2021年度

April 2021 - March 2022

日時:月曜日 Mondays 13:30 -- 15:00.

場所:online

世話人:山内卓也

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理学部学年暦

で授業日とされている月曜日がセミナー候補日です。

ただし、休業期間中でも、学外ゲストの講演が臨時で入ることがあります。

Past

2021年 5月 31日 (月曜日)午後1:30~3:00

木村藍貴 氏

タイトル
論文 "J. Kajikawa, Duality and double shuffle relations of multiple zeta values, J. Number Th., 121 (2006), 1–6" の紹介


アブストラクト

多重ゼータ値の重要な関係式族のひとつである一般複シャッフル関係式は, 有理数係数の多重ゼータ値の線形関係式をすべて生成すると予想されているが, 基本的な関係式族である双対関係式の生成可能性問題は長らく未解決の重要課題である(双対関係式導出問題). 今回は, 重さと深さと高さを固定した収束インデックスに関する双対関係式の和が, 一般複シャッフル関係式から導出できることを説明する.

2021年 6月 14日 (月曜日)午後1:30~3:00

山内卓也 氏

タイトル

5次Dwork族に付随するガロア表現のmod 2 reciprocityとある3項5次多項式のreciprocityの

関係について


アブストラクト

5次Dwork 族の3次のmod 2 エタールコホモロジーのrank 4 部分に付随するガロア表現の像を完全に決定できたのでその結果を報告したい。証明の過程で, 当該ガロア表現の像がある3項、5次多項式のガロア群で記述できることを示すのであるが, それがDwork 族の幾何と6次対称群S_6の部分群の構造を用いて決定されるという証明の過程に重点をおいた解説をしたい。時間が余れば, 高次元Dwork族のガロア表現に関する類似の結果について言及したい。この結果は都築暢夫氏(東北大学)との共同研究である。

2021年 6月 28日 (月曜日)午後1:30~3:00

村上友哉 氏

タイトル:

論文「R. Menares, Correspondences in Arakelov geometry and applications to the case of Hecke operators on modular curves, Manuscripta Mathematica 136 (2011), 501-543」の紹介

アブストラクト:

算術曲面の重要な不変量の一つに双対化層の算術的自己交点数がある。数論的に重要な算術曲面であるモジュラー曲線に対するこの不変量の研究としてAbbes-Ullmo (1997), Mayer (2014), Fukuda (2017), Banerjee-Borah-Chaudhuri (2020)があるが、それらはいずれもモジュラー曲線のレベルに関する漸近評価を与えるものである。今回紹介する論文は漸近評価ではなく閉じた式を与えるものであり、その証明にはHecke作用による算術的Chow群の直交分解を用いる。その際、通常のArakelov理論の範疇では算術的Chow群の押し出しが定義できずHecke作用が定義できないという問題がある。今回紹介する論文では、Bost (1999) によるSobolev空間を用いた算術的Chow群の構成を用いることでこの問題を解決する。

2021年 7月 5日 (月曜日)午後1:30~3:00

竹平航平 氏

【タイトル】

力学系のゼータ関数の有理性とWoods Hole固定点定理


【アブストラクト】

体K上の一変数有理関数φに対し、これをP^1上の自己射と見なすことにより離散力学系が定義されます。Artin-Mazurゼータ関数やRuelleゼータ関数のように、離散力学系に付随して定まるゼータ関数は、離散力学系の研究における重要な研究対象の一つですが、1995年、HatjispyrosとVivaldiは周期点の乗数と呼ばれる力学系の局所的な振る舞いを記述する量を用いて有理関数φが定める力学系に付随するゼータ関数を定義しました。本講演ではこの力学系のゼータ関数が広いクラスのφに対して有理関数になることを証明します。証明はWoods Hole fixed point formulaという代数幾何学の公式を用いてコホモロジーに作用する線形写像のトレースに帰着させる手法で行われます。


