創造世: 0~1000万年後
上図:創造世初期、創造紀元1万年のセリナの地図。世界は大まかに5つの大陸に区分される。
(図の右に表示されているのは環境分布。上から順に、熱帯草原、温帯草原、亜寒帯草原、寒帯草原およびツンドラ。)
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原初の生態系が確立した時点において、セリナの大気中酸素濃度は24%であり、大気は全体的に地球と似たような組成をしていた(地球の大気中酸素濃度は約20%である)。一方で気候は地球に比して穏やかで、平均気温は華氏70度、すなわち摂氏21度である。そのため地球と比べると温帯地域は少なく、他方で熱帯域が北から南に至る広大な範囲を覆っている。一年を通じて気温が氷点下を下回るのは北極と南極の両極点のみであり、しかもそれも地球よりも控えめだったことを考えると、この時代のセリナには氷床というもの自体が存在していなかったであろう。温暖で静かな、まるで庭園のようなこの世界は、たった今産声を上げたばかりの生態系が健やかに育っていくにはまさに理想的だったのだ。
この世界が始まってから創造紀元(以後、「創紀」と略す)1000万年までの間の、穏やかで活力にあふれたこの時代は、創造世(Hypostecene)__始まりの時代として知られるようになるだろう。
この時代のセリナには、シーラス(Cirrus)と呼ばれる入り組んだ形をした1つの超大陸が存在していた。この巨大な大陸は、後に大規模な火山活動によって分裂を始めるまで2000万年近くもの間残り続けることとなる。
この超大陸は細い陸橋でつながった5つの大陸から構成されており、大地は南から北へ、東から西へ、そしてまた北から南へと大きな弧を描くように伸びていた。これらの5つの大陸にはおのおの名前があり、それぞれアンシスカ(Anciska)、ストリアタ(Striata)、ステヴランデア(Stehvlandea)、ワールテリア(Wahlteria)、カリイ(Karii)といった。
超大陸の存在によって__理論上の話ではあるが__生き物たちは海を渡ることなく世界の端から端までを旅することが可能となった。大陸がいくつかに分かれていると、深い海に阻まれて生物の移動は妨げられてしまう。しかし、この時代を通じて存在し続ける超大陸のおかげで、入植した生き物たちは短い期間で世界中の隅々まで浸透することができたのであった。
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