研究してみたいテーマが決まったら、文献を探すことから研究が始まります。
[指導教官に相談する]
指導教官は、その分野の専門家である。自分の研究したいことを伝えれば、どのような文献を読む必要があるかだいたい把握できる。どのような文献をどれだけ読めばよいかを直接尋ねてみよう。
[まず概論書からあたる]
自分のテーマに絞った研究に関する文献を探しだすコツは、第1に、その分野の概論書にあたることである。概論書とは、その分野でどのようなことが分かっていて、どのようなことが研究されてきているかを全体的・網羅的・体系的に提示している図書や論文のことである。例えば、リーディング指導に関しては、「英語リーディング事典」(研究社)などである。始めは、日本語の文献があればそれをまず読み、それから英語の文献にあたるとよい。最新の参考文献が多いものほどよい。
[概論書の参考文献から探す]
概論書が見つかれば、その分野での下位テーマや、どのようなことが分かっていて、どのようなことがまだ分かっていないかを検討して、自分が関心のある文献を参考文献や引用文献を芋づる式に探す。その文献の入手方法は、以下の3と4で示す。概論書は、自分の関心のある研究論文を探す地図である。自分の研究の位置づけをするのにも重要である。
[日本の英語教育学会の紀要から探す]
自分のテーマに絞った研究論文を探す際に、概論書と同じくらいに役立つのが、日本の英語教育学会の研究紀要である。日本人が研究している論文を掲載しているため、話題も身近で、日本語で書かれている紀要も多い。参考文献も豊富である。お勧めの日本の英語教育学会紀要には、ARERE、JACET Bulletin、JALT Journal、中部地区英語教育学会紀要、関東甲信越地区英語教育学会紀要などがある。その目次を見て、自分の研究に近い論文がないか探してみよう。
[論文とは]
ELT Journalなどの専門誌類に掲載されている論文の一つをさす。たとえば、Nobuyoshi, J. & Ellis, R. (1993). Focused communication task. ELT Journal, 47, 203-210.
[専門誌とは]
定期的に論文が掲載される海外学術誌および国内学術誌・研究紀要をさす。たとえば、上記の海外学術誌としてはELT Journal、Language Learningなど。国内学術誌としてはJACET Bulletin, ARELEなどがある。また、英語教育の実践的な専門誌として、『英語教育』(大修館)などがある。
[図書とは]
海外および国内出版社から出版される本をさす。英語教育関連の推薦図書を参照されたい。図書には2つのタイプがあり、一人の著者による図書と複数の著者による論文から編集された論文集のタイプがある。前者の例として、Ellis, R. (1985). Understanding second language acquisition. Oxford: Oxford University Press。後者の例として、Doughty, C. & Williams, J. (Eds.). (1998). Focus on form in classroom second language acquisition. Cambridge: Cambridge University Press. がある。
調べてみたいキーワードから目的の論文が掲載されている学術誌を検索してみよう。研究の対象になる関連キーワードをもとに以下の検索サイトでどのような論文があるかを検索することができる。
海外・国内における論文・文書形式になっている文献をキーワード検索できる。研究したいキーワードが絞れていれば、入力するだけで関連文献がすべて検索できる。例えば、リーディングにおける音韻処理に関する文献を探す場合、phonological, coding, reading を入力する。キーワードを足していけば検索される文献数が絞られる。[PDF]と表記されている論文はその論文をPDFを無料で入手できる。表記がないものは、図書館で文献複写依頼をすることになる。掲載雑誌の名前・発行年・著者名・ページなどを記録し、山梨大学学生の場合は、その学術誌の所在を下の④ の方法で確認し、本学に所蔵されていなければ、③の方法で入手する。
② J-Stage
国内における学術誌、専門誌、大学および研究所紀要等の論文をキーワード検索できる。国内の文献を探す場合に重宝である。海外の文献はGoogle Scholarで、国内の文献はこのサイトで探すことができる。Google Scholarと同様、PDFで論文をダウンロードできるものと、できないものがある。取り寄せたい文献が見つかった場合は、掲載雑誌の名前・発行年・著者名・ページなどを記録し、その学術誌の所在を下の⑤や⑥の方法で確認し、本学に所蔵されていなければ、⑦の方法で入手する。
CiNiiは、国立情報学研究所が運営する学術論文や図書・雑誌などの学術情報データベース。CiNii Booksは、そのうちの一つのページであり、大学図書館の本や雑誌の所在を調べることができる。
④ 山梨大学附属図書館(OPAC)
山梨大学の図書館が所蔵する図書・学術誌をキーワード検索できる。③で検索する前に、まず自分の大学に目的の図書・学術誌がないか検索してみる必要がある。自分の大学内に所蔵されていれば、そこで論文を入手できる。自分の大学に所蔵していていない図書や学術誌の論文を見たい場合には、⑤の方法で文献複写/貸借申し込みをすることになる。他の大学図書館でも同様のサービスを行っている。
⑤ 山梨大学附属図書館にて文献複写・貸与申し込み
規定用紙に必要事項を記入し、国内の図書館に所蔵されている文献であれば、1週間程度で図書や論文を入手できる。他の大学図書館でも同様のサービスを行っている。