研究内容

原子核物理

量子力学に基盤を置いた原子核構造論や原子核反応論を用いて、中性子過剰核の物理を理論的に研究しています。特に、中性子過剰核における対相関(超流動性)の効果に着目しています。その対相関の効果が中性子過剰核における1中性子共鳴現象や中性子捕獲反応にどのような影響を及ぼすのか、を解明することを目指しています。さらには、その研究で得られた知見を、重元素合成の主な反応経路であるr過程や、中性子星内殻の物理に応用しようと考えています。 

科学コミュニケーション

「科学コミュニケーション」という言葉を知ったのは、2009年くらいでした。当時の行政刷新会議(いわゆる事業仕分け)でのスーパーコンピュータ「京」に関する一連の騒動をキッカケに、社会の中での科学の在り方について強く興味を持つようになりました。 現在は、科学コミュニケーションという理念の理解を深めると共に、自らもサイエンスカフェなどの活動を通して、社会における科学の在り方について思いを巡らせています。 最近は、科学コミュニケーターが持つべき能力の明確化、サイエンスカフェに関する研究、原子核の社会での応用(核融合や核医学、原子力など)、水俣病問題などに関心があります。 

高等教育開発

九州大学に勤めていたときに、Faculty Development(ファカルティ・デベロップメント;略して「FD」)に関わっていたこともあり、高等教育開発に興味を抱くようになりました。FDとは、大学の教育・研究能力を高めるための研修のことを指します。教授法に関する研修や大学の教育改革に関する講演会がその例になります。一方で、高等教育開発は「授業やカリキュラムの改善、ならびに教育・学習に焦点化された組織開発、そして教職員の専門的能力開発」と説明されます(日本高等教育開発協会のウェブページより抜粋)。高等教育開発に関わる研修会がFDだと、僕は理解しています。 高等教育開発の中でも、特に、理数系教養教育やアクティブラーニング手法に関心があります。また最近では、サイエンスライティングを含む、ライティング教育にも注力しています。