相続は概ね次の1~5の流れで進みます。
1.相続人を確定する
相続が開始されたら、相続人を確定しなければいけません。相続人となる対象者は法定相続人として民法で定められています。この法定相続人以外に死因贈与契約がされていた場合や遺言による相続対象者が存在する場合があります。ここでは、法定相続人について説明します。
配偶者は常に相続人になります。婚姻届が出されている者に限られ、内縁関係にある者は含まれません。
第1順位は、子およびその代襲者です。具体的には嫡出子、非嫡出子、養子、胎児が対象者です。胎児は生まれたものとみなし相続権を得ますが、死産の場合ははじめからいなかったものとされます。
第2順位は、直系尊属です。被相続人に子がいない場合に、被相続人の親が相続します。両親ともに死亡している場合で祖父母がいれば、祖父母が相続します。
第3順位は、被相続人の兄弟姉妹です。子も直系尊属もいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続します。兄弟姉妹が死亡している場合には、その子が相続します。
注)代襲者とは、相続開始時に相続人がすでに死亡していたときや、相続欠格、廃除によって相続権を失った時に、被相続人の孫が代襲して相続人となったも者です。孫も相続の開始以前に死亡している場合などには、ひ孫に代襲されます。直系卑属の代襲は順に次の代に認められていきます。兄弟姉妹の場合にも代襲が認められていますが、兄弟姉妹の代襲相続は、おい、めいの段階までです。
2.遺言書を探す
遺言書があれば、その内容によって相続を決定する必要があります。また、その内容によっては、法定相続人でない人が相続人になる場合があります。したがって、遺言書の有無を確認する必要があります。遺言の方式には大きく普通方式と特別方式の2通りありますが、一般には普通方式で作成されます。
普通方式には次の、3種類があります。これらの特徴や作成の仕方は別のページで説明しています。
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
それでは遺言があるかないかを調べましょう。
自筆証書遺言は通常被相続人が保管をしていることが多いです。被相続人の身の回りを整理して、遺言書の有無を確認しましょう。また、被相続人の友人や懇意にしていた専門家に預けていた可能性もあります。また、令和2年(2020年)7月10日より自筆証書遺言の保管制度が創設され、法務局で自筆証書遺言が保管できるようになりました。相続開始後に遺言書が保管されているかどうかを確かめることができます。
公正証書遺言が公証役場に預けられているかどうかは、「遺言検索システム」を利用すれば確認できます。全国のその公証役場からも公正証書遺言の有無を確認できます。
まとめると、被相続人の身辺(知り合いも含めて)を探す。法務局や公証役場に保管されていないかどうかを調べる。ということになります。なお、自筆証書遺言が法務局、公証役場以外の場所に保管されていた場合には、裁判所の検認を受ける必要があります。
3.遺産目録を作る
被相続人が残した遺産をすべて確認します。一覧表にしてまとめると分かりやすいです。遺産として考えられるものは、
現金
土地・建物などの不動産
株券などの証券
宝石などの貴金属類
ブランド品などの高価な品物
ゴルフ会員権などの会員権
自動車
電話債券
などがあります。
一方、借金、債務など負の遺産も確認します。
4.遺産分割協議書を作成する
相続人が確定し、遺産も調べたらどのように分かるのかの協議に入ります。遺言書があればその指示に従って分割をすることになります。しかし、相続人全員の合意があれば、遺言書とは異なる分割ができます。
分割の協議は相続人全員で行うことになります。
法定相続分
・第一順位の相続(配偶者と直系卑属の場合)
配偶者と子が2分の1を相続します。子が複数いる場合には、2分の1を人数で分けます。非嫡出子も同じ割合になります。配偶者が死亡や離婚のためにいない場合は、子が全遺産を等分します。
・第二順位の相続(配偶者と直系尊属の場合)
配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。配偶者がいない場合は直系尊属が全遺産を相続します。
・第3順位の相続(配偶者と兄弟姉妹)
被相続人に直系卑属も直系尊属もいない場合は、配偶者が4分の3、被相続人の兄弟姉妹が4分の1になります。
5.各種手続きを行う