2023年度

academic year 2023

April 2023 -- March 2024

干支のイラスト:いらすとやより

Upcoming


--- academic year 2023 is over. Thanks for your attendance!

Double-check the time zone when browsing.

We usually start at 13:30 Japanese standard time (UTC+9).

日時:月曜日 Mondays 13:30 -- 15:00.

理学部学年暦

場所

合同A棟 (Science Complex A) 801

https://maps.app.goo.gl/5mj7S2oCWmRjpfGd6

世話人:山内卓也, 三柴善範, 甲斐亘 

contact kaiw(at)tohoku.ac.jp to join the mailing list.

リンク

集中講義, 談話会 (月曜日16:00--17:00)

他のセミナーの予定

理学部教務情報(シラバス・学年暦等)

日本数学会 代数学分科会 ホームページ(代数系の研究集会情報)


Past (latest to oldest)

winter semester

修論発表練習会

1月 22日 (月曜日)⋅午後12:30~3:20 合同A棟801

各発表者 15分 + 質疑5分 

以下敬称略

12:30--12:50 長谷川 昂輝 短い区間におけるSelberg-Delange methodとErdős-Kac型定理への応用 

12:50--13:10 成川 貴大 Appellの超幾何関数に付随する微分方程式の生成収束半径 

13:10--13:30 志賀 明日香 体拡大における楕円曲線のTate-Shafarevich群の挙動について 

13:30--13:50 大塚 瑛介 2次のフェルマー曲線上の反復積分とそのモチヴィックな解釈について 

13:50--14:00 休憩 

14:00--14:20 菅野 隼 深さ無限のt-多重ゼータ値とレベル付き多重Eisenstein級数について 

14:20--14:40 新沼 圭汰 異なるレベルの多重L値の間の関係式について 

14:40--15:00 森川 空 四つ組ゼータ関数とその関数等式について 

15:00--15:20 久富 一輝 不確定リーマンヒルベルト対応を用いたD加群のフーリエ変換の研究

久富一輝 氏(東北大学)

1月 15日 (月曜日)⋅午後1:30~2:30 合同A棟801


題目:

一般化されたRiemann-Hilbert対応と1次元のD加群のFourier変換について


要旨:

複素空間C^N上の代数的D加群を考えると,これはN変数のWeyl代数W^N上の加群と同一視することができ,特にWeyl代数のFourier変換はD加群に対する積分変換を誘導することが知られている.

この変換がD加群の特異点や特異点周りでの構造(Stokes構造)をどのように変化させるかという問題は,1次元の場合に関しては古くから様々な枠組みを用いて研究がなされてきた.

本講演では,2016年にD’Agnolo-柏原によって確立された一般のホロノミーD加群に対するRiemann-Hilbert対応の理論を用い,新たに1次元の場合に得られたいくつかの結果について紹介する.

【今回は通常よりも短く60分間の予定です】


森川空 氏(東北大学)

2023年 12月 25日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00 合同A棟801

タイトル:

四つ組ゼータ関数とその関数等式について

アブストラクト:

四つ組ゼータ関数は、Hurwitzゼータ関数と周期的ゼータ関数を用いてT.Nakamuraによって定義された関数である。この関数は、Riemannゼータ関数に非常に近しい性質を持ち、その最たるものが関数等式の形の一致である。

 Hamburgerの定理により、Riemannゼータ関数はその関数等式と幾つかの条件により特徴づけられる。すなわちRiemannゼータ関数において、関数等式は本質的な特徴の一つである。しかし、四つ組ゼータ関数はRiemannゼータ関数と全く同じ形の関数等式を持つが、一般にRiemannゼータ関数とは一致しない事が示されている。

 本講演では四つ組ゼータ関数の関数等式について復習し、関連して定義される3つのゼータ関数について、類似の手法によって関数等式を与える。

長谷川昂輝 氏(東北大学)

