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12年間民間企業に勤め、家電製品のマーケティングに従事しました(うち8年はベネズエラに駐在)。ビジネスの傍ら音楽・文化評論に携わり、10年あまり「2足のわらじ」を履く生活でした。学術研究の方法を修練するため大学院に進学し、97年に会社をやめ、2000年から大学教員に転職しました。これまでスペイン語圏を中心に29ヵ国の国境を越えてきました。ですが、私にとってもっともけわしい「越境」は、産/学のボーダー越えでした。現在の研究テーマは、ベネズエラとコロンビアのアフロ系民族運動の比較研究ならびに「混血社会」といわれるラテンアメリカにおける人種主義の研究です。将来の課題としては、1960年代以降の対抗文化運動の文脈のなかで、「民衆文化」がどのように想像/創造/実践されてきたかということを、南・北アメリカ大陸、日本、西欧など異なる地域間で比較研究したいと構想しています。
略歴
1985年 東京外国語大学スペイン語専攻卒業
1998年 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程修了
2000年 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(博士)
著書
熱帯の祭りと宴:カリブ海域音楽紀行(つげ書房新社、2002)
太鼓歌に耳をかせ─カリブの港町の「黒人」文化運動とベネズエラ民主政治(松籟社、2006)
Racismo y Discurso en América Latina (Barcelona: Gedisa, 2007). ("Discurso y racismo en Venezuela: un país 'café con leche'" を分担共同執筆)
講座世界の先住民族ファースト・ピープルズの現在 08中米・カリブ、南米 (明石書店、2007)(「ヒビ―多文化主義時代をきりひらく生き残りの達人たち」を分担執筆)
世界の食文化 13中南米(農文協、2007)(「ベネズエラ」を分担執筆)
朝倉世界地理講座14 ラテンアメリカ(朝倉書店、2007)(「『混血』から『多民族へ』―アフロ系ベネズエラ人の挑戦」を分担執筆)
Política de identidades y diferencias sociales en tiempos de globalización (Caracas: Universidad Central de Venezuela, 2003) ("Hacia una apertura de debate sobre el racismo en Venezuela"を分担執筆)
カリブ・ラテンアメリカ音の地図(音楽の友社、2002)(「ベネズエラ、ポピュラー音楽の20世紀」を分担執筆)
グローバル化に抵抗するラテンアメリカの先住民族(現代企画室、2005)(「暴力状況下の民族創生―アフロ系コロンビア人のたたかい」を分担執筆)
論文
「アフロ系ベネズエラの捉えにくい民族境界」(ラテンアメリカ研究年報 第19号、 1999)
「聖像はいかにして聖人となるか」(社会人類学年報、第26号、2000)
「民俗文化の客体化と真正性保証政策」(ポピュラー音楽研究、第3号、2000)
「ベネズエラの「新しい歌」」(ラテンアメリカレポート、第17巻、2号、2000)
「ベネズエラ民族政治運動の展開─混乱するチャベス政権と希望の水脈」(神奈川大学評論、第45号、2003)