Legacy 2019 にお越しいただいた方、ありがとうございました!
カメラマン、ユースケがLegacy2019に展示していた12枚の写真の撮影方法をザックリと解説します。
全部Photoshop合成じゃないよ!!
写真をクリックすると解説が表示されます
Nikon D750 / TAMRON SP AF 28-75mm F2.8 XR Di/ 62mm / ISO 1000 / F9 / SS 1/60
撮影スタジオ:コスナ
タイトル:ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン
キャラ(モデル):空条徐倫 (きあ)
徐倫のスタンド、ストーンフリーを光ファイバーで再現してみました。
ストーンフリー部分の成形はざっと…
金網を丸めて腕の形に成形
金網で作った腕に光ファイバーを巻き付ける
巻き付ける際にお湯をかけながら形を整える
束ねた光ファイバーは、被写体の腕から背中を通ってストロボにつながっています。
カメラに向かって伸びてきている数本の光ファイバーは もう一人のレイヤーさんと自分が手で持って支えています。
画の収まりが良くなるまで微調整と撮影を繰り返しました。
被写体へのライティングは 被写体右後方からグリッド付きのソフトボックスを1灯と、左後方からハニカムグリッド付きを1灯。
右手を目立たせるため顔は暗くしてます。
左後方からの光を強めの直進光にすることで、荒木先生の陰影の描き方に近づけています。
Nikon D750 / TAMRON SP AF 28-75mm F2.8 XR Di/ 75mm / ISO 500 / F10 / SS 1/5
撮影スタジオ:コスナ
タイトル:機動戦士Zガンダム
キャラ(モデル):フォウ・ムラサメ (塩辛)
被写体の影の部分だけにプロジェクターの映像が残る撮り方。
被写体は投影面に寄り掛かるようにピッタリとくっついてもらって、プロジェクターを画角いっぱいに投影。
↓撮影風景 (塩辛さんご提供)
被写体の左側からハニカムグリッド付きのストロボを1灯だけ強めに当てています。
ストロボの光が強く当たった部分の画像は消え、影の部分には画像が残る…っていう撮影方法です。
プロジェクターが映す画像は「光」そのものなので、プロジェクターよりも明るい光が当たると画像は見えなくなってしまいます。
映画館を明るくすると映像が白けてしまうのと同じですね。
キャラクターの心情を表現するような撮影に向いてるんじゃないかと。
Nikon D750 / Nikon AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VR/ 86mm / ISO 200 / F9 / SS 1/125
撮影スタジオ:Tranbanero
タイトル:刀剣乱舞
キャラ(モデル):鶴丸国永 (翼)
翼さんの「埋葬されたい」っていう願望を叶えることができた一枚。
「埋まった状態を横から撮りたい」という異次元なお望みだったのだけど、難しい撮影の方法を考えることほど楽しいことはない!
詳しくは↓から解説ページをご覧ください。撮影現場の風景写真付き!
