ヘルペスの意味~どんな病気?
人に感染するヘルペスは、8種類が知られています
Herpes(疱疹)とは、皮膚に小さな水疱(すいほう・水ぶくれ)が群れをなして生じる状態で、ヘルペスウイルスに感染することで起こります。
ヘルペスとは、ギリシャ語で「這う」という意味で、もともとは真菌症(カビの感染症で、いんきんたむしなどがあります)や、丹毒、皮膚癌など這うように拡大する皮膚疾患すべてをさしていましたが、19世紀になって妊娠性疱疹、疱疹状膿痂疹、疱疹状皮膚炎、単純疱疹、帯状疱疹などの水疱性病変を作る疾患のみに使われるようになりました。
現在は単にヘルペスというときは、単純疱疹、または帯状疱疹をさしています。
αヘルペスウイルス(アルファヘルペス)
- 単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)⇒口唇ヘルペスや角膜ヘルペスなど主に上半身に感染します
- 単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)⇒性器ヘルペスなど主に下半身に感染します
- 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)⇒帯状疱疹(たいじょうほうしん)や水疱瘡(みずぼうそう)を引き起こします
βヘルペスウイルス(ベータヘルペス)
- サイトメガロウイルス(CMV)
- ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)
- ヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)
γヘルペスウイルス(ガンマヘルペス)
- Epstein-Barrウイルス(EBV)
- ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)
感染する確率が高く、一般的にヘルペスとして認知される症状を引き起こすのは以下の3つです。
- 単純ヘルペスウイルス1型=単純疱疹(たんじゅんほうしん)
- 単純ヘルペスウイルス2型=単純疱疹(たんじゅんほうしん)
- 水痘・帯状疱疹ウイルス=帯状疱疹(たいじょうほうしん)
単純疱疹と帯状疱疹
単純疱疹ウイルスも、帯状疱疹ウイルスも、通常は、すでに幼少時に感染しており、じっと神経に潜んでいます。
性器ヘルペスの場合は、当然ですが、セックスによって感染します。
帯状疱疹の初感染は、子供の頃に罹った、水痘(通称みずぼうそう)です。
一般に大きな病気を経験したりすると出やすいといわれますが、ちょっとした疲れでも出る場合が多いようです。
単純疱疹
単純疱疹は、口唇や性器に出来ます。
【性器ヘルペス感染症】は、単純疱疹、つまり、単純性のヘルペスです。
何回も、繰り返し、発症します。
単純疱疹は、神経細胞の内部を素早く移動して、皮膚に達するので、身体の免疫機能のチェックを免れて、何度でも再発を繰り返します。
再発を止める方法は、現在のところ存在しません。
症状
最初は皮膚が赤く変化して、ムズムズしたかゆみや、ヒリヒリした感じが特徴で、激しい痛みはありません。
帯状疱疹
一般的に【ヘルペス】と、呼ばれるのが、帯状疱疹(たいじょうほうしん)です。
身体の広い範囲に帯状に発赤と小水疱が出来ます。
なぜか、必ず体の右または左側だけに、ブロック状に発生し、全身に拡がることは殆どありません。
帯状疱疹は、神経細胞の外部を通り、皮膚に到達するので、神経のダメージが強く、皮膚症状も大規模になるので、免疫機能が働き、ヘルペスウィルスを、完全に制圧します。
普通は、一生に一回だけ、発症し、再発することは、ほとんどありません。
症状
最初の2、3日に、ピリピリとした痛みが先行し、その後から、水疱が出てくるパターンが多いです。
症状は個人差が大きく、水疱もパラパラ程度の人もあれば、非常に多くでる人もあります。
ほとんど痛みのない人もいれば、衣類がこすれただけでも、ピリピリと激しく痛む人もいます。
また、【ヘルペス後神経痛】になると、皮膚症状が治ってからも、何カ月も痛みが続く場合があります。
ヘルペスの治療方法
抗ウィルス薬の、【飲み薬+塗り薬】で、治療します。
病気の治療の最善策は【早期発見・早期治療】です。
ヘルペスのウイルスが、神経節から皮膚に到達してしばらくすると、痛痒くなって皮膚が少し赤くなります。
その後、数時間以内には、水疱が出始めるので、このタイミングで治療を開始するのが、一番効果的です。
一般的には高齢者ほど悪化しやすく、完治までに時間がかかります。
とくに、帯状疱疹は、全身のあらゆる場所に発生しますが、目の回りや耳の回りに出ると、角膜を侵したり聴覚・顔面神経に障害を残す場合もあるので、眼科や耳鼻咽喉科の診察が必要となることもあります。