2023年 12月 18日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00 合同A棟801

タイトル: 

解析数論におけるSelberg-Delange MethodとそのErdös-Kacの定理への応用 

アブストラクト: 1939年、Paul ErdösとMark Kac によって、\frac{\omega (n) - \log \log n}{\sqrt{\log \log n}} の確率分布が標準正規分布に従うことが示された。ここで\omega (n) とは、nの相異なる素因数の個数である。そして1958年RényiとTuranは、Selberg-Delange Methodを用いてErdös-Kacの定理の式の剰余項を小さくした。本講演では、Selberg-Delange Methodによって得られる様々な結果とErdös-Kacの定理の証明の概要、及びこの周辺の現在行われている研究について話す。

新沼圭汰 氏(東北大学)

2023年 12月 4日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00 合同A棟801


タイトル:

異なるレベルの多重L値の間の関係式について


アブストラクト:

多重ゼータ値の一般化の1つとして、分子に周期的な関数をのせて定義される多重L値があり、その周期を多重L値のレベルと呼ぶ。異なるレベルの間の関係式としてはDistribution Relationと呼ばれる関係式が知られている。この関係式を用いて、任意のレベルの多重L値を用いた多重ゼータ値の新しい明示式が得られたので紹介する。また、多重L値の反復積分表示を用いて得られた関係式についても紹介する。


志賀明日香 氏(東北大学)

2023年 11月 27日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00 合同A棟801

タイトル:

2次拡大における楕円曲線のTate-Shafarevich群の挙動について


アブストラクト:

   楕円曲線のTate-Shafarevich群は強BSD予想においてL関数の先頭係数に登場する楕円曲線の普遍量の1つであり、幾何学的には種数1の曲線における局所大域原理の成り立たなさの程度を測っている。しかし一般にはその位数の有限性さえも知られていない。

 代数体上の楕円曲線E/Kを固定する。E/KのTate-shafarevich群の有限性は仮定し、Kを2次拡大した際に、Tate-Shafarevich群の位数がどれくらい増減するかという問題を考えよう。これは幾何的には、体を上げることでどれくらい局所大域原理の反例が増減しているのかを調べていることになる。

 ClarkやMatsunoによって、Tate-Shafarevich群の2-partの位数が2次拡大に上げることでいくらでも大きくできることが知られている。

 本講演では新たに、2次拡大したときのTate-Shafarevich群の位数が、楕円曲線のTwistのTate-Shafarevich群の位数と比べてもいくらでも大きくできるということを示す。

成川貴大 氏(東北大学)

2023年 11月 20日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00 合同A棟801

タイトル 
Appellの超幾何関数の$p$進化と付随する微分方程式の生成収束半径について 

アブストラクト 

“収束半径”は,$p$進微分方程式の持つ重要な不変量の一つである.複素領域では,正則な微分方程式は特異点がない限り,その解を延長できるが,$p$進的な状況ではそのようなことは成り立たない.実際,$y^¥prime=y$という簡単な微分方程式の解$C¥exp(x)$も,収束半径は$p^{-¥frac{1}{p-1}}$と1より小さい値を取る.$p$進微分方程式の級数解の収束半径がどのぐらい小さくなるかというのは,基本的な問題である.しかし,一般には解の収束半径は扱うのが難しいため,生成収束半径という扱いやすい収束半径を考える. $p$進微分方程式のうち,1変数のものについてはDworkらによっていくつかの例が考察され, 2変数のものは尾上耕佑氏(東北大学)の修士論文「Appellの2変数超幾何関数の$p$進化と付随する微分方程式の非可解性」で考察されている.尾上氏は,Appellの超幾何関数$F_1$に対して,生成収束半径を決定した. 本講演では,$p$進化した超幾何微分方程式の生成収束半径の計算方法を紹介するとともに,講演者がAppellの超幾何関数$F_2$,$F_3$に付随する微分方程式の生成収束半径の計算に取り組む中で得られた結果について述べる.