Nikon D750 / TAMRON SP AF 28-75mm F2.8 XR Di/ 28mm / ISO 250 / F11 / SS 1/60
撮影スタジオ:コスナ
タイトル:NARUTO
キャラ(モデル):カカシ (なくる)
光ファイバーで作った雷切と改造した小型ストロボを使った作品。
雷切はレーヨン製の光ファイバーを熱で折り曲げてジグザグに成形したものを一つに束ねて、束ねた部分から光を入れるようにしています。
雷切の発光には改造したヒカル小町10iを使っています。
袖に収納したヒカル小町本体からケーブルを伸ばして発光部のみが手のひらに固定できるようになってます。
光ファイバーは曲げたところから光が逃げてしまうので先のほうまで光らせるのは難しく、ヒカル小町の光量だと20cmくらいが限度。
それでもストローみたいに光っているので再チャレンジしたいところ。
被写体へのライティングの詳細は忘れちゃったけど、たぶんグリッド付きのソフトボックスを左右から挟み込んでます。
Nikon D750 / Nikon AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VR/ 120mm / ISO 200 / F11 / SS 0.6sec
撮影スタジオ:コスナ
タイトル:シュタインズ・ゲート
キャラ(モデル):牧瀬栗栖 (飛鳥のあ)
プロジェクターを使った撮影では最もスタンダードな「背景画像+被写体」の構図です。
ネットで探した歯車のフリー素材を切り貼りして背景画像を作成。
ライティングは画面右側からグリッド付きのソフトボックス1灯、被写体下後方からハニカムグリッド付きを1灯。
とにかく投影面に不要な光を当てないことが重要です。
タブレットPCのPhotoshopで少しずつ色味を調整しながら投影して、被写体との整合性をとっています。
最終的にLightroomでも色味の調整をしたのち周辺減光を入れて現像。
Nikon D750 / TAMRON SP AF 28-75mm F2.8 XR Di/ 75mm / ISO 125 / F2.8 / SS 1/250
撮影スタジオ:コスナ
タイトル:Persona 4
キャラ(モデル):主人公 (ぴのこ)
ぴのこさんの狂気を知った最初の作品です。
文字は全てトレーシングペーパーに印刷したのものを切り抜き、テグスに貼り付けて天井から吊るしています。
これを吊るして配置するのに5時間ほどかかり、撮影し終えるまでたぶん計6時間ほど白ホリの一画を占有してしまいましたすみませんすみません…。
苦労した分 出来上がりは他では味わえない特別なものになり、その後の撮影人生に影響を及ぼす結果となってしまいました…。
普通の撮影じゃ満足できない身体にされてしまった……。
Nikon D750 / TAMRON SP AF 28-75mm F2.8 XR Di/ 55mm / ISO 500 / F14 / SS 1/1
「背景+スモーク+水、被写体2名」という、難易度の高い撮影。
作品に合わせてフリー素材を用意。
明るく晴れ上がった空などはプロジェクター撮影には不向きなので、ここでは薄曇りの原野風の背景を選択しました。
ライティングはグリッド付きのソフトボックスを2灯、カカシの左側とナルトの右側に配置。
スモークはカカシに撒いてもらってます。
水深は2~3cmくらい。
スモークを撒いたあとカカシが水面を軽く波立ててくれています。有能。
水槽のフチが見えてしまっていたので、その部分だけLightroomで消しています。
Nikon D750 / Nikon AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VR/ 75mm / ISO 1250 / F9 / SS 1/60
撮影スタジオ:コスナ
タイトル:NARUTO
キャラ(モデル):サソリ (ひぃ)
光ファイバーでチャクラの糸をイメージしてみました。
光ファイバーの太さを少し細めにして「あやつり糸」っぽさを出しています。
この撮影の大変なところは、被写体が身動きをとれなくなるところですねw
光ファイバーを良い感じのカタチで固定するため、大きな脚立とアシスタントが被写体の左右に構えています。
傀儡に使っているトルソーを傾けるためにもう一人、縁の下でアシストしてくれてます。
光ファイバーが固定されているので被写体はこのポーズのまましばらく動けず。苦労をかけちゃいました。
ライティングは…詳細を忘れちゃったけど、グリッド付きのソフトボックスを左右から挟み込んで少し下向きに当ててるかな。
Nikon D750 / Nikon AF-S DX NIKKOR 18-200mm F3.5-5.6G ED VR II/ 65mm / ISO 100 / F5 / SS 1/13
撮影スタジオ:コスナ
タイトル:Persona 4
キャラ(モデル):主人公 (ぴのこ)
スタジオにあったブラウン管テレビに映像を出力して撮影した一枚。
まず テレビ画面に映す用のP4主人公の写真を撮り、自前のタブレットPCに読み込んでLightroomで調整。
調整した画像をPCからダウンスキャンコンバータを通してブラウン管テレビに流して、それをカメラで撮影してます。
見た目以上に手間のかかっている撮影です。
ダウンスキャンコンバータを買う日が来るとは思わなかったよ。
稼働するブラウン管テレビがスタジオに有ったことも恵まれてたな~。
光ファイバーを使った撮影は、たぶん自分以外でやってる人は居ないんじゃないかな。
使ってるのは市販してる三菱レイヨンの光ファイバーです。
光ファイバーってのは先端から先端に光を送るための物で、糸そのものが発光するワケじゃありません。
その通過する過程をうまく捉えてやる必要があります。
先端をストロボに当ててやれば反対側の先端が激しく発光するんだけど、普通に撮るだけだとその先端の光しか拾えないはず。
どうやって通過する光を拾うのかは上記してあるカメラの設定から推測して試してみてね!
