第2章 8.性質別歳出

○概要

これまでは目的別の歳出を説明してきましたが、ここでは性質別の歳出を説明します。

目的別は、例えば福祉に使われたのか、教育に使われたのかなど行政目的ごとに性質別はそのために、どういう資源にお金を使ったか(人件費か、委託費か)ということを示すものと考えておけばよいでしょう。

会社に例えれば、目的別は事業部ごと、又は製品ごとの費用。性質別は材料費とか労務費とかの費目別の費用と考えればわかりやすいかもしれません。

図1のグラフの12時の位置から見て右回りの3つ、人件費・扶助費・公債費は義務的経費といわれ、この割合が多いと財政が硬直化するといわれています。

平成21年度の性質別歳出のベスト3は人件費、扶助費、補助費等です。

○詳細

人件費

人件費は職員の給与や各種手当、共済費、退職金などが含まれます。

人件費については、できれば稿を変えて詳しく解説しようと思っています。

ちなみにアルバイトなどの賃金は物件費に含まれます。

扶助費

扶助されるものに対して現金・現品を問わず直接支給されるもののための費用です。

生活保護や○○手当といった福祉関係のものが多くなっています。

国の制度によって定められるものや市独自のものも含まれます。

公債費は、市債(市の借金)の返済額。元本と利子の両方を含みます。

繰出金

特別会計等へ支出する金額。

内訳は下水道に19.4億円、国民健康保険に16.4億円、介護保険に13.1億円、後期高齢者に11.5億円、土地区画整理に6.9億円。

ちなみに病院への繰出しは補助金に入っているようです。

物件費

消費的経費でここに紹介されている以外のもの、とされています。

実際には委託費が多いようです。(物件費の解説はこちら

補助費等。

等って何よって感じですが。

他の地方公共団体や民間組織に行政上の目的により交付される現金とされています。

なぜ補助費のみ「等」なのか。それが何を指しているのかはいまいちわかりません。

平成21年度は物件費を上回り第3位になっていますが、これは定額給付金による特殊事情です。

維持補修費

道路や公共施設を管理する費用とされていますが、維持管理を委託すると物件費になります。

普通建設事業費

道路や建物などを建設するための費用。

なぜ「普通」なのかというと、投資的経費の中で「災害復旧事業費」と「失業対策事業費」は別の項目となっているので

それ以外のものを指すと思われます。

なお、災害復旧事業費や失業対策事業費は日野市ではほとんど計上されていません。

(災害復旧は平成21年度は約3百万。0.006%、失業対策は平成5年以来計上されていません。)

その他・・・って何!

物件費で「それ以外」と規定しておきながら、なおかつ補助費”等”があり、さらにそれらに入らないものって・・・・。決算カードから推察すると、「投資及び出資金・貸付金」「積立金」あたりでしょうか。

○性質別歳出の推移

今度は性質別歳出の推移を見ていきます。

平成2年以来トップを守っているのが人件費。退職者の不補充などでここ10年ぐらいは漸減しています。

扶助費(渋い緑の線)は徐々に増え、平成元年から約3倍に。平成12年に扶助費が減っているのは介護保険ができたために、関連する費用が特別会計に移転したため。

しばらく2位を保っていた物件費はここ2年ぐらい減っていますが、要因は不明。

補助費が平成21年度に突然上がっているのは定額給付金が20億円以上あったため。

点線は普通建設事業費。平成4年ごろまでは上位でした(区画整理の費用が多かったようです。)。

平成18~20年度に増えたのは学校の建替えや耐震化工事があったため。

紫色の線の公債費が平成16年度に一気に増えたのは、市債の借り換えがあったためです。

図1 平成21年度性質別歳出

カッコ内は市民一人当たりの金額です。

図2 性質別歳出の推移