地震、土砂、台風など、災害はいつ起こるか分かりません。通常通りのインフラが機能しなくなったとき、普段からポータブルの装備で一通りの歯科診療や食事支援をしている歯医者さんができることは多くある。
そう考えておりましたが、2024年1月1日に能登半島を襲った地震の災害支援に結デンタルの歯科医師・歯科衛生士で赴き、あらためて上下水道が停止している状況で、歯医者さんができることは大きく制限されることに気づかされました。
現場では「想定外でした」は通用せず、普段から色々な想定をして準備すること、これに尽きると思います。結デンタルでは災害時にも継続して地域に貢献できるよう、器材を整備し、その使用方法について院内および他院歯科医療メンバーに周知して、災害時に支援活動が継続して実施できるように訓練を行っています。訓練を通して課題を抽出し、少しずつ地域全体が洗練されていくように取り組んでいます。
第一回 結デンタル仮設診療所設置訓練の様子。
仮設診療所の雨除けとなるテントの組み立てから行っております。
歯科衛生士学校の学生さんも訓練に参加、協力してくれています。
第一回 結デンタル仮設診療所設置訓練の様子。
仮設診療所内に診療設備の設置を行いました。
ポータブル電源とポータブルユニットを使い、屋外での診療を可能であることを確認しました。
第一回 結デンタル仮設診療所設置訓練の様子。
仮設診療所内での実際の診療の様子。
事業所型BCPとしての訓練になりましたが、課題としてはマンパワーの不足や水源の確保が挙げられました。
第二回 結デンタル仮設診療所設置訓練の様子。
第一回の訓練で挙がった課題点をクリアするため、連携型BCPに視点を拡げました。
マンパワーの確保として、地域の歯科診療所に声掛けをして歯科医師及び歯科衛生士の確保、地域の訪問看護ステーションに声掛けして看護師の確保、水源の確保として非常用浄水器の使用方法について地域の多職種の方々と情報共有しました。
当院備え付けは非常用浄水器200名対応ですが、犬山市の規模を考えるとまだまだ小さいので、地域の訪問看護ステーションや歯科診療所、行政関係にも設置を促しております。
第二回 結デンタル仮設診療所設置訓練の様子。
当院所属の歯科衛生士から他院の歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、訪問看護、行政の方へ発電機の種類と特徴、使用方法についてレクチャーし、各事業所でも導入を促しております。
第二回 結デンタル仮設診療所設置訓練の様子。
歯科衛生士から看護師へ、災害時の口腔アセスメントシートの存在と使用方法について情報共有。
第二回 結デンタル仮設診療所設置訓練の様子。
今回は口腔清掃のデモンストレーションだけでなく、義歯紛失を想定した歯科技工士による即席義歯作製のデモンストレーションを多職種の前で実施しました。とても冷える日であり、材料の硬化時間などの課題が新たに見つかりました。
第二回 結デンタル仮設診療所設置訓練後の集合写真。
次回は地域BCPまで視点をさらに拡げて実施できたらと考えております。寒い中での訓練となったため、みなさん鼻水を啜りながら災害訓練となりましたが、最後は狭い診療所で温まる良い経験になりました。
【関連リンク】
1)尾北医師会 あんしん・防災マップ:あんしんメールの受け取り方、地域の停電、水害状況が把握できます。
災害発生に対する備えのご案内|一般社団法人 尾北医師会 (med.or.jp)
2)犬山市 ハザードマップ:自身の地域の液状化、水害、土砂災害の被害予測ができます。