2. 新しいオーケストラ創りの提案

私自身は、社会人オーケストラで3年近くコンサートマスターを務めた後、オーケストラという大所帯での音楽活動に疲れ果ててそこを退団していました。オーケストラはもういい、というのが正直な心境で、そろそろ室内楽の仲間を探したい、レッスンについて勉強する時間が欲しいと考えていたのです。半年ほど、そのための準備を進めていました。そんなわけで、私は新しいオーケストラを創ることを全く考えていませんでした。

最初に提案しに現れたのは、千葉輝夫(ビオラ・団長)、前川公美夫(ファゴット)、高泉勝(ホルン・休団中)、寺岡稔(オーボエ・プロ奏者として退団)の4人です。彼らは、私がその半年前に退団したオケのパートトップたちですが、それぞれが、それぞれの考えでオケを辞めていました。彼等は、新しいオケを創ろうと、熱心に私に提案しました。消極的だった私が彼等のいうことに耳を傾けようと思うようになったのは、理想的なオーケストラを目指すのでなければ、そして、これまでのアマチュア・オーケストラ活動での反省を活かせるのでなければ、オーケストラを創る意味がないということを、全員の共通認識としてはっきり確認できたためでした。オーケストラには、そのポリシーに同意してメンバーが加わってきます。ですから、オーケストラが途中でポリシーを変えることはとても難しいのです。「最初が肝心」ということを、この5人は嫌というほど知っていました。そんなわけで、この仲間とだったら、もしかしたら自分たちが納得できるアマチュアオケが作れるかもしれないと、私自身も次第に思うようになったのです。

1. はじめに

3. 新しいオーケストラのポリシー