菅野 隼 氏(東北大学)

2023年 11月 13日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00 合同A棟801


タイトル

2-1公式の類似と深さ無限のt-多重ゼータ値について


アブストラクト

 t-多重ゼータ値はYamamotoによって定義された実多項式であり、tに0または1を代入した値を、それぞれ多重ゼータ値(MZV)、多重ゼータスター値(MZSV)と呼ぶ。MZVやMZSVにはさまざまな明示式や関係式が知られており、中でも2-1公式は2-1インデックスのMZSVと1/2-MZVを繋ぐ重要な関係式である。

 本講演では、2-3-2-1インデックスに対するその類似にあたる結果を述べる。また、深さ無限のt-MZVに関して、いくつかの特殊値を与える。

大塚瑛介 氏(東北大学)

2023年 10月 30日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00 合同A棟801

タイトル: 2次のフェルマー曲線上の反復積分とそのモチヴィックな解釈について 

アブストラクト: 

多重ゼータ値はRiemannゼータ値の多重化として得られる多重級数であり、それらがなす$\mathbb{Q}$-線形空間に関する研究が行われている。 そしてそれらを調べるために重要な点として、多重ゼータ値の$\mathbb{P}^1(\mathbb{C})\setminus\{0,1,\infty\}$上の反復積分とよばれる特殊な多重級数を用いた表示を考えるということが挙げられる。 本公演では、2次のフェルマー曲線から何点か除いた空間における反復積分によって得られる特殊値を定義し、それらが満たす数論的性質を紹介する。 この特殊値は多重ゼータ値の拡張となっており、さらにKaneko、Tsumuraによって定義された多重$\widetilde{T}$-値とよばれる特殊値も含む周期となっている。 さらにDeligneやGoncharovらによって導入されたモチヴィック反復積分の理論を用いて今回定義する特殊値のモチヴィックな解釈を与えることができ、これによりこれらの特殊値がなす$\mathbb{Q}$-線形空間の次元の上界を与えることができる。 ただし彼らの理論を直接適用させることは出来ず、モチヴィック反復積分のなす空間の係数拡大、およびガロア群の作用を考えてこれらを実現する手法についても説明したい。

池田 香凛  氏(九州大学)

10月 23日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00

タイトル:On real zeros of the Hurwitz zeta function 

アブストラクト:Hurwitzゼータ関数の実零点について,先行研究で残されていた問題を解決できたので報告する.講演では,まず Spira による Hurwitzゼータ関数の零点についての一般的な研究を紹介し,中村,松坂,遠藤-鈴木らによる実零点に関する研究を述べる.そののち,残された区間 (-4,0) における零点に関する主結果と証明の概略を別証を含めて述べる.また,証明に用いられるある多項式の族の不思議な挙動が観察された.この多項式に対する考察や課題も最後に述べる.


安沢 拓真 氏(名古屋大学)臨時で金曜日

10月 6日 (金曜日)⋅午後1:45~3:15 数学棟305

タイトル

「精密化S_l-多重ゼータ値の関係式と張る空間について」 

アブストラクト

 精密化対称多重ゼータ値(RS-MZV)はHiroseによって定義された対称多重ゼータ値(S-MZV)の持ち上げの一つであり、反復積分の周回積分によって定義される。S-MZVを研究する手法の一つとしてRS-MZVは頻繁に用いられており、その拡張もTasaka(円分化)やHonda(t-補間)、Kawamura(円分S_l)などで導入されている。本講演ではRS-MZVの拡張の一つであるRS_l-MZVが満たす関係式や張る空間について紹介し、Jarossayが導入したSMZVの母関数と指数型随伴多重ゼータ値との関連性について言及する。 

summer semester

新井龍之介 氏(東北大学)

7月 24日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00

【タイトル】

論文「J.-P. Allouche, D. Gouyou-Beauchamps, and G.Skordev, Transcendence of Binomial and Lucas' Formal Power Series」の紹介


