賞報告」日本バイオインフォマティクス学会ニュースレター第35号(2019)
https://www.jsbi.org/files/8615/5614/9069/NL35_HD.pdf
岩崎渉「日本進化学会研究奨励賞受賞記 データベース駆動進化学」日本進化学会ニュースvol.20 no.1(2019)
鈴木匡 准教授
植物もウイルスに感染すると病気になります。植物細胞は動物細胞と異なり、細胞壁をもっているため、感染過程が大きく異なっています。感染から病気の発症までは5日以上かかりますが、ウイルスが侵入した細胞では1日で爆発的に増殖します。そして、隣接細胞へ移行し、師部から他の葉組織へ広がります。本プログラムでは、感染方法、1日後、2日後のウイルスの増殖を、PCR等の機器を使用して検出します。
キーワード
植物ウイルス、感染、PCR
研究室URL: https://sites.google.com/a/edu.k.u-tokyo.ac.jp/ib_birt/
尾田 正二 准教授
課題内容
食材用の超音波洗浄機をつくったら、超音波洗浄した野菜はシャキシャキしてみずみずしさが戻っておいしくなるのを発見しました。一昨年、お陰様でその理由がわかりました。エチレンシグナルが抑制されて気孔が閉じるのが理由でした。超音波洗浄したお肉や魚は臭みがなくなっておいしくなることを発見しました。昨年、お陰様でその理由がわかりました。表層の酸化した脂質が超音波の脱脂作用で除去されるからでした。
いろいろな食材を超音波で洗って硬さの変化を測ったり顕微鏡で観察して、超音波の新しい利用法を探します。
キーワード
超音波、ホウレン草、塩サバ、おいしい
研究室URL:https://proposal.ducr.u-tokyo.ac.jp/proposalPage.html?proposalId=00245-01
中山一大 准教授
課題内容
ヒトは、寒い環境では体内で熱を産生して体温の低下を防ぎます。このはたらきを担っている組織の一つが褐色脂肪組織(BAT)です。BATのはたらきには大きな個人差があり、一塩基多型(SNP)に代表されるゲノム情報の個人差が、これに関与していることが明らかになりつつあります。このプログラムでは、参加者の皆さんのBATの活性を、赤外線カメラを用いて測定するとともに、唾液等からゲノムDNA抽出し、SNPの判定解析を体験します。
キーワード
褐色脂肪組織、赤外線カメラ、一塩基多型、ヒト
大谷美沙都 准教授
課題内容
細胞が特定の機能を発揮するために形態や物質生産能力を変化させる現象は細胞分化と呼ばれ、多細胞生物の複雑な生理活性を支える基盤となっている。本実習では、陸上植物の通水細胞である道管細胞を題材に、植物細胞分化のしくみを学ぶことを目的とする。このために当研究室で開発した道管細胞分化誘導システムをもちいて、分化に伴う細胞骨格や細胞壁タンパク質、遺伝子発現のダイナミクスを明らかにする。
キーワード
道管細胞、細胞壁、細胞分化
研究室URL(先端生命科学専攻HPより): https://www.ib.k.u-tokyo.ac.jp/faculty/plant_functional_analyses/
研究室HP: https://plantfunkashiwa.jimdofree.com
参考図書:
Kamon E, and Ohtani M. (2021) Xylem vessel cell differentiation: A best model for new integrative cell biology? Curr Opin Plant Biol. 64: 102135. doi: 10.1016/j.pbi.2021.102135.
鈴木 雅京 准教授
課題内容
オスとメスはどのようなしくみで決定されるのでしょうか。この問いに答えるため、本プログラムではショウジョウバエとカイコの性決定遺伝子をモデルとして、性別決定を支配する一連の遺伝子を様々な組合せで培養細胞に導入し、性別決定のしくみを分子レベルで理解します。また、得られた実験結果に基づいて、ショウジョウバエとカイコの性別決定のしくみにみられる共通点と相違点について考察します。
キーワード
性決定、培養細胞、遺伝子導入、選択的スプライシング
研究室URL: https://webpark1599.sakura.ne.jp/seigyo/
参考図書
「昆虫たちの不思議な性の世界」大場 裕一(編)一色出版
「カイコの実験単」日本蚕糸学会(監修)NTS INC.
「カイコの科学」日本蚕糸学会(編)朝倉書店