お旅まつり子供歌舞伎
風薫る五月、兎橋神社と本折日吉神社の春季例大祭として
行われる「お旅まつり」は、曳山子供歌舞伎でも有名です。
平成16年のお旅まつりの演目の中に、菅公にゆかりの芸題
「菅原伝授手習鑑」の三段目「吉田社社頭車曳の場」があります。
車曳の場ゆかりの絵図面
小松天満宮所蔵書物に「天満宮御伝記畧」嘉永四年(1851)
再版があります。初版は文政三年(1820))です。
本書は、菅公生前のお話と没後、北野天満宮に祀られる
までの出来事を絵図をまじえて、上下巻にまとめて出版された
ものです。菅原伝授手習鑑「車引きの段」とのかかわりを伺わ
せる逸話にかかる場面を絵図(画像)共に本書よりご紹介します。
菅公右大臣、時平左大臣の御時、菅公の御聟・齊世親王が
菅公の車にのってお出かけの折、時平の車が後より来て藤原家
の郎党ども、菅公の車とばかり、退け退け(しりぞけしりぞけ)
と追い立てられた。親王の従者は心中では親王の御位は時平より
も上と思いつつも我慢しつつ追われているところに、菅原家の
学問所の門人たちが、車中におられるのが親王とは夢にもおもわず、
菅公の一大事とばかり助太刀に入り、藤原家の従者を退け左大臣
の車を追い払われてしまった。車中でこの有様をご覧になられた
親王はお車を降りて左大臣に謝られたので、藤原家の従者も菅家
の門生も仰天して恐れ入ったが、左大臣はいと口惜しい思いをした、
との場面にかかる絵図面です。
「天満宮御伝記畧」上巻より
車曳の場と白太夫
車曳の場面は、菅公幼少の頃より死後まで傅役として
菅公に仕えた白太夫の三人の子供達、菅公に仕えた
梅王丸、菅公をおとしいれた藤原時平に仕える松王丸、
菅公の娘聟である斎世親王に仕える桜丸が主役となって
登場する場面の一つです。
菅公との深いご縁から各地の天満宮には白太夫を祀る
社が建てられていますが、小松天満宮にも白太夫がおま
つりされています。
画像は、江戸時代に小松町奉行を務めた江守助左衛門
尉 藤原隆亮が天明三年(1783)に奉納した白太夫社の
社号額です。
白太夫社の社号額