【アブストラクト】

 1980年にStanleyにより、$t$が正の偶数の場合、形式的べき級数$F_t(X)=\sum_{n\geq 0}{\binom{2n}{n}}^tX^n$が有理関数体上超越的であることが示され、$t$が一般の2以上の整数の場合も同様の主張が成立するかという問題が提示された。この問題は1987年にFlajoletにより、1989年にWoodcockおよびSharifによりそれぞれ独立に証明が与えられ、肯定的に解決されている。StanleyとFlajoletが解析的な手法を用いて係数列の漸近挙動を調べたのに対し、WoodcockとSharifは二項係数の$\bmod p$還元がLucas' propertyと呼ばれる良い性質を持つことに着目し、純代数的な方法で考察を行なっている。

 今回紹介する論文では、WoodcockとSharifによる手法をもとに、係数列がLucas' propertyをもつような一般の有理数係数のべき級数が代数的となるための必要十分条件が与えられており、係数列がLegendre多項式から定まるものに限られることがわかる。本講演ではLucas' propertyの導入から始め、この事実の証明を紹介する。また、Alloucheによるこの事実の応用(1999年)についても合わせて紹介する予定である。



砂田浩幸 氏(東北大学)

7月 3日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00

タイトル:論文「Tomokazu Kashio, Note on Coleman's formula for the absolute Frobenius on Fermat curves」の紹介 


アブストラクト: 代数体上定義されたgood reductionを持つ代数多様体に対してp進cohomologyの1つであるcrystalline cohomologyが定義できる.crystalline cohomologyにはFrobeniusと呼ばれる線形作用素が作用し,その固有値などはWeil予想から代数多様体のreductionの点のcountingの情報を持っていることが知られている.したがってFrobenius作用に関する表現行列をexplicitに記述することは重要な問題である. しかしながらcrystalline cohomologyの構成が機械的であることもあり,一般にはFrobenius作用を記述することは難しい. 今回紹介する論文ではFermat曲線に対してFrobenius作用の表現行列のexplicitな表示を与えるColemanの公式の別証明が与えられている.証明には従来の精密な計算から脱した連続性や関数等式といった関数論的な議論を用いる.



竹平航平 氏(東北大学)【この日のみ川井ホール!】

2023年 6月 26日 (月曜日)⋅午後1:30~3:00

青葉山キャンパス数学棟川井ホール

【タイトル】

論文「Liang-chung Hsia, On the Dynamical Height Zeta Functions」の紹介


【アブストラクト】

整数論における重要な概念として、高さ関数がある。これは点の数論的複雑さを反映した量であり、有理数に対しては既約分数表示の分母と分子の絶対値の最大値で計算できる。素朴な問題として、高さの値がどのように分布するかという問題が考えられ、古くから研究されている。

一方、近年では整数論と離散力学系の融合領域の研究が盛んになっており、その一つとして、力学系に対する高さ関数がCall-Silvermanによって1993年に定義され、この分野の基本的な道具となっている。

今回紹介する論文では、基礎体が有限体上の代数曲線の函数体であり、かつ、力学系のふるまいが穏やかな場合に、力学系の高さ関数に対する数え上げ問題が考察されている。議論の中心は、高さの値に関する一般化Dirichlet級数として定義される、dynamical height zeta functionを計算することにあり、その際Riemann-Rochの定理が有効に機能する。


【論文リンク】

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022314X9792076X



石塚康介 氏(東北大学)

2023年 6月 19日 (月曜日) 午後1:30~3:00

タイトル

論文 「W.H. Schikhof, A perfect duality between p-adic Banach spaces and compactoids, Indagationes Mathematicae 6 (1995), 325-339.」 の紹介