2021年 7月 26日 (月曜日)午後1:30~3:00

鈴木諒 氏(東北大学)

タイトル

論文「On the Value Distribution of Shifts of Universal Dirichlet Series」の紹介


アブストラクト

Riemannゼータ関数がもつ性質の一つとして, 1975年にVoroninによって証明された普遍性定理があり, 零点を持たないコンパクト集合上の連続関数をゼータ関数の適当な平行移動によって近似が可能である. この普遍性なる性質はDirichletのL関数やLerchのゼータ関数など, Dirichlet級数によって定義された多くの有用な関数がもつ著しい特徴である. 今回は, 普遍性の拡張である同時普遍性を定義し, そこから導かれる定理及びその証明を紹介する.


=================== 以上前期、これより後期 =============================

2021年 10月 11日 (月曜日)午後1:30~3:00

安藤 大輝 氏 (東北大学M2)

タイトル :
A wavelet basis for various functions on local fields


アブストラクト :
局所体上の連続関数のなすBanach空間にはwavelet basisという基底がある. 特にp進数体の場合にはC1関数, C2関数全体のなす空間にSchikhof, De Smedtにより基底が与えられている. 本講演ではこれらを一般の局所体とCn関数に拡張した結果を紹介する. この結果は本学の片桐宥氏との共同研究である.


2021年 10月 18日 (月曜日)午後1:30~3:00

本田 涼真 氏(東北大学M2)

タイトル :
有限及び対称多重ゼータ値の重み付き和公式につ いて


アブストラクト :
有限及び対称多重ゼータ値には豊富な関係式が存在するが, その中に重み付き和公式と呼ばれる関係式がある. 重み付き和公式には,重みの付け方などによりいくつかのタイプが存在する. 今回,既存のものとは異なる新たなタイプの重み付き和公式を得ることができた.本講演では,既存の重み付き和公式を復習したうえで今回の結果を述べ,先行研究との繋がりについて解説を行う.


2021年 11月 8日 (月曜日)午後1:30~3:00

砂田 浩幸 氏 (東北大学理学研究科M2)

タイトル :
Tate-Senの定理とSenの理論の一般化について


アブストラクト :
p進表現においてTate-Senの定理という古典的だが非常に重要な定理がある.この定理は例えばp進円分指標の周期がp進複素数体C_p内に存在しないということを示している.一方でSenの理論という,やはり古典的だが重要な理論がある.これは与えられたp進表現が良い表現のクラスであるHodge-Tate表現にどのくらい近いかを示す手がかりを与えてくれる有用な理論である.

最近,L. Berger, P. ColmezによってSenの理論の一般化が構築された.本講演では,一般化されたSenの理論を用いてTate-Senの定理の一般化が証明できたのでそれについて紹介する.


2021年 11月 15日 (月曜日)午後1:30~3:00

佐々木 義卓 氏 (東北学院大学)

タイトル :
多重ゼータ関数のTangent Symmetryについて


アブストラクト :
多重ゼータ関数は非正整数点が不確定特異点となっているため、極限操作を指定することでそこでの値を導入する。Tangent Symmetryは、ある極限操作による非正整数点での多重ゼータ値が

満たす関係式であり、本講演ではそれを多重ゼータ関数のある種の

関数関係式の観点から再考する。

また、その応用として得られる非正整数点における多重ゼータ値が満たす

種々の関係式を紹介する。


2021年 11月 22日 (月曜日)午後1:30~3:00

小林 数生 氏(東北大学M2)

タイトル :
奇数の, 完全数, 倍積完全数, 調和数各々が存在するための必要条件について


アブストラクト:

完全数や完全数を含む倍積完全数, 調和数は奇数のものが存在するか未だわかっていない. これらの問題は長らく未解決だが, 存在するための必要条件が盛んに研究されている. その研究に関連して, 異なる素因数をちょうど2つもつ調和数は偶数の完全数に一致することを, Pomeranceが証明し, 後にCallanが再証明した. この度, 円分多項式に整数を代入した円分数の性質を利用し, この定理をより簡潔に証明できたので, その概要を述べる.

