Upcoming
Paul Helminck 氏 (東北大学)
日時:12月2日 (月) 午後1:30~2:30
場所:合同A棟801
タイトル:The semistable reduction type of a modular curve
アブストラクト:
Let p be a prime number not equal to 2 or 3, and let H be a congruence subgroup in SL2(Z) with modular curve X_{H}. In this talk, I will discuss my recent work on finding the semistable reduction type of X_{H} over p. This will include explicit formulas for the toric ranks and component groups of the Jacobian of X_{H}. These semistable reduction types play important roles in the Kim-Chabauty method for finding rational points, in determining local heights as in the Gross-Zagier method, and in finding congruences of modular forms, among others.
If time permits, I will also talk about recent progress on finding heights of Heegner points using tropical theta functions, and on completing the description of the semistable reduction type using the p-adic tree arising from elliptic curves with CM and their Tate modules.
Past (latest to oldest)
winter semester
鶴田 有斗 氏 (東北大学)、角野 裕太 氏 (東北大学)
日時:11月25日 (月) 午後1:30~3:45
場所:合同A棟801
13:30--14:30
講演者:鶴田 有斗 氏 (東北大学)
タイトル:多重ゼータ値の反復積分表示の離散化と $q$-類似
アブストラクト:
多重ゼータ値の研究において最も基本的かつ重要な表示である反復積分表示について、2024年2月に前阪--関--渡邊はその離散化を与えた。彼らは、多重調和和と等しい値を持つ適切なRiemann和を発見することにより多重ゼータ値のいくつかの関係式の証明を有限和レベルで解釈することに成功した。また、対角的一定なインデックスに対するSchur多重ゼータ値の離散化が山本によって得られた。これらを踏まえて本講演では、離散化に関するこれまでの研究の流れを紹介し、離散化の $q$-類似への拡張と、それにより得られた結果について述べる。
14:45--15:45
講演者:角野 裕太 氏 (東北大学)
タイトル:実パラメータ付き中央二項級数
アブストラクト:
中央二項級数(CBS)とは、分母に中央二項係数を含む特定のDirichlet級数であり、1978年のAp\'{e}ryによる $\zeta(2)$ と $\zeta(3)$ の無理数性の驚くべき証明などに現れる。その後、CBSの整数点での特殊値自体にも興味深い性質が見いだされ、特に1以下の点とそれ以外では異なる性質が示されている。1985年にLehmerは、1以下の整数点におけるCBSの特殊値が、arcsin関数と漸化式によって定義される2種類の多項式を用いて表せることを示した。この2種類の多項式は、その後B\'{e}nyiとMatsusakaによって、本質的に二変数Eulerian多項式であることが明らかにされた。今回、新たにCBSに実パラメータを加えた『Hurwitz型CBS』を導入し、さらにこれのpolylog版(Hurwitz-Lerch型CBS)についても考察した。この一般化により、一般化された超幾何級数を用いた表現を得るとともに、Lehmerの結果をHurwitz型CBSへ拡張した。また、B\'{e}nyiとMatsusakaの結果の類似のアプローチにより、二変数Eulerian多項式との詳細な関係も明らかにした。さらに、特定の実パラメータに対するHurwitz型CBSの特殊値を明示的に表す式も得た。本講演では、先行研究を手短に復習した後、本研究の成果について述べる。以上の内容は、九州大学の池田香凜氏との共同研究内容に基づく。
summer semester
原田 遼太郎 氏 (東北大学)、Chieh-Yu Chang 氏 (National Tsing Hua University)
日時:7月8日 (月) 午後1:30~3:45
場所:数学棟201
13:30--14:30
講演者:原田 遼太郎 氏 (東北大学)
タイトル:On algebraic independence of Anderson-Thakur series, Anderson-Thakur functions, and their hyperderivatives
アブストラクト:
In 1935, Carlitz invented positive characteristic analogues of gamma values and Riemann zeta values, which are known as Carlitz gamma values and Carlitz zeta values. Later, these Calitz’s analogues are extended to arithmetic gamma values by Goss (1980), and positive characteristic multizeta values by Thakur (2004). In this talk, I introduce my recent joint work with Daichi Matsuzuki, which proves algebraic independence of arithmetic gamma values, positive characteristic multizeta values of restricted indices, and hyperderivatives of their deformation series by using the properties of t-motivic Galois groups.
14:45--15:45
講演者:Chieh-Yu Chang 氏 (National Tsing Hua University)
タイトル:On special v-adic gamma values after Gross-Koblitz-Thakur
アブストラクト:
In this talk, we will introduce special v-adic arithmetic gamma values in positive characteristic, which play the function field analogue of the special values of Morita's p-adic gamma function. In the function field case, Thakur established a formula à la Gross-Koblitz, and hence obtained algebraicity of certain special v-adic arithmetic gamma values. In a joint work with Fu-Tsun Wei and Jing Yu, we prove that all algebraic relations among these special v-adic gamma values are coming from the three types of functional equations that the v-adic arithmetic gamma function satisfies, and Thakur's analogue of Gross-Koblitz's formula.