論文DOI

https://doi.org/10.1016/0019-3577(95)93200-T

アブストラクト

Compactoid とは簡単に言うと位相的にほとんど有限生成な加群である. Compactoid の定義は通常のコンパクトの定義と似た形になっていて, コンパクト性が古典的な場合において重要であることと同様に, 非アルキメデス的関数解析において compactoid は重要な概念である. 今回の論文紹介では, compactoid を調べる上で便利な道具である Schikhof duality と呼ばれるものを紹介する. Schikhof duality とは compactoid の圏とバナッハ空間の圏は同値であるという主張である. 本講演では, Schikhof duality の証明をスケッチして, その証明のなかで具体的な対応を見ることで, Schikhof duality の応用例と得られた計算例を紹介する.



角野裕太 氏(東北大学)

6月 12日 (月曜日)午後1:30~3:00


【タイトル】

An Introduction to Vasilyev's Russian Paper ``Some formulas for the Riemann zeta function at integer points''

 

【アブストラクト】

正の奇数点におけるRiemannゼータ値は、無理数かどうかさえほとんど知られていないので、その超越性も未解決である。重要な進展は、1978年の Ap\'{e}ry による \zeta(2) と \zeta(3) の無理性の証明である。また、その1年後の1979年に、 Beukers は多重積分を用いた別証明を与えた。多くの数学者が両名の証明の一般化を試みており、その中でVasilenkoはBeukersの積分を多重化し、さらにいくつかの計算例を与えた。本講演では、Vasilenkoの扱った積分が、Riemannゼータ値の有理数倍であることを証明したVasilyevの露語原論文を紹介する。また、2006年にZlobinがモスクワ大学に提出した博士論文の中で示唆している多重ゼータスター値との関係についても言及したい。特に、今日 2-1 公式と呼ばれる多重ゼータ値と多重ゼータスター値の間に成り立つ$Q$-線型関係式の特殊な例を与えることを紹介する。

参考:論文URL

https://www.mathnet.ru/eng/vmumm1974

村上 友哉 氏(九州大学)

6月 5日 (月曜日)午後1:30~3:00

タイトル:3次元多様体の量子不変量と偽テータ関数の極限値

アブストラクト:3次元多様体の量子不変量は数理物理的観点から定義されたトポロジーの対象だが、表現論や数論とも関係が深く大変興味深い。例えば量子不変量の漸近展開とモジュラー形式の関連がZagierらによって指摘されている。この観点の下、数理物理学者のGukov-Pei-Putrov-Vafaは量子不変量の間のある関係式を予想した。本講演では講演者によって得られたこの予想の証明について述べる。この証明の手法の帰結としてある種のL関数の特殊値の関係式や消滅性が得られることも紹介する。

参考:

https://arxiv.org/abs/2302.13526

Prapanpong Pongsriiam (Silpakorn University)

5月 29日 (月曜日)午後1:30~3:00

場所: 東北大学理学研究科 数学系研究棟 305 

Title: Beatty sequences in additive number theory


Abstract: I will first give a short introduction to a classical and central problem in additive number theory. Then I will provide some reasons or motivation for considering Beatty sequences or generalized arithmetic progressions as an additive basis. Then I will show some old and recent results concerning Beatty sequences. If time permits, I will also use other slides (as a backup) concerning other problems that I am interested in.


原田遼太郎 氏(東北大学)

5月 22日 (月曜日)午後1:30~3:00

タイトル 

正標数における特殊値について 

アブストラクト 

正標数の関数体において, t加群の指数関数またはtモチーフの基本行列を介することで周期の類似物が定義される. そしてAnderson-Thakur (2009)やChang (2014)といった先行研究により, 標数0の場合と同様, 正標数においても多重ゼータ値や多重ポリログの特殊値の類似物などが周期であることが判明している. 本講演では講演者がこれまで取り組んできた正標数の周期の研究, 特に上記のような特殊値がもつ超越性, 線形・代数的独立性などに関して得られた結果を紹介する.