Research Topics

研究のライフスタイル

普段は京都大学北部キャンパス内にある屋上40cm望遠鏡を用いて年150夜ほど観測しており,まさに「天文学者らしい」生活を送っています。それでも観測データはデジタルデータで取得しますので,望遠鏡を直に覗くのは望遠鏡の機嫌が悪い時くらいです。

京都市内の空は明るいですが,目が慣れると肉眼でも3等星程度まで見えますし,望遠鏡を使うと18等星程度まで観測することができます。

また,平日夜や休日には,Social Activityのミーティングや資料作成,イベント開催が入ることも多いです。

大学屋上から見た,大文字山から昇るオリオン座

激変星のイメージ図 (credit: 国立天文台)

突発天体,中でも激変星の詳細な観測的研究

宇宙で見られる現象の中には,人間が生活するのと同じようなタイムスケールで爆発的に変化を遂げる天体があり,これらは「突発天体」と呼ばれています。今では1年間で3万以上の突発天体が新たに報告されており,宇宙は爆発で満ちた世界であると言えます。

中でも,私が主なテーマとしている激変星は,その名前の通り,数秒〜数十年のタイムスケールで,1万倍にも及ぶ劇的な明るさの変化を見せます。左側の赤い星から,右側の白い小さい星(白色矮星)へガスが流れる過程で,白色矮星周囲に円盤状にガスが溜まっており(降着円盤),この降着円盤が様々な爆発現象を引き起こしています。

私たちのグループでは,激変星の様々なタイムスケールの変動に着目し,主に観測的な手法によって,その変動の特徴やメカニズムについて研究しています。

せいめい望遠鏡などの大型望遠鏡による観測

より口径の大きい望遠鏡ほど沢山の光を集めることができるため,近代の観測天文学は,そのの大きさが望遠鏡の性能を決定します。京都大学岡山天文台の所有するせいめい望遠鏡は,東アジア最大級の3.8メートルの口径を誇ります。面分光装置のKOOLS-IFUや3色同時高速測光装置TriCCSを搭載し,私も年に10夜ほど出張して観測しています。

また,ハワイには口径8.2mのすばる望遠鏡が設置されており,すばる望遠鏡で取得されたデータも用いて研究しています。

せいめい望遠鏡ホームページ: http://seimei.nao.ac.jp/

せいめい望遠鏡 (credit: 京都大学岡山天文台)

赤点はすばる望遠鏡を用いたHSC SSP Transient Surveyで発見された超新星爆発候補天体
(Form Figure 2 of Yasuda et al. 2019)

サーベイデータの活用

突発天体のより効率的な発見のため,ある天体に注目するのではなく,夜空のある領域をくまなく探査する観測手法のことをサーベイ観測(掃天観測)と読んでいます。このサーベイ観測により,現在では年間2万もの突発天体が発見されているとともに,その標準化されたシステムによるデータが統計的な研究も可能にしています。

代表的なサーベイ観測であるZTF, ATLAS, ASAS-SNや日本発のサーベイ観測であるTomo-e Gozen Transient Surveyなどから提供される観測データを用いた研究を行っています。

Tomo-e Gozenホームページ: https://tomoe.mtk.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/ja/

Citizen scienceの活用

私たちの研究グループでは,世界中のプロ・アマチュアの天文学者と連携した国際観測ネットワークであるVSNET (Variable Star NETwork) を運営しています。右の世界地図は,VSNETに観測データを提供して頂いた観測所の一覧です。矮新星や古典新星などの突発天体・変光星の新天体情報や観測情報を vsnet-alert などで配信していますので,興味をお持ちの方はこちらもご覧ください。

また,高校生向けの天文学実習を指導し,高校生と協力した突発天体の観測的研究を進めています。

VSNET collaborationに協力いただいた観測所