2021年 11月 22日 (月曜日)午後3:15~4:45

甲斐 亘 氏(東北大学)

タイトル

数体におけるGreen-Taoの定理


アブストラクト

いわゆるGreen-Taoの定理は、素数からなる任意の長さの等差数列が存在すると述べています (2004)。同時期にTaoは、同様の手法で、ガウス整数環の素元の集合が任意の形の「星座」を含む、という似た定理を示しています。

 このたび、見村万佐人、宗政昭弘、関真一朗、吉野聖人の各氏との共同研究 (arXiv:2012.15669) で、これを一般の数体に拡張することができたので、そのことをお話しします。

 証明の柱は「相対ハイパーグラフ除去補題」、「Goldston-Yildirim型漸近評価式」、「チェボタレフの密度定理」と呼んでいる3つの主張です。今回は、整数論的な性格を持つ後ろの2つ(のいずれか)に重点を置いて説明したいです。


2021年 12月 6日 (月曜日)午後1:30~3:00

庄司 幸弘 氏(東北大学M2)

タイトル :

正則楕円保型形式の成す次数付き環の構造について


アブストラクト :

正則楕円保型形式はモジュラー群の作用に対しある種の不変性を持つ、複素上半平面上の正則関数である。各SL_2(\Z)の有限指数部分群\Gammaに関する正則楕円保型形式の全体は次数付き環の構造を持つ。この次数付き環の生成系を, 長谷川雄之氏は\Gammaが\Gamma_0(N)の場合にリーマンロッホを用いた初等的手法で与えた。この結果を任意のSL_2(\Z)の有限指数部分群\Gammaに対して精密化することができたので, 本講演ではこの内容を紹介する。


2021年 12月 20日 (月曜日)午後1:30~3:00

竹平 航平 氏(東北大学M2)

タイトル:
射影直線上の力学系に付随するゼータ関数について


アブストラクト :
体$K$上の一変数有理関数$\phi$は射影直線上の自己射を定め、これにより離散力学系が定義される。この力学系の局所的な振る舞いを考察する上で重要な量として周期点のmultiplierと呼ばれるものがある。HatjispyrosとVivaldiはこのmultiplierを用いてゼータ関数を定義し、特別な$\phi$に関して有理性を証明している。本講演では、このゼータ関数について、射影直線上の連接層のコホモロジーに作用する線形写像の行列式を用いた表示を与え、それを用いて、ゼータ関数の有理性の証明、ゼータ関数の明示計算等を行う。


1月 17日 (月曜日)午後5:00~6:00

Yukako Kezuka 氏 (MPIM)

(講演は英語で行われます)

Note the irregular time!


タイトル :
On the conjecture of Birch and Swinnerton-Dyer for elliptic curves with complex multiplication


アブストラクト :
I will study the family of elliptic curves C_N/Q of the form x^3+y^3=Nz^3 for any cube-free positive integer N. They are cubic twists of the Fermat elliptic curve x3+y3=z^3, and they admit complex multiplication by the ring of integers of the imaginary quadratic field Q(sqrt{-3}). First, I will establish a lower bound for the 3-adic valuation of the algebraic part of their central L-values in terms of the number of distinct prime divisors of N. I will then show that the bound is sometimes sharp, which gives us the 3-part of the conjecture of Birch and Swinnerton-Dyer for C_N/Q in certain special cases.