Alex Youcis 氏 (シンガポール国立大学)
日時:6月24日 (月) 午後1:30~2:30
場所:数学棟201
タイトル:Serre--Tate theory for Shimura varieties of abelian type
アブストラクト:
The celebrated Serre--Tate theorem says that deformations of an abelian variety are naturally parameterized in terms of deformation of the abelian variety's Barsotti--Tate group. In particular, this says that the natural functor from Mumford's moduli spaces of principally polarized abelian varieties to the moduli stack of Barsotti--Tate groups is formally étale. In this talk I will discuss joint work with Naoki Imai and Hiroki Kato which shows a similar result holds true for arbitrary Shimura varieties of abelian type (at hyperspecial level), for which Mumford's moduli spaces are very specific examples of.
新井 龍之介 氏 (東北大学)
日時:6月17日 (月) 午後1:30~2:30
場所:数学棟201
タイトル:Lucas propertyを満たす階乗比の母関数や一般超幾何級数からなる族の代数的独立性について
アブストラクト:
Lucas propertyとは, 二項係数のLucasの定理の主張を一般の数列に対して拡張したものであり, WoodcockおよびSharifやAlloucheらをはじめとする研究者によって, このような性質を持つ数列の母関数の有理関数体上における代数性が研究されてきた. 例えばAlloucheらによる結果として, Lucas propertyを満たす代数的な冪級数は, ある特別な有理関数の冪根に限られるということが知られている. 本発表では論文「B. Adamczewski, J. P. Bell and É. Delaygue, Algebraic independence of G-functions and congruences "à la Lucas", Ann. Sci. Éc. Norm. Supér. 52 (2019), 515-559」の内容をもとに, 二項係数を一般化した階乗比の母関数や一般超幾何級数がLucas propertyを満たす条件を紹介し, さらにその応用として, これらの冪級数からなるいくつかの具体的な族の代数的独立性を導く手法を紹介する. ここで用いられる, Lucas propertyを満たす冪級数族の代数的従属性の特徴付けは, 先に述べたAlloucheらの結果の拡張となっている.
竹平 航平 氏 (東北大学)
日時:6月10日 (月) 午後1:30~2:30
場所:数学棟201
タイトル:論文「Schanuel, Stephen Hoel. "Heights in number fields." Bulletin de la Société Mathématique de France 107 (1979): 433-449.」の紹介
アブストラクト:
高さ関数は点の数論的複雑さを測る道具であり、数論の様々なところで強力なツールとして使われている。高さ関数は道具として有用なだけでなく、その値の分布も興味深いものである。例えば、「二つの自然数が互いに素である確率」を計算したDirichletの結果は、有理数体上の射影直線の高さ関数の値分布として理解できる。本発表では、代数体上のN射影空間の標準高さに関して、その値の分布を述べたSchanuelの論文を紹介する。この定理は、漸近挙動の係数にDedekindゼータ関数の特殊値や、代数体の類数、Regulatorなどの興味深い定数が現れる。証明のカギとなるのは、Euclid空間上の格子点の数え上げと、メビウスの反転公式である。また、時間があればこの結果の力学系類似にあたる、発表者の議論も紹介したい。
志賀 明日香 氏 (東北大学)
日時:6月3日 (月) 午後1:30~2:30
場所:数学棟201
タイトル:楕円曲線のTate--Shafarevich群の2-partの2次拡大における挙動について
アブストラクト:
代数体$K$上の楕円曲線$E$のTate--Shafarevich群$\Sha(E/K)$はガロアコホモロジーのlocalization mapの核で定義され, 種数$1$の代数曲線の局所大域原理成立($p$進体と無限素点での完備化上で有理点を持てば, 完備化する前の代数体で有理点を持つこと)の障害となる群である. $\Sha(E/K)$が有限群であることは有名な未解決問題である一方, $\Sha(E/K)$の位数$2$の元からなる部分群$\Sha(E/K)[2]$($2$-partと呼ばれる)は有限群であり, $\Sha(E/K)[2]$は$2$-Selmer群$\mathrm{Sel}^2(E/K)$と呼ばれる有限群とともに, 楕円曲線のランクを制御する上で重要な役割を果たす.
本講演では, 体を2次拡大$L=K(\sqrt{D})/K$したとき$\Sha(E/L)[2]$の位数の増減の仕方について, $\Sha(E_D/K)[2]$の増え方との関連性について講演者が得た結果を紹介する. ただし$E_D/K$は$E/K$の$D$によるtwistである. Poitou--Tateの完全列を用いてlocalization mapを$2$-partに制限した写像の余核が$\mathrm{Sel}^2(E/K)$の位数以下の有限群になることを示すこと, ガロアコホモロジーの余制限写像を用いることが技術的に重要なポイントである.
