歯周病のQ&A

Q歯周病を予防する方法は?

A:歯ブラシをきちんとすることです。

毎日行う歯ブラシですが、

きちんとできている人はごくまれです。

一般に歯周病にかかりやすい人は

虫歯になりにくいです。

虫歯にならなければ、

歯ブラシができていると

思い込んでいる人は多いと思います。

歯ブラシがきちんとできているかどうか、

自覚症状がなくても

定期的な検診を受けましょう。

自覚症状が出てからでは

手遅れのことが多いです。

歯ブラシについての注意事項をまとめました。

こちらをご覧ください。

Q:歯ブラシ法について詳しく解説しているサイトや本があったら教えて。

A:「日本人はこうして歯を失っていく」

日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会(朝日新聞出版)

がおすすめです。

歯ブラシについての注意事項をまとめました。こちらをご覧ください。

Q:歯周病と歯周炎と歯肉炎はどう違うの?

A:歯周病は総称で歯周炎と歯肉炎は

進行度による分類です。

まず覚えておいていただきたいのは、

「歯周病」は歯を支える歯周組織に起こる

病気の総称だということです。

その中で、歯肉に炎症が起こっている段階を

「歯肉炎」と呼びます。

それが進行して歯を支える骨、

歯槽骨まで炎症が進んだ段階を「歯周炎」と呼びます。

つまり、歯肉炎と歯周炎は、歯周病の進行度の違いです。

現在は、歯周病も早期発見、早期治療が大切と言われます。

その理由は、歯肉炎の段階ならば

適切な歯磨きだけで治ってしまうこともあるからです。

しかし、歯周炎まで進行してしまうと、骨が破壊され、

原則として破壊された骨は元に戻りません。

場合によっては歯を抜くこともあります。

そうならない前の歯肉炎の段階で治療を受けることが大切なのです。

Q:歯周病はタバコと関係があるの?

A:

喫煙は歯周病に対して最大の危険因子といわれています。

しかも喫煙の本数が多ければ多いほど歯周病になりやすいです。

タバコを吸うとニコチンなどの有害物質が血管を収縮させて、

血流が悪くなってしまいます。

そのため、歯肉や歯に十分な栄養が行き渡らなくなり、

細菌に対する抵抗力が低下することなどが原因と考えられています。

Q:歯周病があると、他の病気になりやすい?

A:はい。

メタボに関連する生活習慣病のリスクを高めます。

歯周病菌は血液中に入り込んだり、

喉から飲み込まれたりするため、

以前から全身の病気との関連が指摘されていました。

近年、明らかになってきたのが、歯周病が

肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームに関係する

生活習慣病のリスクを高めることです。

メタボリックシンドロームの元凶とされているのが、

おなかの中に脂肪がつく内臓脂肪です。

歯周病で強い炎症を起こしている歯周組織に

多量に存在する炎症物質のTNF-αは、

内臓脂肪からも分泌されます。

つまり、歯周組織にあるTNF‐αに上乗せされて、

さらにメタボが悪化すると考えられているのです。

また、TNF-αは血糖を低下させるインスリンの働きを

低下させるので、歯周病があると

糖尿病が悪化しやすいこともわかっています。

歯周病菌は血管内に入って血管壁に付着すると

動脈硬化が始まるともいわれます。

実際、動脈硬化のある冠動脈から

歯周病菌が発見されたとの報告があります。

Q:歯周病は胎児にも影響する?

A:影響します。

リスクがあるとの報告は多いですが、

妊娠中でも治療が可能です。

低体重児を出産した母親と

正常体重児を出産した母親の

歯周病の進行度を比較すると、

低体重児を出産した母親のほうが、

歯周病が進行していたとの報告が多く、

最近は歯周病と低出生体重児や早産との

関連が指摘されています。

原因としては、歯周病で炎症が起こったときに

増える炎症物質、プロスタグランジンの

関与が疑われています。

プロスタグランジンは正常な出産時にも分泌され、

子宮筋を収縮させて出産を促すので、

陣痛促進剤としても使われています。

このプロスタグランジンが

歯周病で増えることによって、

血液中のプロスタグランジンも多くなり、

胎盤を通過して胎児の成長に影響したり、

子宮筋を収縮させて出産を早めたりして

しまうのではないかというのです。

しかし、妊娠中でも歯周病治療は可能です。

アメリカの報告で、妊娠中に非外科的な

歯周病治療を受けても早産のリスクは

高まることはないとされています。

Q:他の病気があると、歯周病になりやすい?

A:糖尿病は危険因子の1つ。

歯周病との悪循環に注意が必要です。

糖尿病の人は歯周病になりやすく、

重症化しやすいことが注目されています。

糖尿病は糖尿病網膜症、糖尿病腎症など、

合併症の多い病気ですが、歯周病もその1つです。

糖尿病の場合、血糖値が高いと血流が悪くなり、

全身の細胞に酸素と栄養が送られなくなり、

体の抵抗力が低下します。

そのため血管の細胞は脆くなり、

ちょっとしたことで傷ついて炎症を起こしやすくなります。

口の中も同様に抵抗力が落ちているので、

歯周病細菌に感染しやすく、

血管ももろくなっているので、

すぐに歯茎が炎症を起こします。

糖尿病の人は歯周病になりやすく、重症化しやすいのはこのためです。

Q:若い頃は虫歯とは無縁だったのに、どうして歯周病になってしまうの?

A:虫歯になりやすい人は歯周病になりにくく、

虫歯になりにくい人は歯周病に

なりやすい傾向にあります。

虫歯にならなかったということは、

歯をきちんと磨いているからだ、

と考えているのは大間違いです。

たまたま虫歯になりにくかっただけで、

歯周病の細菌はたくさん

歯についていたのです。

歯周病は知らないうちに

どんどん進行していく怖い病気です。