2020年度

日時:月曜日 13:30 -- 15:00.

2講演の日は 12:30 -- 15:45

場所:Zoom. アクセス情報はメーリングリストで配布。東北大学の方はこのリンクからも閲覧できます。

世話人:甲斐亘 kaiw(at)tohoku.ac.jp メーリングリストに登録希望の方はご連絡ください。

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理学部学年暦

で授業日とされている月曜日がセミナー候補日です。

ただし、休業期間中でも、学外ゲストの講演が臨時で入ることがあります。

Past

新しい順に並んでいます。

修論発表練習会・鈴木氏・長内氏・當田氏

1月 25日 (月曜日)午後1:30~2:30

1人15分+質疑5分

13:30 鈴木諒 氏「特殊化した多重ゼータ関数の零点及びa点の分布について」

13:50 長内淳紘 氏「Rothの定理と高さ関数について」

14:10 當田峻也 氏「Bernoulli多項式およびEuler多項式の有理点での合同式」


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修論発表練習会・尾上氏・卯城氏・上澤氏

1月 18日 (月曜日)午後1:30~2:30

説明:

15分発表+最大5分質疑


尾上耕佑 氏

「Appellの2変数超幾何関数のp進化と付随する微分方程式の非可解性」


卯城力 氏

「正値グラスマン多様体のトロピカル化」


上澤光輝 氏

「トロピカル凸性」


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卯城力 氏・東北大学

2020年 12月 21日 (月曜日)午後12:30~2:00

説明:

タイトル: 正値グラスマン多様体のトロピカル化


アブストラクト:

グラスマン多様体のトロピカル化は組み合わせ論的な事実が示されている。2次元部分空間からなるグラスマン多様体のトロピカル化は系統樹空間となることがSpeyer, Sturmfelsらによって示された。

正値グラスマン多様体はグラスマン多様体のプリュッカー座標の正部分のことである。今回は、2次元部分空間からなる正値グラスマン多様体のトロピカル化についてSpeyer, Williamsらによって示された結果を紹介する。

舟木佑司 氏・東北大学

2020年 12月 21日 (月曜日)午後2:15~3:45

説明:

タイトル:対合付き中心単純代数に付随する跡形式のHasse-Witt不変量


アブストラクト:

中心単純代数は体上の行列環に“近い”構造を持った(一般には)非可換環であり,それらの"ある関係"での類の集合はBrauer群と呼ばれる.Brauer群は二次のガロワコホモロジーと密接な関係があり,コホモロジー論での類体論の証明で重要な役割を果たす.またHasse-Witt不変量は二次形式の同型を判定するための一つの重要な量であり,この量もまたBrauer群の元である.

対合付き中心単純代数は1930年代にリーマン面の研究過程でAlbertによって導入され,その後1960年代に,A.Weilにより古典的な代数群との関係性が指摘され研究されてきた.

本発表では,対合付き中心単純代数(A,σ)の跡形式のHasse-Witt不変量がAのBrauer類と四元数環(-1,-1)で計算されるというQuélingerによって1996年に証明された定理を紹介する.


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當田峻也 氏・東北大学

2020年 12月 14日 (月曜日)午後12:30~2:00

説明:

タイトル:Bernoulli多項式およびEuler多項式の有理点での合同式


アブストラクト:

Bernoulli多項式およびEuler多項式は有理係数の多項式だが,有理点において一定の操作で整数になることがそれぞれAlmkvist-Meurman,Foxによって示され,そのx=1/3におけるmod 3での値がBernoulli多項式の場合のみGlaisherによって得られている.本講演ではGlaisherの結果をBernoulli多項式およびEuler多項式の全ての有理点に一般化する.また,同様の議論を用いることで,Bernoulli数の分母を決定する定理として有名な,von Staudt-Clausenの定理のある種の改良も得られたので,そのことについても報告する.

尾上耕佑 氏・東北大学

2020年 12月 14日 (月曜日)午後2:15~3:45

説明:

タイトル:Appellの2変数超幾何関数のp進化と付随する微分方程式の非可解性


アブストラクト:

p進的な微分方程式は1960年代にDworkによって注目されて以降、現在まで多くの研究がなされている。特に可解な方程式については、数論幾何との結び付きが強く、具体的にはあるガロア表現のconductorを調べるために使われている。しかし、どのような方程式が可解になるのかというのは一般に難しい問題であり、非可解なものや多変数なものについては未だに整備されていないことも多い。今回、代表的な2変数特殊関数としてAppellの超幾何関数を取り上げ、パラメタのノルムが大きい場合には付随する方程式が非可解になることを示した。本発表では、この結果をp進微分方程式の一般論と共に紹介する。

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鈴木諒 氏・東北大学

2020年 12月 7日 (月曜日)午後12:30~2:00

説明:

タイトル:特殊化した多重ゼータ関数の零点及びa点の分布について


アブストラクト:

リーマンゼータ関数の零点の個数に関しては、Riemann-von Mangoldtの漸近公式がよく知られている。また、零点を任意の複素数aに置き換えた場合の個数の数え上げについてもLandauによって同種の漸近公式が得られることが示されている。

今年、村原と小野塚が多重ゼータ関数の特殊な場合において、 Riemann-von mangoldt型公式が得られることを示した。このセミナーでは、村原と小野塚のこの公式に対して、講演者の得た一般化を述べるとともに、その結果を用いた進行中の研究についても紹介する。

長内淳紘 氏・東北大学

2020年 12月 7日 (月曜日)午後2:15~3:45

説明:

タイトル:Rothの定理と高さ関数について


アブストラクト:

