初等整数論―数論幾何への誘い―

山崎 隆雄 著

新井 仁之・小林 俊行・斎藤 毅・吉田 朋広 編

ISBN: 978-4-320-11179-0

判型:A5

価格:本体2,500円+税

発行日: 2015年05月24日

序文と目次 (pdf ファイル)

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内容紹介

abc予想は整数論の最先端の話題であるが、面白いことにその主張を述べるだけなら予備知識はほとんど必要ない。ところで、abc予想の多項式に対する類似であるABC定理は初等的に証明できる。さらに、その応用としてフェルマーの最終定理の多項式類似まで証明できる。本書の前半ではこれらの話題について、高校数学程度の予備知識があればアクセス可能なように解説を与えた。

この例に典型的に見られるように、整数と多項式には興味深い類似がある。本書ではこの類似を大きく取り上げた。例えば、平方剰余の相互法則はガウスによる古典的なものと多項式類似が平行して扱われる。また、虚二次体の整数論は代数的整数論の入り口にあたる重要な話題であるが、その多項式類似として超楕円関数体が扱われる。虚二次体の類数の有限性を多項式側で考察することで(有限体上の)超楕円関数体のイデアル類群の有限性が証明される。また、同じ方法により楕円曲線の群構造が導入される。

ABC定理や超楕円関数体など、多項式における整数論の類似は数論幾何と呼ばれる分野の入り口にあたる。数論幾何はWeil予想という20世紀の数学を代表する成果を契機として生まれた。その雰囲気を伝えるため、Weil予想のうち初等的に扱えるケースの解説も取り入れた。これら初等整数論を題材にして、数論幾何の入り口まで道案内することが本書の目標である。