2023年5月

田村あけみ市議会報告 2023年3月議会.pdf

2023年3月市議会  

田村あけみの

一般質問~市長(課長)答弁の要旨です。

  

〈 宮内市長に問う 〉


   日本の軍事拡大路線をどう思う?


【田村あけみ議員】

地球規模での新型コロナウイルス感染が続く中で、ロシアによるウクライナ侵略戦争が始まり、子どもや高齢者、一般市民の命が奪われ、生活基盤が破壊された。核兵器こそ使用されてはいないが、原発施設が攻撃を受ける事態もあり、戦争は地球上の全生物を死滅させる危機であることを認識させられた。始まった戦争の終結はたやすいことではないときく。その間、どれだけの命が奪われ、被害を受け、憎しみが増幅されるのか、それを思い描けば、努力に努力を重ねて戦争を避けなければならないと私は考える。

日本が今増強しなければならないのは、軍備品ではなく外交の実力ではないか。ところが政府は、アメリカと一体となった集団的自衛権行使を可能とするために、トマホークなどミサイルの大量購入、大型弾薬庫の整備など、今後5年間に税金43兆円を軍事費に投入する計画である。2023年度防衛費予算は6兆7880億円(GDPの1%超)、また原爆(核兵器)被爆国なのに、核兵器禁止条約に署名も批准もしていない。

戦争を避けるために軍備増強するという論理は通用しない、際限のない軍備拡張競争となるのは明らかではないか。その財源は、国債の大量発行(国の借金増大)、国民の社会保障費の削減、消費税などの国民増税が想定され、地方財源にも影響を及ぼす、宮内市長の市政に立ちはだかる壁となるのではないか。

 

【宮内市長】

戦争と平和の問題、国の政策については、やはり国会で議論を十分深め、国民に理解を求めるのが重要と思う。その上で、現在本市も加盟している平和首長会議で、核兵器廃絶に向けた取組の推進について、国に要請を行っている。

今後も平和首長会議を通じて各自治体が連携して取り組みたい。

 

   匝瑳市の農業戦略は、活路を見出せるか


【田村議員】 

日本の食料自給率38%、1965年当時は70%あった。カナダ266%、オーストラリア200%、アメリカ132%、フランス125%。日本の穀物自給率は175か国中124番目、「日本に言うことを聞かせるには食料輸出をやめてしまえばよい」ということになる。農業の増産が求められる。

匝瑳市は稲作が主要で、農水省方針による農地の集約化を推進してきたが、米価下落で農業の継続に困難が生じている。

一方、生産の喜びが得られる農業に携わりたいという若者も現れているが、農業収入があまりに少ないことが問題。

匝瑳市農業の活路をどのように見い出していくのか。

 

【市長】 

市長重点施策に農林水産業の所得向上を掲げている。市農林水産課内に農業戦略室を設置し、農業の効果的・戦略的な施策に取り組んでいく。

 

【田村議員】

市内農地に適している栽培品の研究を行う、耕作放棄地の農家と新規就農希望者のマッチング事業を行う、農業戦略室として農家に足を運び、実態に合った対策を練る、といったことを求めたい。

 

【市長】 

そのようなことを戦略的に考えていくのが、農業戦略室である。先日の農業再生協議会でも、様々先進的に取り組んでいる方がいるとか、高収益につながるものはとか、モデル地区をつくっていく方法もあるなど、色々な提案を頂いたところである。

やはり生産者の皆さんと一緒になっていかなければできないことだと思っており、しっかり取り組んでいきたい。

 

   「市長に商店街を歩いて見てほしい」の声


【田村議員】 

まちづくりの視点で新たな事業を興したいとの市長方針に期待もあるが、閉店に拍車がかかる今、市長に街を歩いて、見て聞いてもらいたいとの要望が、商店主から寄せられている。

 

【市長】

市内商店街の活性化は、市長のまちづくりビジョンの一つである。これまでの商工業活性化支援策の成果や課題等を検証し、新たな施策について、私自身も声を聞いて、現場を見て、関係団体等と協議してまいりたい。

 

   デマンド型交通は早く、より使いやすいものに


【田村議員】 

デマンド型交通は、運行が始まれば増車が必要であったり、様々な改善点が出てくるだろう、利用者の期待に応えられるよう、年度中に補正予算計上し、速やかに改善されるよう求めたい。

 

   負担が重すぎる! 税・保険料・手数料使用料の軽減を


【田村議員】 

匝瑳市の裁量によって金額を決めることができるのは、国保税額、介護保険料、手数料・使用料・利用料であるが、政府の国民負担増政策により、市民の所得に対する税・保険料負担は非常に重く、行政の手数料や施設使用料・利用料も受益者負担方針で、消費税増税に便乗した値上げも行われ、市民の負担は重い。国政に大きな原因があるわけだが、市民の負担軽減のための手立てをとることを市長に求めたい。

 

【市長】 

国に対し市長会等を通じて要望してまいりたい。

 

 

〈 マイナンバーカードは安全か? 国の目的は? 〉


【田村議員】

マイナンバーカードの申請、取得で何が可能となるのか? 政府の目標はなにか?

