Research

私たちが取組む対象の電池

エネルギー変換素子の限界性能を阻む損失は異相界面で生じている

(埋もれた界面では,イオンと電子の拡散の能動的な制御には至らない)

リチウムイオン電池,ナトリウムイオン電池,全固体電池を研究の舞台に,界面制御に注力にした独自の視点による材料研究に従事

複合アニオン化合物

異種アニオン導入によって生まれる特徴的な効果(配位子場の強弱による大きな結晶場分裂)の設計により,異相界面および固体内部の電子的・イオン的相互作用を自在制御する。独自開発した合成技術により,アニオン種の局所配置や傾斜組成構造を実現。最終ゴールは,電極/電気二重層/拡散二重層界面に形成される相関イオン拡散エネルギーランドスケープの可視化と自在制御技術の確立。

ハイエントロピー化合物

多元混晶化にともなう副格子の乱雑性による準安定相の安定化を指導原理とする,新しい蓄電界面接合技術の開発に取り組む。特に界面についてあり得る全ての配座,もしくは相互作用を及ぼしあう原子の相対位置に対応するギブス自由エネルギーと蓄電界面のイオンダイナミクスとの相関性を明らかにする。最終ゴールは,単純混合則では表現できない物性発現を制御するための基盤技術の構築

分子ゲート効果

蓄電固液界面に機能性分子層を挿入することにより,特性の分子だけに高い透過性をもたらす「分子ゲート効果」が発現する。電解液の分解反応を抑制し,可動イオンのみを選択的に透過することができる。その他,溶媒和イオンの特異吸着や電解液界面のイオン濃度の濃化などにより,界面におけるイオン交換反応効率を高めることで,電池の急速充放電を可能にする。最終ゴールは,材料技術と分子技術融合した界面設計により,相間拡散イオンダイナミクスを自在制御するための基盤分子技術の構築

CNTバインダー

カーボンナノチューブを低弾性導電バインダーとして活用することにより,高エネルギー密度,高入出力特性,サイクル特性を共立する電池を実現する。電極に含まれる活物質の重量比は99.5%以上を実現。極板内に三次元的に広がったカーボンナノチューブからなる導電ネットワークを形成することにより,可動イオンの脱挿入反応にともなう活物質の体積変化にも追従することから,高分子バインダーを不要化する。ナノカーボンバッテリーとして,商用化にむけた検討を推進中(信大発ベンチャー,信州ボルタ(株)を設立)。