Rothの定理は、1955年にRothによって証明された、代数的無理数の近似指数に最良の結果を与える定理である。しかし、これは1844年に証明されたLiouvilleの定理とは異なり、effectiveではないため、effective版を求めることが大きな課題となっている。そのため、Rothの定理に関する研究は1955年以降も続けられ、現在では代数体版や定量的結果などが知られている。今回の発表では、前半部でSilvermanによって定式化された代数体版定量的Rothの定理を紹介し、後半部でRothの定理について考察する中で得られた結果(特別な場合での解の個数の別評価や高さの評価など)を紹介する。

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上澤光輝 氏・東北大学

2020年 11月 16日 (月曜日)午後1:30~3:00

説明:


トロピカル凸集合に対する組み合わせ論的アプローチ


アブストラクト:

トロピカル半加群上で凸性や、ポリトープの概念を導入する。また、トロピカルポリトープをtypeによって組み合わせ論的にラベル付けすることで、複体の構造を与えることができる。この複体と二つの単体の直積の標準分割との対応を考えることで双対的な性質を見る。

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村上友哉 氏 (東北大学)

2020年 7月 27日 (月曜日)午後1:30~3:00

説明:

タイトル: 論文紹介「D.Zagier, Modular forms associated to real quadratic fields

Invent. Math. 30 (1975), 1-46」

アブストラクト:

モジュラー形式の構成は整数論における重要な課題である。実二次体のHilbertモジュラー形式という2変数正則関数をより簡単な楕円モジュラー形式という1変数正則関数から構成する方法として土井・長沼リフトというものが知られている。Zagierのこの論文では土井・長沼リフトの別構成を与える。それは、ある明示的な3変数のモジュラー形式を1変数について積分する(Petersson内積を取る)という構成法である。



論文リンク

https://people.mpim-bonn.mpg.de/zagier/files/doi/10.1007/BF01389846/ModFormsRQF.pdf

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伊東邦大 氏 (東北大学)

2020年 7月 20日 (月曜日)午後1:30~3:00

説明:


講演者:伊東邦大 氏(東北大学)

タイトル: 多変数荒川-金子ゼータ関数の解析接続について

アブストラクト:

本講演では、先行研究である(一変数)荒川-金子ゼータ関数、及び(一変数・多変数)金子-津村ゼータ関数の解析接続を復習したのち、そこで用いられた手法を多変数荒川-金子ゼータ関数の解析接続に適用するために講演者が改良を行った評価式について紹介する。


荒川-金子ゼータ関数とは、金子-津村ゼータ関数と対をなす、多重ゼータ値とポリベルヌーイ数の解析に応用を持つ複素関数である。

先行研究では整関数への解析接続が、積分領域をゼロ近傍と無限遠点近傍で分ける手法と、リーマン面上のハンケル型経路の線積分を用いる手法の二つで行われた。

時間の前半では、この二つの手法の解説を行い、特に多変数金子-津村ゼータ関数の解析接続には後者が有効であることを説明する。

講演者の研究テーマである多変数荒川-金子ゼータ関数の解析接続に当たっては、収束性の問題を解消する必要があった。

時間の後半では、その問題をどのように乗り越えたかについて時間の許す限り証明を紹介する。

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木村藍貴 氏 (東北大学)

2020年 6月 22日 (月曜日)午後1:30~3:00

説明:


講演者:木村藍貴 氏(東北大学)


タイトル: 論文" M. Nakasuji, O. Phuksuwan and Y. Yamasaki, On Schur multiple zeta functions: A combinatoric generalization of multiple zeta functions, Advances in Mathematics 333 (2017), 570-619"の紹介


アブストラクト:

Schur多項式の類似物として, 多重ゼータ関数および多重ゼータスター関数と呼ばれる2つの関数を補完するSchur多重ゼータ関数が知られている. Schur多項式についてJacobi-Trudi公式が成り立つことが知られており, 今回紹介する論文ではSchur多重ゼータ関数におけるJacobi-Trudi公式の対応物を与えている. 本講演ではSchur多重ゼータ関数とSchur多項式の対応を紹介しつつ双方のJacobi-Trudi公式を紹介する.

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関真一朗 氏 (東北大学)

2020年 6月 15日 (月曜日)午後1:30~3:00

説明:

タイトル: 密度版Hales-Jewettの定理の簡単な証明について [論文紹介]

アブストラクト:

Dodos-Kanellopoulos-Tyrosの"A simple proof of the density Hales-Jewett theorem" (International Mathematics Research Notices 12 (2014), 3340-3352)の論文紹介を行う。

密度版Hales-Jewettの定理はFurstenberg-Katznelsonによってエルゴード理論を用いて証明された定理であるが、Polymath (Ann. Math. 2012)によって組合せ論的な新証明が得られた。今回紹介する論文はそれを更に簡略化したというものであり、その証明の流れを整理して話す予定である。有名なSzemerédiの定理はDHJの系であるが、この論文の証明の目的をSzemerédiの定理の新証明を与えることと解釈してみた場合、他の知られているSzemerédiの定理の証明よりも簡単なものとなっている。

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片桐宥 氏 (東北大学)

2020年 6月 8日 (月曜日)午後1:30~3:00

説明:

タイトル: 多重ポリBernoulli数のKummer型合同式

アブストラクト:

Bernoulli数についてKummer合同式とよばれる合同式が知られている.

これはp進ゼータ関数の存在性に関係する重要な合同式である.

2012年にKitaharaはBernoulli数の一般化であるポリBernoulli数について

Kummer合同式の類似となる合同式を示した.

今回,Bernoulli数のさらなる一般化である多重ポリBernoulli数についても

同様の合同式を示したので,それについて紹介したい.