 

【林市民課長】 

カードが公的な身分証明書となる。コンビニで住民票、印鑑登録証明書等を請求し受領できる。確定申告の電子申請が可能になる。本人の受取口座が登録されていれば、行政からの給付金等の送金が早くなるのではないか。

 

【田村議員】 

国民健康被保険者証との関係は?

 

【市民課長】 

国はマイナンバーカードの健康保険証としての本格運用を示し、各医療機関にカード読み取り機の設置を指示、令和6年秋には健康保険証の紙の発行を廃止する方針である。市民の皆様が医療機関を受診する際に支障とならないよう、周知を図り、カードの普及促進に努めていく。

 

【田村議員】 

匝瑳市民のマイナンバーカード申請数は、本年2月末 2万6,260人(75.2%)。 申請率75.2%は、国から本市への地方交付税にどう影響するか? 

 

【大川財政課長】 

国の令和5年度地方財政計画では、マイナンバーカード特別分500億円が措置され、普通交付税の交付市町村に配分されるが、マイナンバーカードの申請率が全国の上位3分の1に入る市町村は、申請率に応じた割増し配分があるとされる。しかし詳細な情報はまだない。

 

【田村議員】 

国は急ぐが、個人情報のセキュリティーが非常に不安であると、国民は懸念している。

 

【市民課長】 

本市でも3月7日、マイナンバーカードの写真添付の誤りがあった。受付、発行、確認のトリプルチェックを行って交付する。

     

〈 匝瑳市への転入移住者支援策は 〉


【田村議員】 

移住者募集の方法、力を入れる移住者支援策は?

農業では生活できないので他の仕事もして自活をめざす若い移住者への、経済基盤の確保、家計の安定に向けた行政支援は?

 

【市長】 

移住者募集は、市ホームページやツイッター、移住専門サイト等の外部メディアの活用、地域おこし協力隊員の情報発信、オンライン相談窓口の開設、県や関係機関と連携した移住・定住促進イベントの実施等を行っている。 

移住者への住宅支援で、転入者マイホーム取得奨励金の支給、空き家バンク事業を実施。 令和5年度からは、新たに匝瑳市移住支援事業を実施し、都市部からのUIJターン希望者等の移住及び本市における就業・起業等を創出し、本市への人材の定住・定着を図っていく。 

NPO法人SOSA PROJECTによる移住サポート活動は、本市移住施策での大きな強みになっている。作成中のシティプロモーションパンフレットでも取り上げ、移住希望者が本市に関心を持ってもらえるよう積極的にPRしていく。 

就労先の紹介は、ハローワーク銚子、市職業相談室、市シルバー人材センター、匝瑳市雇用促進協議会と連携し、企業情報パンフレットの活用など、移住希望者への周知に努めていく。

 

〈 市民病院の充実、建て替え 〉


【田村議員】 

新年度、市民病院の医療機器の更新、医師・看護師、訪問看護師の人員確保は?

 

【太田病院事務局長】 

手術室の無影灯の更新、超音波洗浄装置の更新、胃カメラ用と腹腔鏡手術用のビデオスコープの購入など、12の医療機器の更新、購入を予定。 

医師確保の状況は、昨年12月より男性の内科医師1名増、さらに令和5年度は女性内科医師1名増で、常勤医師12名体制となる。引き続き医師の確保に努めてまいりたい。

訪問看護ステーションの看護師確保は、不足する場合は、病院看護師とのローテーションも行う中で、運営に支障がないように努めている。

 

【田村議員】

病院施設の建て替えについて、令和5年度用地取得(市は八日市場駅南側方面を検討)をめざし、建て替え整備基本計画の決定、地元説明会、用地取得に入るというが、スケジュールは? 国・県の補助金活用に必要な計画策定、事務手続は?

