Neutron Laue diffraction simulator for TAIKAN(BL15)

Single-crystal diffraction measurements at TAIKAN (BL15)

[Web App.] Neutron Laue diffraction simulator for TAIKAN(BL15)

J-PARCの物質生命科学実験施設のBL15に設置された中性子小角・広角散乱装置「大観」は様々な長さスケールの結晶・磁気構造を探査することができる非常に強力な装置です。

もともと粉末状試料やソフトマターなどの試料をターゲットとして作られた装置ですが、単結晶の測定においても非常に有効です。中島研は特に磁性体の単結晶試料の測定で大観を使うことが多いです。

ただ、単結晶の実験で難しいのが最初の軸立てです。試料を最初にセットした時に得られた白色中性子のTOF散乱パターンから方位を決めるのが手間なのですが、それをサポートするためのツールを作りました。やっていることは基本的にX線背面ラウエシミュレータ、HRCのNeutron Laue diffraction simulatorと同じです。

Step 1: Crystal structure

まず「Setting」タブから「Crystal structure」のセクションから、格子定数、Reflection condition、試料の(初期)方位を入力します。

特に大観ではlow-Qの磁気反射を測定することが多いと思うので、その時は「q-vectors」のセクションから磁気伝播ベクトルを入力してcheck boxをクリックします。

Step 2: Neutron Laue diffraction measurement

実際に試料にビームを当てて、散乱パターンを観測します。左はHL detector bankで観測した散乱パターンですが、対称性の良さそうな反射が観測されたらその反射の2θとazimuth角をUTSUSEMIから読み取ります。

測定されたspotをシミュレーション上に示すには、「Observed spots」のタブを選択し、UTSUSEMIから読み取った2θとazimuthをテキストボックスに書き込み、Reflectionのcheckboxをクリックしてください。対応する点が赤丸で示されます。

Step 3: Comparing the simulated pattern with the experiment

今回はまずHL bankで方位を決めたので、それに合うようにシミュレーションの中で結晶を回転させます。その際には「Simulation」タブの「Free rotation」を使います。

特定の反射のQ、λ、2θ、Azimuth angleを見るためには「Simulation」タブの「Target reflection」のセクションにその反射の(H,K,L)を入力して「Set」を押してください。一度セットすると、その後試料を回転させた際に随時λや2θの値が更新されるので、それを使って実験で得られた値に合わせて結晶方位を調節してください。

HL bankのスポット位置にシミュレーションを合わせた時に、ML bankに低角の強い磁気反射が入っていることが予測されます。それを実際に見てみると、下の図に示したように確かに磁気反射が観測されていました。

UTSUSEMIで個々の検出器バンクを描画した際には、横軸に検出器番号、縦軸にピクセル番号で表示されます。マウスカーソルを持っていくと、各ピクセルでの2θやazimuth angleが表示されます。一方、シミュレーションは試料位置から検出器を見た場合の反射位置を示しており、両者を合わせる際には注意が必要です。

検出器番号、もしくはピクセル番号が増える方向が2θの増える方向なのか、azimuthが正の方向か負の方向か、確認しながらシミュレーションと比較してください。MR bankの場合は90度回転して左右反転するとシミュレーションと同じ配置になります。

Step 3: Free rotation mode -> Omega rotation mode

Free rotation modeで実験のdiffraction patternと一致するシミュレーションが得られたら、その時のω角をセットしてみましょう。そうすることで、次に試料を回転した時のシミュレーションをω角の値によって指定できます。

例えば、あるdiffraction patternを測定した時のωが18度であったとします。そのときのpatternを再現する結晶方位をfree rotation modeで見つけたら、

「Set the current orientation as "ω= [  ]deg"

の欄に「18」と入力して「set」を押します。

するとそれ以降は「ω rotation」モードに移り、ωの絶対角を入力して試料を回転させることができます。この時、「Set」を押す前に「ω-rot. direction」を確認してください。大観ではサンプルステージのω回転はcounter-clockwise方向を正としています。しかし、その上にマグネットなどの試料環境機器を取り付けて、そのサンプルローテーターを使う場合はclockwise方向が正となる場合もあります。それぞれのケースに合わせて、「CCW/CW」選択してから「Set」を押してください。