2月4日(日)に白兎会館にて、鳥取県道徳教育研究会の総会を研修会を開催しました。
総会では、事業と決算の報告、来年度の役員と組織、事業計画と予算案を話し合いました。
その中で、来年度の、「第35回鳥取県道徳教育研究大会」を8月8日(木)にハワイアロハホールを会場に開催することを決定しました。
5月には一次案内をアップします。みなさまのご参加をお待ちしています。
研修会①
岩美町立岩美北小学校教諭の乾道夫先生に、授業動画をもとに実践を発表していただきました。
授業は、4年生の教材で、主題名:幸せな社会を目指す、教材名:「ヘレン・ケラー物語」(学研) でした。
事前に教材を読ませヘレンに出会わせておいたり、年譜を配付し生涯を知ったうえで授業に臨ませるなどの工夫をしておられました。
当日の学習活動も児童が事前にヘレンと出会った際の思いやを大切にしながら、子供主体の学習を展開しておられました。
児童は、当初は「すごい」という反応が主だったが、困難を克服する姿や感謝の気持ち、社会貢献への強い意志と出会い、自分なりの思いを出し合っていました。
研修会②
元鳥取大学教授 竹内善一先生に「現行の道徳教育の問題点とその対策」の演題でご講演いただきました。
<主な内容>
『日本道徳教育学会報』第67号から75号に連載された内容をもとにお話しされた。
・学習指導要領の道徳の時間の目標にある「道徳的心情」と「道徳的判断力」のどちらに軸足を置くかで成果に違いが出る。昭和43年の目標から「判断力」が前に置かれるようになったが、昭和62年12月の教課審答申(深刻化する児童生徒の問題行動の増加の抑止力となる児童生徒の道徳性が育っていないと指摘)を踏まえ、平成元年の目標では「心情」が前に置かれた。その趣旨に従って道徳教育の取り組みがなされ、『犯罪白書』『子供・若者白書』等で検証し推移を見る限り抑止力が徐々に身につき、改善の兆しが表れ始めた。
・ところが平成29年の目標では「判断力」が前になり逆戻りした。そうした中で、令和元年度の小・中・高生のいじめの件数や暴力行為は過去最多となり、令和2年度の小・中・高生の自殺者も過去最多となった。道徳的心情や感性を養うことは道徳性を高めるための基礎的必須条件なのである。
・道徳的心情を育成するためには教材の選択が重要である。心に響く教材、人生の智恵が学べる教材、中でも道徳性の育成に効果がある教材は伝記等の人物教材である。子供たちが生活している現実の社会は、その都度、その状況や場面に即していく知恵が求められている。教材は具体的で生身の人間として在り方や生き方のモデルになるものでなければならない。強く、たくましく、美しく生きる人間の姿が描かれた教材は、子供の心に深い感動と共感を与えることができる。
・「先知後行」の「朱子学的手法」から「知行合一」の「陽明学的手法」を学び直す必要がある。心情と知性の関係はよく対比されるが、人間どちらが根本かと言えば心情が根幹で知性は枝葉である。本当に心の復活を目指すなら「共感できる力」「感動できる力」を育む「道徳的心情」に軸足を置いた道徳指導が求められる。
令和5年度の研修会を開催します。
小・中・義務教育学校の先生方の参加をお待ちしています。ご案内は、下の「研修会」をクリックしてください。