宗教学各論

担当:黒﨑浩行(非常勤講師)

セメスター:集中   単位:2

講義題目

災害からの再生と宗教文化
Disaster and religious culture

授業の目的と概要

大規模な自然災害が頻発している現在、災害現場での宗教者・宗教団体・宗教文化の役割を問い直すことは重要な課題となっている。この授業では2011年3月11日に発生した東日本大震災での宗教、特に神社神道と祭礼文化に注目し、災害からの再生におけるその役割を、実践に関わる人々の認識や期待といった面からとらえる。そして、従来から言われてきた「社会的統合」という役割を再考することをめざす。

学習の到達目標

災害からの再生における宗教文化の役割について考えるための知識を得る。
災害からの再生における宗教文化の役割について、論点を設定し、議論に加わることができる。

授業内容

  1. イントロダクション―災害からの再生における宗教文化の役割を考えるための視座

  2. 現代日本社会および宗教文化における神社神道・祭礼文化の位置

  3. 東日本大震災における諸宗教の支援活動とその課題

  4. グループワーク 1

  5. 救援期における神社神道の活動

  6. 復興の困難さと神社・祭礼

  7. 宮城県気仙沼市での調査

  8. グループワーク 2

  9. 宮城県山元町での調査

  10. 岩手県大槌町での調査

  11. 福島県浜通り地域での調査

  12. グループワーク 3

  13. まとめ―コミュニティ再生をめぐって

  14. まとめ―記憶の継承をめぐって

  15. まとめ―防災・減災への展開をめぐって

講義形式を基本とし、途中で知見・課題を整理・共有するためのグループワークを行う。

成績評価方法

リポート提出。授業内容をふまえて論点を提示し、自らの知見を加えつつ論述する。4000字以上。

教科書・参考書

稲場圭信・黒崎浩行編『震災復興と宗教(叢書 宗教とソーシャル・キャピタル4)』明石書店、2013年。

黒﨑浩行『神道文化の現代的役割―地域再生・メディア・災害復興』弘文堂、2019年。

高倉浩樹・山口睦編『震災後の地域文化と被災者の民俗誌―フィールド災害人文学の構築』新泉社、2018年。

福田雄『われわれが災禍を悼むとき』慶應義塾大学出版会、2020年。

星野英紀・弓山達也編『東日本大震災後の宗教とコミュニティ』ハーベスト社、2019年。

授業時間外学習

授業を履修する前に、災害からの再生における宗教文化の役割について記された資料・文献を探索・収集し、読んでおく。