4. シンフォニエッタのポリシーは全て過去の失敗からの教訓

これらのポリシーは、一読しておわかりのとおり、私たちのそれまでのアマチュアオケ活動の反省に基づいて立てられたものです。私たちが経験してきた失敗は、決して特別なことではなく、どこのアマチュアオーケストラでも起こりそうなことだと思います。いくつか例を挙げてみましょう。

オーケストラが向上すれば、アマチュアの指揮者に満足できなくなります。アマチュアの常任指揮者をメンバーの中にもつと、プロの指揮者を招いてコンサートをしようと企画しても、アマチュア指揮者が反対する、拗ねる、いじける等の困ったことがはじまるかも知れません。そのために、オーケストラが向上したくてもできない状況が生まれることがあるのです。

また、メンバーに誰でも加わってもらうオーケストラでは、その結果、練習もしない、ピアニシモが嫌いで大きな音でストレスを発散するような、困ったメンバーが生まれて、せっかく積み上げた演奏を台無しにしてしまうことがあります。このようなメンバーは、自分が周囲に迷惑をかけているという自覚がありませんから、結局出て行くのは真面目に音楽に取り組みたいと思う人たちなのです。

オーケストラの「民主主義」も、アマチュアオーケストラではしばしば誤解されることがあります。曲の編成も、難易度も知らず、ましてスコアも読んでこないメンバーが、コンサートマスターやパートのトップと同じように一票を行使して選曲に関与するのは、民主主義とは関係のない愚挙にすぎません。リーダーたちが、知識と経験に基づき、メンバーの現状に即して判断を下し、それをメンバーに諮ることで、十分に民主的なオーケストラ運営が出来るはずです。リーダーシップと責任、それに徹底した情報公開を札幌シンフォニエッタの運営方針にしたのはこのような理由からです。

大編成のオーケストラがフォルテシモで鳴り響くと、一人一人の奏者、とりわけ弦楽器奏者はしばし、自分の音が聞こえない状態になります。大勢の奏者の音に隠れていい加減な演奏をすることを俗に「カスム」といいますが、この「カスミ」君は、実際にはオーケストラの「見た目の奏者」ではあっても「実際の演奏者」ではありません。札幌シンフォニエッタは、この「カスミ」君なしの、最小編成の室内オーケストラをめざしました。メンバー一人一人の、演奏に対する責任を信じ、期待したのです。

3. 新しいオーケストラのポリシー

5. 楽しくなければ苦労する価値がない