いろいろな研究材料Ⅱ: 寄生性甲殻類
いろいろな研究材料Ⅱ: 寄生性甲殻類
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名前がついている生物の中で種数最大のグループは節足動物で、そのほとんどは昆虫です。海にもウミユスリカやウミアメンボなどの昆虫が知られてはいますが、あまり種類は多くありません。そのかわり、同じ節足動物の甲殻類が海では繁栄しています。そのせいか、甲殻類が研究材料になってしまったケースがいくつかあります。
名前がついている生物の中で種数最大のグループは節足動物で、そのほとんどは昆虫です。海にもウミユスリカやウミアメンボなどの昆虫が知られてはいますが、あまり種類は多くありません。そのかわり、同じ節足動物の甲殻類が海では繁栄しています。そのせいか、甲殻類が研究材料になってしまったケースがいくつかあります。
ホヤノシラミ: Loboixys ryukyuensis
ホヤノシラミ: Loboixys ryukyuensis
ホヤに寄生するコペポーダの仲間です。寄生に特化した面白い形の種がたくさん知られています。単体性のホヤでは、寄生部位によって異なる種が寄生していることもあるので、ホヤの種数よりも寄生性カイアシ類のほうが種数が多いかも知れません。魚やウミウシに寄生するコペポーダも共同研究で扱っています。
ホヤに寄生するコペポーダの仲間です。寄生に特化した面白い形の種がたくさん知られています。単体性のホヤでは、寄生部位によって異なる種が寄生していることもあるので、ホヤの種数よりも寄生性カイアシ類のほうが種数が多いかも知れません。魚やウミウシに寄生するコペポーダも共同研究で扱っています。
Hirose E (2000) Diet of a notodelphyid copepod inhabiting in an algal-bearing didemnid ascidian Diplosoma virens. Zool Sci 17:833–838.
Hirose E, Oka AT, Akahori M (2005) Sexual reproduction of the photosymbiotic ascidian Diplosoma virens in the Ryukyu Archipelago, Japan: vertical transmission, seasonal change, and possible impact of parasitic copepods. Mar Biol 146:677–682. doi: 10.1007/s00227-004-1469-5
Fukuda T, Hirose E (2008) Differences in associated crustacean fauna and seasonality of sexual reproduction between two color morphs of the photosymbiotic ascidian Didemnum molle (Ascidiacea : Didemnidae). Pacific Sci 62:309–316.
ウミクワガタ
ウミクワガタ
ウミクワガタの雄成体は一見クワガタムシにも見えますが、フナムシやダンゴムシに近縁な小さな甲殻類です。幼生は魚の血を吸うので、魚にとっては「蚊」のような動物なのかも知れません。もともとは田中克彦博士（現東海大学)が研究している動物ですが、彼の協力を得て、我々の研究室で博士を取得した太田君（現 鳥取県ジオセンター）や修士を取得した林さんを中心に種分類や生態を研究しています。
ウミクワガタの雄成体は一見クワガタムシにも見えますが、フナムシやダンゴムシに近縁な小さな甲殻類です。幼生は魚の血を吸うので、魚にとっては「蚊」のような動物なのかも知れません。もともとは田中克彦博士（現東海大学)が研究している動物ですが、彼の協力を得て、我々の研究室で博士を取得した太田君（現 鳥取県ジオセンター）や修士を取得した林さんを中心に種分類や生態を研究しています。
Ota Y, Tanaka K, Hirose E (2008) Seasonal fluctuations of the sponge-dwelling gnathiid isopod Elaphognathia aff. cornigera. Crustac Res 37:14–25.
Ota Y, Hoshino O, Hirose M, et al (2012) Third-stage larva shifts host fish from teleost to elasmobranch in the temporary parasitic isopod, Gnathia trimaculata (Crustacea; Gnathiidae). Mar Biol 159:2333–2347. doi: 10.1007/s00227-012-2018-2
Hayashi C, Tanaka K, Hirose E (2020) Larvae of female Caecognathia sp. (Isopoda: Gnathiidae) are attracted to male adults and prolong their larval phase in the absence of males. J Crustac Biol 40:156–161. doi: 10.1093/jcbiol/ruz094
フクロムシ
フクロムシ
フクロムシはフジツボなどと同じ蔓脚類の甲殻類で、他の甲殻類に寄生しています。ヤドカリに寄生するナガフクロムシの仲間は、宿主ヤドカリの貝殻を取り除かないと見つけられないこともあって、分類や生態は十分に研究されていません。我々の研究室で博士を取得した吉田君が研究を進めています。
フクロムシはフジツボなどと同じ蔓脚類の甲殻類で、他の甲殻類に寄生しています。ヤドカリに寄生するナガフクロムシの仲間は、宿主ヤドカリの貝殻を取り除かないと見つけられないこともあって、分類や生態は十分に研究されていません。我々の研究室で博士を取得した吉田君が研究を進めています。
Yoshida R, Osawa M, Hirose M, Hirose E (2011) A new genus and two new species of Peltogastridae (Crustacea: Cirripedia: Rhizocephala) parasitizing hermit crabs from Okinawa Island (Ryukyu Archipelago, Japan), and their DNA-barcodes. Zool Sci 28:853–862. doi: 10.2108/zsj.28.853
Yoshida R, Hirose M, Hirose E (2013) A new peltogastrid rhizocephalan parasitising a hermit crab from the Japanese coast: a second species of Dipterosaccus Van Kampen & Boschma, 1925 (Crustacea: Cirripedia). Syst Parasitol 84:137–147. doi: 10.1007/s11230-012-9393-4
Yoshida R, Hirose M, Hirose E (2014) Hermit crab host prevalence by species of Peltogastridae (Cirripedia: Rhizocephala): Hosts vary with location on the Pacific coast in Mainland Japan. J Crustac Biol 34:467–480. doi: 10.1163/1937240x-00002246
Yoshida R, Hirose M, Hirose E (2015) Peltogasterella sensuru n. sp (Crustacea: Cirripedia: Rhizocephala) from off Okinawa Island (Ryukyu Archipelago, Japan) with remarks on its single brood externae. Syst Parasitol 92:31–44. doi: 10.1007/s11230-015-9585-9
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