簡単に答えに辿り着いても面白くないだろうから!
この光ファイバーはLEDのように光点の集合体にならず、有機ELケーブルよりも明るく撮影できるなど色々と可能性を秘めているので、今後もチャレンジしていきたいと考えてます。
プロジェクターを使った撮影は、プロジェクターのスペックによって撮れる画が変わってきます。
光量が低いものだと撮影するには力不足で投影画像は薄らぼんやりとしちゃう。
投影できる画面のサイズが小さいものだと解像度が足りずに粗い画になっちゃいます。
フルHD出力で光量(ルーメン)の高いプロジェクターを借りれるスタジオが望ましいですね。
さらに外光を遮断して真っ暗にできる部屋が必要です。
シャッターを長めに開ける必要があるので、不要な光は少しでも避けたいところです。
プロジェクターが「備え付け」ではなく「貸し出し」のスタジオは だいたいプレゼン用の小さいプロジェクターなことが多いです。
外光を遮断しつつ白い投射面があるスタジオもどれだけあるか…。
掲載した作品は全てスタジオコスナで撮影しましたが、コスナはすでに閉鎖されています。残念。
そんなワケで、高性能なプロジェクターを備え付けしてくれるスタジオが現れるのを待ちましょう。
多重露光っていうのはフィルムだと説明しやすいんだけど、デジタル世代に説明するのが難しい!
超簡単に説明すると、2枚以上の写真を合わせて1枚にする…ってこと。
フィルム1コマに対して2回以上シャッターを切るってこと。
判り易く説明してるページもあんまり無いみたいだけど、とりあえずこのへんを参考にしてみてくださいな。
多重露光の面白いところは「光の足し算」にあると思ってます。
白いキャンバスに絵の具を塗っていくのとは逆に、真っ黒なキャンバスに光を足していって一枚の画を完成させる。
グレースケールの中に別の画を置く。
そんな面白さ。
もちろんPhotoshop使えば5分でできる合成なんだけどさ
誰でもできることをやってもつまらないし
考えた通りに撮影できたときの快感がたまらんのよ。
凝った背景を使った撮影をやってる人はたくさんいるし、何も特殊では無いと思ってます。
なので今回ピックアップした3枚にはそれぞれ理由があります。
文字を吊るしたやつ:
今回展示した全ての写真の原点になっていること。これがきっかけになって凝った撮影方法にのめりこみました。
記念すべき1枚。
テレビのやつ:
地味だけど、自分らしい発想とこだわりが詰まっているので紹介したかった1枚。
埋葬されてるやつ:
シッカリとセットを組んだので、撮影現場の風景を見せたくなる1枚。
「埋葬されたい」みたいな無茶を言われたほうが楽しいんだよね。
どうやって難題をクリアするかを考えてる時間が本当に楽しい。
それを実行して成功した時の達成感も半端ない。
もちろん失敗もあるけどね。
これからも軽率に無茶を言ってくれる人を待ってます。
今回は特殊撮影をメインに展示しましたが、普段はふつうのスタジオ個撮から外ロケ、大型併せまで幅広く対応しております。
撮影に関する質問などあれば、お気軽にXで絡んでみてください。
ちなみにXではあんまり撮影関連の画像はアップしていません……
アップしているのは猫とスパゲッティの写真ばかりです。