大塚 瑛介 氏 (東北大学)
日時:5月27日 (月) 午後1:30~2:30
場所:数学棟201
タイトル:Chen's \pi_1-de Rham定理とその応用について
アブストラクト:
反復積分は、パス空間のde Rhamの理論を展開するためにK. T. Chenによって導入された線積分のある一般化であるが、その理論は多重ゼータ値をはじめとする周期の反復積分表示によって数論への応用がなされている。特に\pi_1-de Rham theoremとよばれる定理はある種の比較定理を与えているとみなすことができ、その後の混合Tateモチーフを利用した周期に関する研究に多大な影響を与えている。本講演では、この定理とその応用について、具体例を中心に紹介する。
石塚 康介 氏 (東北大学)
日時:5月20日 (月) 午後1:30~2:30
場所:数学棟201
タイトル:論文「J. Aguayo, M. Nova, and J. Ojeda, Representation Theorems for Operators on Free Banach Spaces of Countable Type」の紹介
アブストラクト:
古典的な関数解析においてスペクトル理論は非常に重要な役割を果たす. 可換 Banach 環のスペクトラムは極大イデアルの集合と一致しており, 可換 C*-環の場合は Gelfand 変換を通じてスペクトラム上の連続関数空間と同一視される. 結果として, 正規作用素に対して関数空間の表現が構成され, 量子力学や作用素環論など様々な分野に応用される.
古典的に重要であるスペクトル理論に対して非アルキメデス的関数解析における類似を研究することは自然な流れであり, 多くの研究者達によって研究されてきた. 本講演では, その一つである C-algebra について紹介し, 古典的な関数解析と類似した性質を説明する. そして, 講演者の最近の成果である自己共役コンパクトイド作用素のスペクトル分解定理の C-algebra を用いた解釈について紹介する.
村上 友哉 氏 (九州大学)
日時:5月13日(月) 午後1:30~2:30
場所:数学棟201
タイトル:種々の多項式写像に対する力学的多項式の整数性
アブストラクト:
多項式写像の反復合成の数論的性質を調べる分野である数論的力学系において、力学的多項式と呼ばれる重要な多項式族がある。これは周期点を根に持つという著しい性質を持ち、また円分多項式やモジュラー多項式の類似物になっているという点で非常に興味深い。本講演では、二つの力学的多項式の終結式が非常にバラエティに富んだ整数性を持つことと、その応用として放物的周期点を持つ多項式写像の高さの上界が得られることを紹介する。本講演は佐野薫氏(NTT)と竹平航平氏(東北大学)との共同研究に基づく。
角野 裕太 氏 (東北大学)
日時:4月22日(月) 午後1:30~2:30
場所:数学棟201
タイトル:An Introduction to Central Binomial Series
アブストラクト:
1978年のAp\'{e}ryによる $\zeta(2)$ と $\zeta(3)$ の無理数性の驚くべき証明は、Riemannゼータ値の中央二項級数表示を考察することで証明されている。この中央二項級数は、種々のゼータ値との関わりが知られており、非常に興味深い対象である。本講演では、Ap\'{e}ryが扱った中央二項係数を含む、より広範な級数とその特殊値に関する研究のうち、以下の二つを紹介する。一つ目は、Borwein, Broadhurst, Kamnitzerによる論文"Central binomial sums, multiple Clausen values and zeta values"である。これは、中央二項級数と多重ゼータ値との関係をlog-sine積分の視点から研究した内容で、特に多重ゼータ値の基本的な関係式である双対公式の拡張にあたる結果と次元予想の類似物が得られる。二つ目は、Lehmerによる論文"Interesting series involving the central binomial coefficient"である。これは、中央二項級数を2つの系列に分けて、それぞれに対して特殊値の明示的公式を求める内容である。また、時間が許せば、Benyi, Matsusakaによる論文"Remarkable relation between the central binomial series, Eulerian polynomials, and poly-Bernoulli numbers"を紹介したい。これは、中央二項級数の正の整数点での特殊値と多重Bernoulli数との関係を調べた内容である。
菅野 隼 氏 (東北大学)
日時:4月15日(月) 午後1:30~午後2:30
場所:数学棟201
タイトル:多重Eisenstein級数の正規化について
アブストラクト:
多重Eisenstein級数(MES)はGangl-Kaneko-Zagierによって導入された二重Eisenstein級数を一般化した上半平面上の正則関数である.多重ゼータ値(MZV)との関わりとして,そのFourier級数展開がMZVに対応する形式的反復積分の余積の計算から得られることがBachmann-Tasakaによって明らかにされた.また,彼らはそれを用いて正規化多重Eisenstein級数を構成した.本講演では,まず,一般のレベルのMZVを紹介する.その後,一般のレベルのMESについて,Bachmann-Tasakaの結果を拡張する.
顔合わせ
日時:4月8日(月) 午後1:30~午後3:00
場所:数学棟201
スケジュール:
(1) 今年度の整数論セミナーのスケジュール調整(今年度からは講演時間は原則60分とします。)
(2) 教員および卒業生から学生に向けて、研究生活(またはその他)に関するお話しを予定してます。話し手は山内先生、村上さん(現九大学振PD)、伊藤先生、三柴です。一人15分程度。
(3) その他