政治学研究者

志望者向けTips

名古屋商科大学専任講師

齋藤崇治の場合

ここで紹介するTipsは主に学部生、修士課程学生が、政治学コミュニティに参加できるように発信するものです。 (2024/4/1 更新)

 

国内の国際学会

 政治学コミュニティに参加する最も手っ取り早い道は、学会に聴講参加して質問することです。(そしてゆくゆくは発表することです)

COVID-19の数少ない福音としてオンライン上の研究会が拡大したことが挙げられます。特に国際的な政治学コミュニティにおけるオンライン研究会の充実が凄まじく、家から世界最先端の研究で触れられるようになっています。以下の学会・研究会は、幅広く参加者を募集しており、また修士課程学生から発表の機会が認められており、しかもタダです。もし可能であれば修士1年の間に発表すると、学振DC1応募においても有利に働くでしょう。また聞くだけならほぼ誰でもできるので積極的に参加しましょう。


日本政治を対象とする国内外の研究者コミュニティです。報告者はやはり英米圏が多いですが、トップジャーナルに載せるような研究者がどのような視点で日本政治を分析するかは日本政治をやっていなくても勉強になります。 

 

 こちらは、半年に一回行われる計量政治・数理政治学研究者の学会です。国内外の優れた政治学研究者とネットワーキングする場として極めて有益です。とりあえず聞くだけでも参加することをお勧めします。また、修士課程学生が発表することも散見されます。もし可能であれば、修士1年の夏か冬に発表して、学振DC1応募前に「査読つき国際学会報告」を業績にすることをお勧めします。

    特に、PhD留学を考えている人は、留学中の研究者が多く参加するので、アドバイスを聞けると思います。また、学会に合わせてPhD留学相談会も開催される他、近年留学準備のファーストステップとして注目されるリサーチアシスタント募集行われるので、学会メーリングリストには今すぐ入っておくとよいでしょう。 


計算社会科学  (毎年3月)

 こちらは計算社会科学分野の学会です。と言っても報告内容はバラエティに富んでいます。

 学部生から発表できるという点で他の学会と比べて参加しやすいと思います。計量テクスト分析やネットワーク分析と言った手法を用いて卒論、あるいは卒論に代わるものを書くなら、発表すると良いのではないでしょうか。

政治学に限りませんが社会科学系修士学生には行動計量学会を勧めます。理由はいくつかあり、1 修士から学会誌に投稿可能、2 修士など若手向けの投稿優遇策もあり、査読プロセスが透明・迅速、3 良質な集中講義が年2回行われる、です。特に、査読論文の審査プロセスが優秀で、「とりあえず一本査読業績を作りたい」人にはお勧めします。



 

(番外編)国際学会

近年は修士学生も国際学会に参加する例が増えています。無論、お金がネックですが、もし余裕があるなら学会に入会の上、Annual Meetingでの発表に応募すると良いでしょう。

お金という点で言うと、例えばアメリカ研究であれば、アメリカ研究振興会 が最大10万円助成(現地開催のみ)を出してくれます。探せば類似の助成金は見つかると思います。ちなみにこうした助成金獲得も研究業績に書けるのでどんどん探して応募すると良いでしょう。また、アメリカ学会、日本政治学会でも類似の助成があります。

 

自分のホームページを作る

 もしあなたが研究者志望で修士1年以上であるなら自分のホームページを作りましょう。好みは人それぞれですが、Googlesitesで簡単に作れます。このサイトもそうです。

 最も重要なのはあなたの存在を知ってもらうことです。なので仮に業績(査読論文)がなくてもホームページを作るべきです。私はまだ経験ありませんが、非常勤講師を探したり学内手続きを進めたりするときに、ホームページやresearchmapを使うということは様々な分野の先生がSNS上で発信しています。

 その上で、自分のホームページをどんどん充実させていきましょう。つまり、業績(報告、論文、受賞)をどんどん増やしていきましょう。自分のホームページを作ることで、業績を増やすことがよりクリアに見えるようになると思います。

また、英語でもホームページを作ってWorking Paper(査読中の論文)のリンクを貼って紹介すると、世界の研究者が案外見てくれます。私は最初のWorking Paperが偶々見てくれたアメリカ人院生に引用されました。Working Paperの登録サイトとしてはarXivなどありますが、自分のサイトに貼るというのが最も手軽だと思います。無論、arXivなどに登録するとより広く見られる可能性は上がるでしょう。

 また、それが目的という訳ではないですが、自分のホームページを作るということは、対外的な信頼を高めるということにもなります。卑近な例では、科研費でコンピュータを買う時に、業者が私のホームページを確認することで、私が東大所属の研究者として信頼を得るという事例がありました。(なぜそれで信じてもらえたのかは分かりませんが。。。)


その他お役立ちサイト(全部外部です)

研究者として生きていくコツ 

研究生活のヒント 

もしもアメリカ政治を研究したいと思ったら 

学振特別研究員になるために 

論文・レポートの書き方 

研究をはじめる前に知っておいて欲しい7つのこと