サインボードとは、列車に掲示される列車名、種別、行先などの列車の情報が書いてある板のことです。サイドボードと呼ばれることもあり、略して「サボ」といいます。
大きく分けて二つ種類があり、車両のサボ掛けに吊り下げる「吊りサボ」と、サボを受ける枠であるサボ受けに入れる「差しサボ」があります。吊りサボは主に旧型客車で使用され、差しサボは電車や気動車などが主でした。
行き先を変更する度に駅員がサボをひっくり返したり、別のサボに取り換える必要があり非常に面倒だったので、運転台から一括で操作できる方向幕に淘汰されていきました。
急行「伊豆」と「おくいず」で使われた差しサボです。
急行「伊豆」・「おくいず」とは、現在の特急「踊り子」の前身である急行列車です。その歴史は1950年代まで遡り、旧型国電の80系電車による準急「あまぎ」がはじまりです。そこから派生した急行「おくいず」と「伊豆」が急行「あまぎ」となり、特急に格上げされ現在の「踊り子」へとつながります。
このサボが使われていたのは157系など、最近現役を退いた185系よりも前の世代の電車です。185系は特急型の電車にもかかわらず方向幕がついているのでこのようなサボは使われていませんでした。
右下の「トウ」はこのサボを常備している駅、すなわちサボの所属を表しています。このサボは東京駅のものだということです。
仙山線のサボ
仙台駅と山形駅を結ぶ仙山線の吊りサボで、一方に「山形行」裏に「仙台行」と書かれています。
サボ上部に穴の開いた突起がついていますが、これを客車の爪のような突起に引っ掛け、吊り下げて使います。右下の○仙は仙台駅のサボであることを表します。
急行「瀬戸」のサボ
宇野駅は岡山県玉野市にある、宇野線の終着駅です。宇野線は途中の児島駅から瀬戸大橋線(本四備讃線)が四国に向けて伸びていますね。しかし瀬戸大橋が開通する前は、この宇野駅から讃岐高松に向けて「宇高連絡船」という連絡船が就航していました。急行瀬戸は、東京から四国に向けた列車だったのです。
しかし宇高連絡船は「紫雲丸事故」など事故が相次ぎ、瀬戸大橋に本州・四国の連絡の座を完全に奪われました。急行瀬戸は瀬戸大橋経由高松行きとなり、宇野行きは完全に廃止されました(東京発宇野行きのサボは時代を感じます)。
そして急行瀬戸は特急「瀬戸」に格上げされ、現在の「サンライズ瀬戸」へ至ります。
右下の○東は東京駅のサボであることを表します。
小田急江ノ島線急行のサボ
小田急江ノ島線の急行に使用されていたサボです。新宿駅〜片瀬江ノ島駅間で使われていました。アルミ製で国鉄のものよりも随分と軽いです。
小田急といえばやはり特徴的な先頭車の行先標・方向幕が印象的ですが、このようなサボも使われていたようです。 小田急のサボ受けは国鉄気動車と同じように車両側面中央に設けられていたそうです。