Presentationで使用するシナリオファイル(.sce)・実験ファイル(.exp)について理解する
テスト環境 Windows 10, Presentation Version 21.1 Build 09.05.19
2020.01.13ファイルを保存する前に、保存先となるフォルダを確保しておきましょう。ここではCドライブ直下に「Presentation」というフォルダを作成し、その中に「hello」というフォルダを作成しておくことにします("C:\Presentation\hello", Fig. 1)。
※ 保存先の絶対パス(フォルダ名およびその上位に位置するフォルダ群の名前)には1バイト文字(半角英数)だけが使われていることが理想です。Presentationに限った話ではありませんが、英語圏で開発されたソフトウェアでは、絶対パスにスペースや2バイト文字(日本語等)が含まれていると予期せぬエラーが起こることがあります。私の場合は作業用PCと実験用PCとのデータ共有のため、Dropboxフォルダに「Presentation」というフォルダを作り、その中に年・実験単位に区切ったフォルダを入れるようにしています。("C:\Users\Ikeda_PC\Dropbox\Presentation\2020\hello\"のような構成です)
Fig. 1 今回の保存先
前回はとりあえず画面に文字列(Hello World!)を表示させてみました。そこで使用したコードを保存してみます。「Editor」メニューの「Save File」を選択、またはEditorウィンドウの「Save File」アイコンをクリックしてください。
保存先として先ほど作成した「hello」フォルダを選んでおきます。ファイルの種類が「scenario files (*.sce)」になっていることを確認し、「hello」という名前をつけてみましょう。これで「hello.sce」というファイルが作成されます。
Fig. 2 シナリオファイルの保存
コードもシナリオファイルに保存できたし一旦Presentationを閉じるか、とプログラムを右上の×印で終了させてみると、確認ダイアログが登場します(Fig. 3)。Presentationには実験の具体的な内容を記載する「シナリオファイル(scenario file)」と、実験全般に関わる設定を記録しておく「実験ファイル(experiment file)」があるため、まだ保存されていない実験ファイルを保存しておくかどうかを尋ねられているわけです。
ここでは一旦「Cancel」でPresentationに戻ります。
改めて実験ファイルを保存する場合は、「Experiment」メニューの「Save Experiment」を選ぶか、「Main」タブに移動して「Save Experiment」アイコンをクリックします。「名前をつけて保存」ウィンドウが開くので、「hello.exp」として先ほどシナリオファイルを保存したところと同じフォルダに保存します(Fig. 4)。ファイルの種類は自動的に「Experiment files (*.exp)」になっていますね。
※ 今回、まだ保存されていないファイルを保存するときに「Save Expemiment」で名前をつけていますが、このコマンドは一度名前をつけて保存されているファイルに対しては上書き保存として機能します。未保存・保存済みのファイルに対して新たに名前をつける場合は「Save Experiment As」で保存できます。
Fig. 3 確認ダイアログ
Fig. 4 実験ファイルの保存
実験ファイルには実験全体に関わる設定が記録され、以下のような内容が含まれています。これらのパラメータについては、「Main」・「Scenarios」・「Parameters」・「Settings」タブで変更できるようになっています。
実験設定を変えて実験ファイルを更新してみましょう。ここでは、実験のログを保存するフォルダと画像や音声ファイルを置いておくためのフォルダを設定し、冒頭で保存した「hello.sce」をシナリオ一覧に登録します。
まず、エクスプローラを開いて「hello」フォルダの中に、新しく「log」と「stim」フォルダを作成し、Presentationに戻って「Scenarios」タブを開きます(Fig. 5)。
右上にフォルダ選択画面が表示されますので、ここから「PC」→「C:」→「Presentation」→「hello」とたどり、「log」をクリックして選択しておきます。左側の「Logfile Directory:」と同じ行にある「<<」をクリックすると、先ほど作成した「log」フォルダがログファイル保存用フォルダとして登録されます。同様に、「stim」フォルダを「Stimulus Directory:」の行に登録します。
ここまでできたら右上のフォルダ選択画面で「hello」を選び、右下のファイル一覧から「hello.sce」を選択します。これを、左の「Scenarios」と同じ行にある「<」ボタンをクリックしてシナリオ一覧に登録します。このときに、下の「All Files」にも自動的に登録されます。
※ 本稿では「ファイルの入れ物」という観点からフォルダ(folder)とディレクトリ(directory)を言い換え可能なものとして扱っています。詳細はこちら -> MSDNフォーラム:フォルダーとディレクトリーの違いについて
※ Stimulus Directoryは、ここで登録の方法を紹介しているだけで、まだしばらく使いません。視覚刺激解説の回で登場させます。
Fig. 5 「Senarios」タブ内の設定項目
「Main」タブに戻ると、「Logfile Directory」と、その下にあるシナリオ一覧に先ほど設定した内容が反映されているのが確認できます(Fig. 6)。ここで、「Logfile Directory」のすぐ上にある「+」をクリックすると空欄の「Name」・「Author」・「Version」が出現し、実験に名前や作成者、バージョン番号をつけることもできます。「Experiment ID」はこの実験に対する一意の値を示しており、「Generate ID」ボタンをクリックして新しい値を割り振ることもできます。
中央の「Run」ボタンを押すと、シナリオファイル実行のためのダイアログが開きます。ここで「Run Scenario」をクリックして「hello.sce」を実行すると、1-1で「Editor」タブから実行したときと同じく「Ready」画面が表示されます。Enterキーで実行すると、1秒間「Hello World!」が表示された後にシナリオファイル実行ダイアログに戻ってきます。今度は「Continue」・「Cancel」が選択可能となっており、「Continue」をクリックすると「Finish」だけが選択できるようになります。「Finish」をクリックするとPresentationのメインウィンドウに戻ってきます。
※ シナリオを複数登録している場合、「Continue」で次のシナリオを実行できます。ここでは1つのシナリオしかなく、すぐに「Finish」に飛ばされてしまうため、このような表示になります。
一連の手順を終えた後にエクスプローラで「log」フォルダの中を確認すると、「hello-(実行時刻)-(文字列).log」というログファイルが作成されており、メモ帳などのテキストエディタから開くことができます(ログファイルの中身はプレーンテキストです)。このファイルにはPresentationがシナリオ上で行った内容とそのタイミング、動作環境などが記録されています。
ここまでの手順を確認したら、「Experiment」メニューの「Save Experiment」を選択、または「Main」タブの「Save Experiment」アイコンをクリックして、実験ファイル(hello.exp)を上書き保存しておいてください(上のFig. 4で解説した手順と同じです)。これでPresentationを終了させても、次に起動したときに実験ファイルを呼び出せば、設定を復元できるようになります。
Fig. 6 「Main」タブからのシナリオ実行