当塾につきまして

うめだ理数研セミナー代表 河津 維


「うめだ理数研セミナーの数学」の最大の特徴は,中学数学,高校数学を各1冊のテキストで次第にステップアップしながら繰り返し勉強することです.これは私が学生時代に通っていた40年前当時の「理数研セミナー」からずっと,ぶれることなく受け継がれる理念です.なぜなら,配布されるテキストが多ければ多いほど,生徒は復習をしない傾向があるからです.たくさんのテキストに掲載されている膨大な問題量をこなすことが目的となり,修了したテキストは,一部の生徒にとっては本棚に飾っておく古本となります.昨今の大学入試の数学は非常に広範囲にわたっていますが,真に根本的なことはそれほど多いわけではなく,必要にして十分な内容を1冊のテキストに収めることは可能です.私自身,理数研セミナーに高校3年間通いましたが,数学の学習は理数研テキスト1冊のみを真面目に取り組んだと言っても過言ではありません.

受講生が一問一問じっくり取り組むことができるように,当セミナーのテキストは厳選した問題のみを掲載しております.また,多くの市販の問題集のように入試問題を羅列しただけのものでもありません.なぜなら,入試問題は受験生を試すために作られた問題であり,理解させるために作られた問題ではないからです.そもそも講師とは,「そこに x という問題があるから,その解法を教える」ためではなく,「 X ということを理解させたいから, x という問題を設ける」ために存在していなければならないはずです.当セミナーは,高校数学の全貌を十分に把握し,到達目標を明確に定め,これを各学年各学期に割り当て,第1ページ目から最後のページまで一切の無駄を省く一方で,大切なことは一つも漏らさず収めるという方針でテキストを作成しています.またテキストの解答用紙として,1枚ずつばらばらに管理できる「専用ノート」を用意しています.一度学んだ講義を何度も復習することを実現させるには,時系列にしか書けないノートではなく,章別に整理して見直すことができるものでなくてはならないと考えるからです.この専用ノートは,当セミナーのテキストを完全にマスターしてもらいたいという私たちの願いの一つの表れであるとご理解ください.

当セミナーの特徴は「1冊だけのテキスト」と「専用ノート」という形式的なものだけではありません.これらの形式を遙かに超えた特徴として,参考書や高校・他の予備校等では決して学べない 「独特な解法」を紹介します.「独特な解法」というものは,決して「特別な解法」ではありません.「高校生だから」という言い訳付きの解法や,受験用のテクニックを駆使した解法と比べると,「特別」に見えるかもしれませんが,実は「独特な解法」というのは,学問としての数学の本質に基づいた「正統的な解法」なのです.さらに,高校ではほとんど用いられない論理記号を多用することも大きな特徴です.これは,「他人に分かり易い答案を書ける人は,自分自身が内容をよく理解している人である」という考えに基づく方針です.論理記号を使って推論の過程を明確にすることで,他の人が見ても論理的に分かり易い答案を書いて欲しいと考えています.

さて,当セミナーの特徴を長々と力説しましたが,これら全てを理解することはなかなか難しいことでしょう.過去に理数研セミナーで学んだ先輩(各界の第一線で活躍している人が多数います)に聞いてみてください,と言いたいところですが,それもまた難しいと思います.その一端は「合格体験記」をご覧いただければ分かっていただけると思いますので,ぜひ一度ご覧ください.なお,物理・化学においても数学と同様の考え方でテキストを作り,授業を行っております.

私は大学在学中に教育学の授業で聞いた「良い家庭教師になれるかは,どれだけ待てるかで決まる」という言葉を今でもよく覚えています.「この言葉の真意は生徒が考える時間が一番の勉強である」という理解のもと,私たちは日々受講生に向き合っております.どんな問題でもゆっくりでよいですから自分で一から解いてみることが大切です.もし十分考えて出来なければ,質問すれば良いのです.講師はどんな質問も拒みません.地道に反復練習し,「一人で解ける」ようになることを目指しましょう.

以上の趣旨を十分理解していただいた上で,当セミナーの数学・理科に取り組んでみようという意欲と余裕のある皆様の受講をお待ちしています.