臨床研究関連教材

研究に取り組む意義

 医学・薬学の目覚ましい進歩や医療の高度化・多様化に伴い、薬剤師業務の質の向上における科学的基盤の構築等を通し、国民の厚生福祉の増進に寄与することを目的として、臨床研究の推進が期待されている。薬剤業務の更なる展開には、患者及び他の医療スタッフから評価される客観的な臨床上のアウトカムをエビデンスとして積み重ねることが必要となる。しかしながら、東北地区は他の地域と比較しても薬剤師、特に大学病院以外の機関に所属する薬剤師による研究アウトカムの発信が極めて少ない地域であるのが実情である。これは山形県でも例外ではなく、薬剤師個人の研究に対する姿勢を向上していかなければならない。山形県では学会発表を志しても研究アウトカム発信の場が少なく、日病薬東北ブロック学術大会や県外での学会発表に頼らざるを得ない。

 また、現在の各専門薬剤師の取得要件には、論文投稿が必須項目であり、また一つハードルが高くなったように感じられる。特に中小病院の薬剤師は論文投稿の執筆に慣れていないため敷居が高く感じられ、さらに相談できる環境も少ないことから挑戦できないと諦めてしまうケースも多いのではなかろうか。

 この度、学術委員会では学術委員会ポータルサイトに薬剤師研究の推進のために臨床研究関連教材を開設した。臨床研究関連教材では「学術論文の調べ方」「統計解析」「研究倫理」「論文・学会要旨の作り方」「プレゼンテーションの仕方」について解説する。これらの教材を参考にしていただき山形県病院薬剤師会会員の研究推進の一助となれば幸いである。