 

【病院事務局長】 

整備の基本構想・計画に対する、市民パブリックコメント(2月9日~3月10日募集)では、23人から70件の御意見を頂き、その取りまとめ終了後、市長に報告、基本構想・計画の策定時期を相談し、決定していきたい。

その後、地権者の皆様に説明を行い、了承頂いた上で境界確定、地籍測量、不動産鑑定等を実施し、用地取得に向けた取り組みをさせて頂く。



市長より提案された20議案のうち、第1号・第7号・第8号・第9号について反対討論を行い、反対しました。

討論は以下の通りです。


議案第1号 令和5年度匝瑳市一般会計予算についてに対する反対討論



令和5年度一般会計予算は、歳入歳出額 148億2800万円、歳入みこみ額のうち、市税収入は約36億4300万円、全体の24.6%、国からの地方交付税は約50億1000万円、全体の33.8%、交付税の不足分を補う臨時財政対策債は7000万円で、国の地方財政計画の増額が反映された予算計上となっています。 

 

宮内市長は、市長就任1年を経過し、市長としての政策を予算化したものと思います。老朽化した匝瑳市民病院の建て替え計画に一歩を踏み出し、街づくりを見据えた、病院建設用地取得を掲げました。慎重な中にも、スピーディーな事業執行を求めます。

また、銚子連絡道路インターチェンジ周辺の整備で企業誘致および産業おこしを狙う、また、県の助成金を活用して結婚新生活応援事業補助金の支給を始める、また、デマンド型交通の運行を始める、など新たな事業開始もあります。

 

しかし、現在、市民から切実に求められている、家計やなりわいを支援する施策の予算計上は、今回もありませんでした。小中学校の学校給食費の無償化、主食用米生産者も含めた農業支援策、は議会においてたびたび提案され求められてきたにも関わらず、ゼロ回答です。3月20日付け報道では、自民党の茂木幹事長が、政府に対し、全国の公立小中学校の学校給食費の無償化を提言したとのことです。児童生徒の保護者負担、教育費負担が重く、学校給食費を無料にとの要望が強いあらわれと思います。国が制度化してから匝瑳市が実施するのでは、近隣が始めていることと比べ、子育て支援に熱心とは思われません。

 

庁内の 産業振興課を二つに組織分割して、農林水産課、商工観光課を設置することが示されました。匝瑳市の産業振興、活性化につながることを切に願うものですが、議会でも議論があり、指摘されていたように、職員が増員されるかは不明であり、どれだけ事業が充実できるかも未定です。 いくつかの農業関連の施策を問われると、市長は新たな農業戦略室で検討したいとだけ答弁されていますが、農畜産業の経営困難は、大変なところにきています。悠長に構えていてよい時期なのでしょうか、疑問です。

 

人口増加を目指して、少子化対策、移住者推進支援策等を掲げていますが、中途半端で魅力になっていません。

市長は、匝瑳市政について、まだ漠然とした構想を表明されているだけであります。行政が率先して各種事業を企画し、展開してくれることを、今市民は願っています。持続可能な行政運営の名のもとに、前年度並みの事業執行をしているだけでは、期待外れになります。新たな取り組みとともに、事業内容の改善についても、スピードを上げて遂行していただくことを求めるものです。

 

議案第7号 匝瑳市個人情報保護法 施行条例の制定についてに対する反対討論

 

個人情報の保護に関する法律は、2003年成立、2005年度より施行、2022年4月改正がありました。AI社会、ビッグデータ化に対応するため、ということで、デジタル社会形成整備法の可決、成立、令和5年4月1日施行で、国や地方公共団体の個人情報保護制度を一元化し、全国一体のルールにすることをめざし、法律の施行に合わせ、匝瑳市も、現行の、匝瑳市個人情報保護条例を廃止し、法の施行条例として制定しなおすという提案です。

 

 デジタル社会形成整備法および、個人情報保護法の施行は、私たち市民の個人情報を、国や地方公共団体等が取得集約し、マイナンバー制度の活用等により、その情報内容が、将来的にどのように利用されていくのか、明らかにされていない、市民の不利益の懸念がある、という根本的な問題があるものです。問題のある法律を施行するための匝瑳市条例の制定であること、現行の匝瑳市個人情報保護条例に記されている、重要な条文が削除されてしまっていること、 「開示決定等の期限」が現行の15日以内が30日以内に、期間延長できる期間を45日から60日にと、延ばし、開示請求者に不利益を与える内容変更を行う、これらの問題点を指摘し、施行条例議案に反対します。

 

 現行の匝瑳市個人情報保護条例第1条では、本条例の目的について、「市の機関が保有する個人情報の開示、訂正、利用停止等を請求する権利等を明らかにすることにより、個人の権利 利益の保護を図るとともに、公正で信頼される市政の推進に資する」と 高らかにうたっていますが、施行条例案には、匝瑳市としての意思表示が全く示されていません。

 

