令和8年8月6日(木)、ハワイアロハホールにて、第37回鳥取県道徳教育研究大会を開催しました。
本大会は「子供が心に灯をともす道徳授業を求めて」を主題に掲げ、県内外の小・中学校の先生方や教育関係者の皆様など81名(オンライン参加1名を含む)にご参加いただきました。
公開授業・授業検討
公開授業では、八頭町立郡家東小学校の中川裕子先生による、現在の八頭町出身の版画家橋本興家を題材とした授業が行われました。「批判があったのに、版画を作り続けたのはなぜ?」という問いを中心に、子どもたちが「信念」について考えました。
授業では、事前の版画鑑賞や体験を生かしながら、子どもたちの言葉や反応を大切にして問いをつないでいく授業づくりが展開されました。また、「すごさレベル」を指の本数で表すなど、子どもの考えを可視化する工夫も取り入れられました。
授業検討では、「子どもの心に灯をともす道徳授業」をテーマに、日本体育大学准教授門脇大輔先生のファシリテートのもと、子どもが自分なりの気付きや考えを見いだしていくための教師の関わりについて協議しました。特に、子どもの発言を生かした問い返し、板書による思考の可視化、教材と子どもの生活をつなぐ工夫などについて、活発な意見交換が行われました。
授業者からは、授業で生まれた小さな気付きや「やってみたい」という思いが、すぐに行動として表れなくても、いつか子ども自身の中でつながっていくことを願っているとの思いが語られました。「子どもが主人公となる道徳授業」について、参加者がともに考える機会となりました。
ワークショップ「みんなで授業づくり」
ワークショップでは、「子どもの実態に合わせて作る、生き方を考える道徳授業」をキーワードに、道徳授業のねらいと教材研究、発問づくりについて参加者が協議しました。
道徳授業では、望ましい行動そのものを教えるのではなく、その行動を支える見方・感じ方・考え方といった内面的資質を育てることが大切であることを確認しました。その上で、子どもが自分自身の生き方と結び付けながら考えられる授業を目指し、教材の読み込みや学習指導要領解説等を活用した教材研究の進め方について学びました。
また、教師が一人で授業をつくるのではなく、学年や担当の垣根を越えて、「みんなで授業をつくる」協同的な授業研究の文化を学校に広げていくことの大切さも共有されました。
参加者が互いの考えや授業づくりの工夫に触れながら、明日からの道徳授業について考える、実践的で充実したワークショップとなりました。
東井義雄記念館館長升田敏行先生を講師に迎え、「教師の条件」として、東井義雄先生の教育観と、その実践に学ぶ教師の在り方について講演をいただきました。
講演では、「光を見る目」「つぶやきを聞く耳」といった東井義雄の教育実践に関わる言葉を手がかりに、数々のエピソードが紹介されました。
中でも、子どもの表面的な姿や成績だけで判断するのではなく、一人一人の内面にある可能性や「光」に目を向けること、子どもの何気ないつぶやきや生活経験に耳を傾けることの大切さについて、具体的な授業実践を通して語られました。また、子ども自身の生活や経験から生まれた問いを大切にすることが、主体的な学びにつながるという東井義雄先生の教育観についても考えを深めました。
さらに、東井義雄先生が大切にした「命の教育」について、一人一人の子どもの感じ方、考え方、行い方を大切にし、その子らしい可能性を育てていくことこそ教師の使命であるとのメッセージが伝えられました。
子どもの姿をどのように見つめ、どのようにその声に耳を傾けるのか。東井義雄先生の実践と思想を通して、教師としての在り方を改めて問い直す貴重な講演となりました。