経済立地・産業集積・都市形成メカニズムの定式化の基礎として, 前半で古典的な経済立地論, 後半で集積の経済学の基礎的な定式化を学ぶ. 過去10年以上に渡り, 都市・地域経済学では実証研究が中心になったが, 検証する仮説以上に, 因果関係の識別の技術的な問題に興味が集中し, やや本末転倒気味である. 本講義では, 適切な理論に立脚した実証研究・政策分析を行う上で必要となる理論的基礎を習得することを目的とする. 古典的な産業立地論を系統的に教える講義は現在少ない. しかし, ミクロジオデータの利用が一般的になり, 高度に非集計された立地空間を想定する最近の理論モデルの挙動を理解する上で, 一般的な立地空間(多地域/連続立地空間)を想定して蓄積された古典的産業立地論の知見は有用である. 80年代以降, 近代経済学の下で構築されてきた経済集積の理論の多くは空間を抽象化しており, 本来の地理空間の役割についての理解は十分でない.
水曜3限13:15-14:45 , 4月14日- 7月 21日 (祝祭日を除く)
講義中の議論への参加と報告/レポート(文献査読, レビュー)により評価します. 報告については, 例えば、後半は集積の経済の具体的な定式化について学びますが, その内のいくつかについて報告するなど.
(7/24) 7/28講義スライド掲載しました. Duranton & Overman, Mori & Smith . 個別の集積指標の解説より, 既存のスカラー指標の問題について議論します. 既存の集積指標の問題は, 経済集積理論において2地域モデルなどが抱える空間集計の問題と本質的に同じです.
(7/21) 本日の講義は遠隔の聴講者が欠席のため, 対面のみで行います.
(7/19) 7/21は, 時間が余れば次回7/28の内容に含まれるEllison & Glaeserの集積指標について説明します (スライド).
(7/17) 7/21講義スライド掲載しました.
参考文献:PDF
4月14日:講義概要(産業立地論・集積の経済学・空間経済学) [スライド]・現実の経済集積 [スライド:当日講義のみで表示]
4月21日:古典的産業立地論(1):企業の最適立地問題 (1次元・ネットワーク立地空間) [スライド (4/20改訂)]
4月28日:古典的産業立地論(2):2次元立地空間, 規模・集積の経済, 要素代替と最適立地 [スライド (4/28改訂)]
5月12日:古典的産業立地論(3):空間経済における価格付け・空間的需要・市場範囲 [スライド (1/2) 5/09改訂], 空間競争 [スライド(2/2) 5/18改訂]
5月19日:古典的農業土地利用(von Thünen)モデルの定式化 [スライド 5/19改訂]
5月26日:空間不可能性定理 (内生的経済集積の条件について) [スライド(1/2) 5/24改訂], 講義で取り上げる集積経済モデル候補の紹介 [スライド(2/2)]
6月2日:Krugman (JPE1991/Book1991-App. A) / Fujita, Krugman & Venables (Book, Ch.4) [スライド 6/6改訂] -- 講義はFKV-Ch.4に沿っています。
6月9日:Krugman (JPE1991)の続きとEconomides & Siow (AER1988)[スライド 6/9改訂]
6月16日:Helsley & Strange (JUE1991) [スライド 6/16更新], Helsley & Strange (JUE2002) [スライド 6/15掲載]
6月23日:Helsley & Strange (RSUE1990) [by 山本] [補足スライド/森 6/22掲載]
6月30日:Krugman (Book1991, App. C)/Duranton & Puga (HB2004, Sec.48.2.4) [by 呉] [補足スライド/森 6/30改訂], Gasper & Glaeser (JUE1998) [スライド 1/2, 2/2 (補足) 6/30改訂], おまけ:Duranton & Puga (HB2004, Sec.48.2.2) [スライド 6/29掲載]
7月7日:Berliant, Reed & Wang (RSUE2006) [by 伊藤] [補足スライド/森 7/7改訂, 知識交換のミクロモデル(Berliant & Fujita, IER2008) [補足スライド: モデル概要とインプリケーション, 補足(計算詳細)7/6掲載]
7月14日:Mori (JoEG2012) [by 木野村] [補足スライド/森 7/11掲載], Duranton & Puga (HB2004, Sec.48.4.2.1) [スライド 7/14改訂]
7月21日:Konishi (JUE2005) [スライド 7/21改訂], Ellison & Glaeser (JPE1997) [スライド 7/19掲載]
7月28日:集積指標について. Duranton & Overman (REStud2005) [スライド 7/28改訂], Mori & Smith (JUE2005) [スライド 7/28掲載]