現行条例は、対象となる実施機関に市議会を含めており、現行条例第3条に実施機関の責務、第4条に事業者の責務、第5条に市民の責務が記され、個人情報の扱いの重要性を喚起しています。また、現行条例第7条には、収集の制限として、「実施機関が個人情報を収集するときは、個人情報を取り扱う事務の目的を明確にし、当該目的を達成するために必要な範囲内で、適法かつ公正な手段により行わなければならない」とあり、また、第15条 開示請求権では、「何人も、実施機関に対し、公文書に記録された自己の個人情報の開示の請求をすることができる」と記されていますが、これらは、市民の尊厳が尊重されなければならないことを 条例に定めている と思います。

 

しかし、施行条例案には、このような、匝瑳市としての意思表示はありません。

 さらに現行条例第51条では、苦情処理について上げており、「実施機関は、個人情報の取り扱いに関する苦情について、適切かつ迅速に処理するよう努める」としています。匝瑳市が、いかに市民の個人情報を大事に取り扱っているかを表している条文と、思います。

新条例案については、手続き規則ではないのですから、法律の施行条例という名称を使っても、匝瑳市の個人情報保護の理念、方針を明記すべきではないかと考えます。匝瑳市としての意思にかけた条例案です。 以上の理由から、議案第7号に反対します。

 

議案第8号 匝瑳市個人情報保護審査会条例の制定についてに対する反対討論


議案第7号で、現行の 匝瑳市個人情報保護条例の廃止、法施行条例の制定が提案されたことに伴い、匝瑳市個人情報保護条例(以下、現行条例と述べます) 第44条に定める 匝瑳市個人情報保護審査会の設置についてもなくなるため、新たに、匝瑳市個人情報保護審査会条例を制定するというものです。 

 

現行条例第41条および第44条では「 開示決定等等に係る不作為に係る審査請求があった時は、実施機関は速やかに審査会に諮問しなければならない。」「市は、諮問に応じ、審査請求について調査審議を行い、公正かつ迅速な請求者の救済を図るため、審査会を設置する」とあります。新条例案第1条は、「本法、および市条例に基づく、個人情報保護制度の適正かつ公正な運営を確保するため」と記すだけで、請求者の救済を図るために迅速に、という大事な目的が抜けてしまっています。審査会の軽視が感じられます。

 

現行条例第47条には、審査会の権限について記され、第47条の2では、審査請求人の意見陳述の機会について、 第47条の3では、審査請求人による意見書提出について、記されています。しかし、新条例案にはありません。これにも、審査会の軽視が感じられます。

 配布されました説明資料によれば、法律上は、国の個人情報保護委員会が、地方公共団体の諮問機能を一元的に担うため、原則、地方の審査会は不要となるが、法第129条で存続も可能とされることから、匝瑳市個人情報保護審査会を設置し、条例制定するという事情のようです。現行条例からは、審査会が果たすべき役割は重要であると考えます。 匝瑳市個人情報保護審査会の設置に反対するものではありません。

 

匝瑳市個人情報保護条例の廃止と抱き合わせで条例制定が提案されていることから、議案第8号にも反対します。

 

 

議案第9号 匝瑳市債権管理条例の制定についてに対する反対討論

 

 この条例案は、市が市民等に対して持つ、金銭支払い債権のうち、強制徴収公債権ではない債権につい

て、統一した管理を行うために、定めるものである、との説明がありました。管理とは、債権台帳の整備、債務返済の滞納者に対する督促、強制執行、保全、取り立てに必要な措置、および徴収停止、履行期限の延長、債務の免除等を指しています。そして、条例案第8条では債権放棄ができる要件が記されています。

 

しかし、この条例案の趣旨は、地方税法の例による滞納債権の処分が可能な強制徴収公債権に準じて、利用料などの支払や返還金の滞納者に対し、匝瑳市が、速やかに債権回収をするために、さらにまた、地方税法の例による滞納処分ができない、非強制徴収公債権や 私債権に対し、強制執行も行えるようにする、そういう条例を制定することではないか、と危惧します。 この対象となる債権には、放課後児童クラブ利用料、学校給食費、育英資金貸付金返還金、市営住宅入居料、市民病院の医療費本人負担分、などがあります。 

 

現在、それぞれの滞納額の徴収は、それぞれの部署ごとに、丁寧に行われていると考えますが、条例制定後は、当然、統一的な督促、回収が強化され、市民には厳しい対応となるのではないか、との懸念を抱きます。法律上、地方自治法231条の3第1項の公債権に対しては、市民は不服申立てができますが、公債権ではない私債権には、不服申し立てはできません。 不服申し立てもできない、学校給食費の滞納額や、市民病院医療費の未払い額について、強制執行を可能とする条例制定に、きびしく反対します。