子どもに学ぶ言葉の認知科学

「お母さんには罰を与える」の意。「お」「か」「ば」の文字の一部のみ反転している。小学校入学前に書いた、はじめての脅迫状


小学生になった息子の珍解答は続く。さらに巷の記事・絵本さらにTシャツのロゴ・町の看板まで、題材はあらゆるところに広がっていくことに。「これ食べたら死む?」「のび太vs.のび犬」「ニンジンは、ヤギ・ヒツジも食べてくれるよ♪」ヘンテコな答えや言葉遣いの背後にある、子どもの、あるいは人間一般の心の働き、認知のしくみ、言葉の法則や性質について、楽しく学べる一冊。

……本書でめざしたいことは、「こんなおもしろいの出ました~」というネタを共有するだけじゃなく、そこから人間の何がわかるのか、言語学・心理言語学・認知科学的知見でもって、もう一歩深く迫ってみることです。(本文より)

お子さんの、正解以外のあらゆるパターンの誤答に頭を悩ませる保護者のみなさんにとって、目の前の問いに正解はしていないけれど、子どもはちゃんと学んで成長している途中にある(かもしれない)ことが伝えられるといいな。

あるいは、そうした間違いは子ども限定ではなく、人間の知識獲得のあり方や情報利用のしくみを垣間見せてくれる貴重な機会だということを示せたらいいな。

教育現場に携わる方々とも、こうした「普通に採点したらバツ」解答を、プロ教師としての目とはちょっと違った視点から愛でて一緒に楽しんでみたいな。

そんな思いで本書を書きました。(まえがきより)