独立行政法人環境再生保全機構（ERCA）が扱う環境政策への貢献・反映を目的とした競争的研究費です。

「環境研究・環境技術開発の推進戦略」に示された気候変動問題への対応、循環型社会の実現、自然環境との共生、環境リスク管理等による安全の確保などの環境分野において、今後5年程度で重点的に取り組むべき研究・技術開発を行うものです。FoodXプロジェクトでは、水・土壌等の環境管理・改善のための対策技術の高度化及び評価・解明という重点課題に取り組む計画が採択されました。

「蓄積リンを新たな水質指標としたサンゴ礁保全に向けた陸域負荷低減戦略」

石西礁湖は日本有数のサンゴ礁地帯ですが、海水温の上昇に伴う大規模なサンゴの白化現象が繰り返される危機に直面しています。海水温の上昇の他、この数十年で急速に拡大した農業/畜産業など人間活動を起源とする有機物や栄養塩の礁湖内への流入がサンゴ礁のレジリエンス低下に寄与していると考えられており、従来の表層海水の水質分析では低濃度過ぎて捉えきれなかった陸域影響を評価するため、石灰質の海底底質に蓄積するリン酸塩（蓄積リン）を測定する新たな水質指標を提唱します。

本研究では海域の蓄積リンの起源とそのサンゴの白化度や密度低下との因果関係を解明し、得られた研究成果を石西礁湖自然再生協議会にて共有し多様なステークホルダーと協働で、陸域負荷低減につながる実効的な環境政策を立案していきます。

◆黒島や竹富島等の石灰岩地域から地下水経由で輸送されるリンや有機物や窒素の動態を、陸－海域統合　三次元物質循環モデルで定量評価

◆蓄積リンやその起源とみられる有機物や窒素との複合影響がサンゴの白化や生理・生態に与える影響について飼育実験的に因果関係を解明

◆炭酸カルシウムを堆肥に混合しリンの溶出を抑制する「サンゴに優しい」自給型堆肥肥料を開発

●実施体制：琉球大学、北里大学、東京大学、熊本大学、東京科学大学、総合地球環境学研究所、産業技術総合研究所