One of the most fundamental roles of the human visual system is to provide information about the depth and distance of objects in our environment so that we can interact with our world safely and effectively. Stereopsis is an important source of information about the relative depth of, and distance between, objects and features. In this presentation I will describe a series of experiments in which we evaluate the amount of depth observers perceive from stereopsis, and the factors that influence these judgements, for instance context and training. I will also describe collaborative work with Defence Research and Development Canada in which we use naturalistic stimuli and tasks to assess depth magnitude estimation in real-world contexts. We find that stereopsis supports accurate depth estimation in a variety of scenarios, but that when presented in isolation, it is subject to distortion.
視覚科学分野の研究者と画像工学分野の研究開発者が、視覚科学で明らかとなった視覚特性を如何にすれば工学応用分野で使えるようにできるか、そのための問題点や課題を明らかにするための意見交換および討論を行う。今回は、コントラスト感度関数(CSF)に焦点を合わせて、できるだけ具体的な話をして、大小様々な問題点を含んだ課題を浮かび上がらせ、その解決が可能かどうか、解決できるとすればそのために何をすれば良いかを探る。
本セッションはまず画像応用分野の研究開発者がCSF関連の質問や問題点を挙げ、それに対して視覚科学研究者が回答し、意見を示すという形で進める。この質疑応答と討論の中から、CSF関連の基礎データの利用のための問題解決策を探る。
CIEによる表色空間や色差式などの一部の成功例はあるものの、人間の視覚特性に関するデータが画像工学やその近接する工学分野において広く利用されていることは稀である。CSFについても、そのデータの一部が利用されているが、観察条件によってCSFは大きく変化するにも関わらず、その点を考慮している応用例はほとんどない。一般的には、基礎データが応用されるためには、データの標準化や特性モデルの確立が必要となるが、CSFについてはそのような動きが少ない。標準化には視覚科学と画像工学という異分野を跨ぐ研究調査が不可欠であるが、これまでこのような機会が少なかったことがその一因である。
一方、日本視覚学会と日本画像学会ではこれまでに学会間コラボレーション活動をいくつか行なって来た。CSFに関しても共に討論するための土台が出来上がっていると言える。そこで、日本視覚学会2019年冬季大会において視覚学会・画像学会コラボセッションを開催し、『視覚特性の工学的応用における問題と展開-コントラスト感度関数を中心に-』というテーマで討論する場を設けた。
画像機器においては、製品企画段階から出荷時の品質保証に至るまで、画像品質(画質)を定量的に取り扱うことが必要とされる。ここでいう画質とは、ある画像を観察した人間が何らかの価値判断を行なった結果として生じる心理的、主観的な画像の質である。これを定量的に取り扱うために、画像の物理量あるいは心理物理量を説明変数として心理量である画質を予測するという方法が採用されることが多い。画像の色や明るさに関しては、その工業的な標準化とそれに基づく様々な応用がなされているが、空間的な視覚特性を取り扱うために必要とされるCSFに関しては、その標準化が進められていないため、空間的な画質の評価においては、CSFを利用せずに空間周波数帯域毎に分けて最適化を行うなど次善の策を取らざるを得ないのが現状である。今回は、主に画質評価にCSFを応用する事例を紹介し、CSFの標準化の必要性と問題点について議論する。
CSFに関して映像における配慮すべき直接的な課題として、画⾯の明るさや⼤きさに依存して画像の細部の⾒え⽅やフリッカ、ジャダー、ジャーキネス、ノイズ、モーションブラーの影響が変化することが挙げられる。それらに対してより適切に対応するために神経や⼼理の⾯からのさらなる現象の解明が期待される。現象の理解に基づく対策を⾒出すために、神経における刺激の強さに対する時間応答特性、眼の光学モデルによる瞳孔径とMTFの関係、Bartenモデル、120Hzフリッカ問題のFFTによる解析、240fps映像に対する脳波計測実験等の検討を⾏なった。今後の対策として、映像において撮像と表⽰技術をともに進化させる、また明るく⼤画⾯で⾼精細になることに⾒合った⾼い時間分解能を適⽤する、視覚と脳さらに⼼理の作⽤のさらなる理解に基づく⼯学応⽤の深化を進めることが必要と思われる。