1月 24日 (月曜日)午後1:30~3:30

修士論文審査会予行練習

6名×20分


13:30-13:50 小林 数生 氏


タイトル: 奇数の, 完全数, 倍積完全数, 調和数各々が存在するための必要条件について


アブストラクト: 完全数や完全数を含む倍積完全数, 調和数は奇数のものが存在するか未だわかっていない. これらの問題は長らく未解決だが, 存在するための必要条件が盛んに研究されている. その研究に関連して, 異なる素因数をちょうど2つもつ調和数は偶数の完全数に一致することを, Pomeranceが証明し, 後にCallanが再証明した. この度, 円分多項式に整数を代入した円分数の性質を利用し, この定理のより簡潔な証明を与えた. また, 素因数が3つの奇数の調和数は存在しないことを示すことに取り組み, ある条件下で解決した. 本発表ではこれらの概要を述べる.



13:50-14:10 本田 涼真 氏


タイトル:有限及び対称多重ゼータ値の重み付き和公式について


アブストラクト:有限及び対称多重ゼータ値には豊富な関係式が存在するが, その中に重み付き和公式と呼ばれる関係式がある. 重み付き和公式は, 重みの付け方などによりいくつかの種類が存在する. 本論文の主結果は3つあり, 1つ目は新たな種類の重み付き和公式が得られたこと, 2つ目は主結果1で得られた和公式の特殊な場合における$t$補間が得られたこと, 3つ目は鎌野, 藤田-小森による重み付き和公式における$t$補間が得られたことである. 本審査会では, 今回得られた3つの主結果について, その概要を述べる.



14:10-14:30 砂田 浩幸 氏


タイトル:Locally analytic vectorsを用いたSenの理論の一般化とその応用



アブストラクト:p進表現において基本的な定理であるTate-Senの定理とはp進複素数体C_pを円分指標で捻った表現C_p(1)のガロアコホモロジーがどうなるかを記述した定理である.

円分指標は値をp進整数環の乗法群Z_p^×にとるが,値をもう少し大きなところにもつ指標についても同様の主張が示せるか,という問題が自然に考えられる.

これに関し2009年にL. FourquaxによってLubin-Tate characterの場合の証明が与えられた.今回これの別証明をL. Berger, P. ColmezによるSenの理論の一般化を用いて与えることができたので,それについてお話しする.



14:30-14:50 竹平 航平 氏


タイトル:射影直線上の力学系に付随するゼータ関数について


アブストラクト:体上の一変数有理関数は射影直線上の自己射を定め、その反復合成を考えることで離散力学系が定義される。射影直線上の力学系の局所的な振る舞いを反映する量として、multiplierがあり、HatjispyrosとVivaldiはmultiplierに関する母関数として力学系のゼータ関数を定義した。このゼータ関数に対して、弱い仮定のもとで連接層のコホモロジーに作用する線形作用素に関する固有多項式を用いた表示を与え、それを用いて一般次数の有理関数に対しては弱い仮定の下で、二次有理関数に関しては仮定なしにゼータ関数の有理性を証明したので、それを紹介する。また、コホモロジーに作用する線形写像の固有値についても考察する。



14:50-15:10 安藤 大輝 氏


タイトル:A wavelet basis for various functions on a local field


アブストラクト:局所体上の連続関数全体のなす空間にはwavelet basisという基底がある. 特にp進数体の場合にはC1関数, C2関数全体のなす空間にSchikhof, De Smedtにより, wavelet basisを利用した基底が与えられている. 本講演ではこれらを一般の局所体とCn関数に拡張した結果を紹介する. この結果は本学の片桐宥氏との共同研究である.



15:10-15:30 庄司 幸弘 氏


タイトル:正則楕円保型形式の成す次数付き環の構造について


アブストラクト:正則楕円保型形式はモジュラー群の作用に対しある種の不変性を持つ、複素上半平面上の正則関数である。各SL_2(\Z)の有限指数部分群\Gammaに関する正則楕円保型形式の全体は次数付き環の構造を持つ。この次数付き環の生成系を, 長谷川雄之氏は\Gammaが\Gamma_0(N)の場合にリーマンロッホを用いた初等的手法で与えた。この結果を任意のSL_2(\Z)の有限指数部分群\Gammaに対して精密化することができたので, 本講演ではこの内容を紹介する。