アンデス社会史(地域文化研究専攻)
専門に研究しているのはラテンアメリカの歴史、とくにアンデスの先スペイン期(インカ)から植民地時代までの歴史。現在は異端審問の活動をおいながら、十六世紀から十八世紀にかけてのアンデスにおける思想史の流れを明らかにしようとしている。また最近はアンデス世界に生きた女性の歴史も注視しており、学部の演習においてこの方面の論文を取り上げている。大学院の授業は主に古文書学の演習である。私の仕事として紹介できるのは、今年刊行した『インカとスペイン:帝国の交錯』(興亡の世界史シリーズ、講談社2008年)である。また高橋均先生とご一緒に書いた『ラテンアメリカ文明の興亡』(中央公論新社1997年)や、また駒場の歴史学部会の先生方と書いた『歴史の文法』(東京大学出版会)『史料学入門』(岩波書店)などに収められた論文なども読んでいただければ幸いである。
ラテンアメリカ文化研究(地域文化研究専攻)
12年間民間企業に勤め、家電製品のマーケティングに従事しました(うち8年はベネズエラに駐在)。ビジネスの傍ら音楽・文化評論に携わり、10年あまり「2足のわらじ」を履く生活でした。学術研究の方法を修練するため大学院に進学し、97年に会社をやめ、2000年から大学教員に転職しました。これまでスペイン語圏を中心に29ヵ国の国境を越えてきました。ですが、私にとってもっともけわしい「越境」は、産/学のボーダー越えでした。現在の研究テーマは、ベネズエラとコロンビアのアフロ系民族運動の比較研究ならびに「混血社会」といわれるラテンアメリカにおける人種主義の研究です。将来の課題としては、1960年代以降の対抗文化運動の文脈のなかで、「民衆文化」がどのように想像/創造/実践されてきたかということを、南・北アメリカ大陸、日本、西欧など異なる地域間で比較研究したいと構想しています。
ラテンアメリカ経済・先住民経済・インフォーマル、イリーガルなものの比較分析(国際社会科学専攻)
大学院では経済学を勉強したので、ディシプリンを聞かれたら開発経済学やラテンアメリカ経済論と答えるようにしているものの、地域研究者として、経済学が不得意な領域、語り得ないことを明らかにするという「生産的な棲み分け」を目標としています。主たるフィールドはメキシコです。ライフワークである都市に住む先住民移住者の継続的な調査のほか、環境保全型農業とコミュニティ開発、組織暴力に対する規範の変化といったテーマにも取り組んでいます。
略歴・著書など
ラテンアメリカの先住民とキリスト教、文化人類学(地域文化研究専攻)
ラテンアメリカの先住民とキリスト教をめぐる諸問題に関心があります。大学院では文化人類学を専攻し、とりわけスペイン領南米植民地の辺境地域におけるイエズス会布教区を中心に研究してきました。植民地世界における社会文化の変容、言語や思想の接触と相互翻訳、読み書きや記憶の諸様式といったテーマに取り組んでいきたいと考えています。
略歴・著書など
国際関係史(南北アメリカ)(地域文化研究専攻)
専門は国際関係史で、主に南北アメリカ関係を扱っています。とくに米・キューバを軸とする冷戦期の国際関係、および中南米移民の流入による合衆国の変化を研究しています。将来的には中南米研究と北米研究の架け橋となることを目指しています。
スペイン語史・計算言語学(言語情報科学専攻)
スペイン語史,計算言語学。中近世スペイン語の文献資料を計量的に分析して,人間の目では見つけにくい各時代・地方・作者の特徴やパターンをあぶり出すことを目指している。短中期的な研究テーマは中世スペイン語訳聖書と『ドン・キホーテ』の計量的研究,長期的な研究テーマは,より一般言語学的なもので,言語変化のモデル化。
スペイン・ラテンアメリカ文学(地域文化研究専攻)
専門はスペイン語圏の文学、特にラテンアメリカ文学です(ただし、滞在経験はスペインが5年と一番長い)。世界の文化普及構造におけるラテンアメリカの周縁性とその文学言語の関係に関心があり、いまは19世紀末の文学刷新運動「モデルニスモ」の詩を同時代のフランスほか西欧諸国の作品と比較しながら、ラテンアメリカに特有のことばの強度を明るみに出すことを目指して研究しています。
比較政治学、ラテンアメリカの政治と開発(超域文化科学専攻)
ラテンアメリカを対象とする比較政治を専門としています。 これまでの主な研究関心はいわゆる「周縁化された人々」 の政治参加です。具体的には、ボリビアとエクアドルの労働組織や先住民組織、そして貧困とされる農村コミュニティを対象に、自らの要求をどのように形成してきたのかについて研究してきました。最近では、政治参加を国家建設や民主主義の質といった政府の領域につなげて考察する研究に携わっています。また、国内外で日本のラテンアメリカ研究について紹介する仕事を近年多く引き受けたことから、改めてその歴史的展開を見直す作業にも取り組んでいます。
社会学(地域文化研究専攻)
アメリカ・メキシコに計15年間滞在し、民主化、開発、社会運動、ソーシャルワーク、社会学方法論などを学びました。新聞記事などから政治的活動の情報を抽出して、それをデータベースに集積して分析する手法を用いて、メキシコの民衆抗議行動のパターンがどのように変化しているのかを研究しています。PH.D取得後、ハーバード大学のポスドク研究員として、ロイター通信などのメディアから自動的にデータベースを構築するプロジェクトに従事していました。この経験を生かして、次の研究プロジェクトでは、ラテンアメリカ各国のメディアが配信するニュースからイベント・データベースをつくり、各国の政治・社会活動の比較を行いたいと考えています。このため、社会学、政治学、言語情報科学、地域研究、統計学、コンピュータ工学など分野の専門家や学生からなる学際的な研究チームを作りたいと思っています。
近現代美術史(KOMEX=教養教育高度化機構)
バルセロナで生まれ、マドリードで育ちました。博士論文では、スペインの国立現代美術館であるマドリードのソフィア王妃芸術センターの設立の起源や経緯を、政府文書や記事、関係者へのインタビューなどを通して明らかにしました。現在は、美術館学や芸術政策一般に加えて、日本の近現代美術およびその他国・他地域の美術との影響関係に関心を持って研究を進めています。
持続可能な開発・資源の管理と環境保全・国際協力(KOMEX=教養教育高度化機構)
研究分野では、ラテンアメリカ諸国での資源管理及び環境保全の取り組みについて研究をしてきました。特に、政治学者エリノア・オストロムが提唱する制度と共有資源管理の方法論を用いて調査を進めてきました。最近では、国際協力の分野にも研究を拡大し、日本のODAの枠組みの中で、ラテンアメリカへの援助政策の研究にも取り組んでいます。主に、アルゼンチン、チリ、エル・サルバドルを対象に研究をおこなっています。教育については、スペイン語教育に加え、日本のODA、グローバル・ガバナンス関連科目などの講義を担当してきました。また、共有資源の管理と利用、中米における平和構築と人間の安全保障、日本のODA政策などに関する論文を執筆しました。
略歴・著書など
ラテンアメリカ文学(グローバルコミュニケーション研究センター)
私はこれまでラテンアメリカ文学の分野で教育・研究に携わってきました。主要な関心は、文学の歴史との関係、文学理論・文学批評の歴史、そして、19世紀のラテンアメリカ近代化から最新の小説・随筆・詩における潮流にいたるまでの、文学上の出来事の受容のされ方にあります。
スペイン・カタルーニャ現代文学(地域文化研究専攻・博士課程)
教務補佐員(2022年2月〜)。